夏至祭
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「ミッドサマー」はこの項目へ転送されています。
2019年公開のアメリカ合衆国・スウェーデン合作のホラー映画作品については「ミッドサマー (映画)」をご覧ください。
花冠をかぶった女性

夏至祭(げしさい、げしまつり)は、夏至またはその近くに行われるお祭りで、ヨーロッパキリスト教国で夏至近くの聖ヨハネの日に関連した祭りがよく知られているが、世界的にはこれに関連した祭り、これとは別の祭りがいろいろと行われている。
ヨーロッパスウェーデンのポール

町や村の広場に横たえられたに、樹木の飾りがつけられ、若者たちが中心になって柱を立てる。この祭は、ドイツイギリスで行われる五月祭の柱(メイポール)と類似しているが、北欧では5月初旬には花が乏しいため、夏至の時期に祭を行うようになった。人々はその周りを一晩中踊り明かし、たき火をたいて、その上を飛び越える。これには恋占いや、縁起かつぎの意味が込められている[1][2]

祭りは、洗礼者ヨハネの祝日に行われる。ヨハネはイエス・キリストより半年早く生まれたという言伝えから、クリスマス12月25日と決められた後に、ヨハネの祝日が設置された。現在の夏至祭は、キリスト教の聖人の日と北欧伝統の季節の祝祭が一緒になった社会的文化的現象である[1][2]

また、この日の前夜に摘む薬草には、特に効果があると信じられている。特に、セント・ジョンズ・ワート(セイヨウオトギリ)を、イブの夜にの下にしいて寝ると、夢に現れる聖人のご加護があるとも、また、未婚の女性の場合、未来の夫が夢枕に立つともいわれる[3]。全体的な特徴としては、以下の点が挙げられる[4]

夏至(6月21日)または聖ヨハネの日(6月24日)のあたりに行われる[4]

薬草や朝露の神聖視[4][5]

花や葉でを作る(1年間の健康が約束される)

男女の縁結び (1本のバラの花びらで真実の愛か否かを見分ける ”ミドサマーのばら” 、饗宴が終わるまでに葉が萎れなければ愛が永続するといわれる ”聖ジョン(聖ヨハネ)のおとぎり草” などがある。)[6]

占い (占いとデスティニイ・ケーキ…卵、ケーキの形や様子が未来を示し、それを読み取ったり予告して楽しむ。)[7]

たき火をたく (戸外では丸太を燃やしてボンファイヤー(bonfire) にする。雨天などで屋内で行う場合は、広間の床に24本のろうそくを円く並べ、かがり火の代わりにする。ろうそくは客人たちが周囲を行進したり踊ったりできるように、充分なスペースをとって円く並べられる。)[8]

祭りの後川に冠を流し、それで将来を占う[4]

スウェーデン民族衣装の人々酢漬けニシンとジャガイモイチゴとベリー

スウェーデンダーラナ地方レクサンドのものは有名である。夜の時刻になってはいるが、まだ太陽が高い中を、2艘のが湖を横切ってやってくる。1艘には楽団が乗り、もう1艘には、民族衣装姿の人々が、ポールに飾るための、つる草のハートや輪の飾りを持って乗り込んでいる[1]

スウェーデンやフィンランドでは移動祝祭日であり、週末をはさんで行われる[3]。毎年6月19日から26日の間の、夏至に最も近い土曜日Midsommardagen(ミッドソンマルダーゲン)とその前日Midsommarafton(ミッドソンマルアフトン)と合わせて2日間が祝日になる[9]。町の広場で、夏至柱を立て、人々が手をつないで回りながら歌ったり、踊ったりする。民族衣装姿の人、花の冠をかぶる女性も多い[10]。夏至はスウェーデンで最も大事な日で、この時期に合わせて夏休みを取る人もいる。緑が美しく、花が咲き乱れる中、家族で夏の別荘に向かう。花輪を作るための花を摘むため、近くの森に行き、また祭りの中心となるポールを据え付ける[11]

歌うのが好きなスウェーデン人は、夏至祭りにも歌う。そしてポールの回りで輪になって、大人も子供も踊る。踊るのに疲れると、食事の時間である。夏至祭りの宴には、ニシンの酢漬け(玉ねぎにんにくトマトマスタードソースなどと共に漬け込んである)、ジャガイモをゆでたものやサーモンスペアリブを食べ、食後には、この夏初めてとれたイチゴが登場する。もちろんスモーガスボードも出される。日がほんの少しだけ地平線に傾くと、みんなはまた踊り出す。当日の夜、結婚を願う女性が7種類の草花を枕の下において寝ると、恋がかなえられるという言い伝えもある[11]
フィンランドフィンランドの夏至祭のポール

フィンランドではこの日をユハンヌス(juhannus)と呼ぶ[12]。スウェーデン同様に飾り立てたポールを立てる地域もある。また、湖のそばでたき火を燃やす。この火(ボーンファイアー)はフィンランドではコッコ(kokko)と呼ばれる。フィンランドではまず東部で夏至祭りが始まり、後に全土に行きわたった。乳製品ソーセージやジャガイモが供され、白樺の葉と草花で町中が飾られる。そして一晩中野外での踊りが続く。その一方で、湖の近くで行われるため、酔っ払った人々が溺れる事故が多い[13]コッコ(フィンランドのたき火)

夏至祭(ユハンヌス)は真夏のお祭りでフィンランドではキリスト教が広まる前に既に行われていた。1954年まではユハンヌスの日はそれが何曜日であろうと必ず6月24日と決められていた。その後、ユハンヌスの日は6月20日?26日のあいだの土曜日に変更された[3]。夏至祭りの飾りつけは、白樺のほかにポプラも使われ、玄関や門には幹が、そして窓には葉の茂った枝が飾られる。室内にはスズランナナカマドウワミズザクラライラックといった花が花瓶に挿して置かれる。これは今でも、祭りの間中は田舎や別荘でよく見られる。地域によっては、若い男性が、白樺の枝であずまやを作る習慣がある。乳がよく出るようにと、牛にも木の葉やスズランで飾りつけがされる。白樺の小枝は、束ねて、サウナの時に体を叩く道具にも使う[5]

夏至の夜は、昔から神秘的かつ超自然的なものと結びついている。夏至を過ぎると、再び日が短くなり、夜が長くなっていくためで、悪霊がそのあたりを歩き回るとも信じられたり、また、財産結婚を占う行事が行われたりした。

ハーブ薬草を、露が下りる前の、活力のある時間帯に摘む。また、夏至のには病気を治す力があると考えられていた。

牛小屋の天井からナナカマドの枝を吊り下げると、牛が悪いものから守られる。

夏至の夜、家の屋根の上で3回場所を変えて座る、または古いリンゴの木の下に座ると、未来が見える。

夏至の夜、鬼火に目を凝らすと財宝がたまる。鬼火が、財宝のありかを教えてくれるのである。

若い女性や男性の行事には、結婚や、未来の伴侶を占うものが多い。フィンランドでも、女性が7種類または9種類の花を摘んだり、枕の下に置いたりすることで、将来の夫との出会いが約束される。ほかに下記のようなものもある。

夏至の夜交差点に立つと、未来の夫と巡り合う。

夏至の夜、井戸が触れ合う音を聞けば、その家の女主人となり、赤ちゃんの泣き声を聞くと、子供が生まれる。

井戸またはを裸でのぞくと、水面に未来の夫の顔が映る。

花輪を作って小川に行き、花輪を流して、そのまま流れて行けば結婚する。


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