夏目友人帳
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この項目では、緑川ゆきによる漫画について説明しています。このライトノベルを原作としたアニメについては「夏目友人帳 (アニメ)」をご覧ください。

夏目友人帳
ジャンル伝奇学園少女漫画
漫画
作者緑川ゆき
出版社白泉社
掲載誌LaLaLaLa DX
レーベル花とゆめコミックス
発表号2003年7月号 -
発表期間2003年6月10日 -
巻数既刊30巻(2023年9月現在)
漫画:ニャンコ先生が行く!
原作・原案など緑川ゆき
作画カネチクヂュンコ
出版社白泉社
掲載誌LaLaメロディonline→花LaLa online
マンガPark
レーベル花とゆめコミックススペシャル
発表期間2013年11月22日 - 2019年10月29日
巻数全5巻
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『夏目友人帳』(なつめゆうじんちょう)は、緑川ゆきによる日本漫画作品。2007年9月号から『LaLa』で連載中。初出は『LaLa DX』(白泉社)2003年7月号。同誌2005年1月号から読み切りのシリーズとして隔月連載され、一部作品は『LaLa』(白泉社)に掲載された。2022年1月時点で国内累計発行部数は1700万部を突破している。

アニメシリーズは2008年から6作が放送され、2018年9月には劇場版が公開[1][2]。『LaLa』付録としてドラマCDが制作されたこともある。

2013年11月から2019年10月まで白泉社のウェブコミックサイト『LaLaメロディonline』『花LaLa online』『マンガPark』でカネチクヂュンコによるスピンオフ4コマ漫画『ニャンコ先生が行く!』が連載された。
あらすじ

高校生の夏目貴志は、幼いころから普通の人には見えない妖(あやかし、妖怪)の姿を見たり、声を聴くことのできる能力を持っていた。両親を亡くした貴志は、その能力のため「うそつき」「薄気味悪い」と言われ、父方の親戚を転々としていたが、遠縁の藤原滋・塔子夫妻に引き取られる。貴志は厄介者の自分を引き取った藤原夫妻の愛情に報いるため、自分の能力を隠しとおすと決めていた。ある日、「名前を返せ」と言う妖に襲われた貴志は、逃げる途中祠に封じられた妖怪斑(まだら)の封印を解いてしまう。貴志を見た斑は「夏目レイコじゃないか」と尋ねる。レイコは貴志の母方の祖母だった。貴志はレイコの数少ない遺品の中から「友人帳」を見つける。

友人帳は貴志と同様に妖が見え、周囲から孤立していたレイコが妖怪たちと勝負し、負かした結果、奪った名を集めた契約書の束だった。やがて、友人帳は「多くの妖を従え、使役出来る宝物」として妖たちの間に噂として広まっていた。斑は貴志から友人帳を奪おうとするが、貴志は斑と「俺が死んだら友人帳はお前にやる」という約束をし、かわりに斑は貴志の用心棒となる。依り代である招き猫と強く結びついてしまった斑は普通の人間には「頭の大きな猫」に見えるためニャンコ先生と呼ばれるようになる。こうして、貴志とニャンコ先生は友人帳から名を取り戻そうとする者、友人帳を奪おうとする者、希有な存在である貴志を喰らおうとする者、夏目レイコの復活を知って訪ねてきた者、相談事を抱えてきた者など様々な妖怪たちと関わりを持つことになる。レイコと妖怪たちとの繋がりは力任せな主従関係といった単純なものではなく、人から避けられ、人を避けて生きたレイコとそんなレイコを見かねた妖怪たちとの想い出の数々でもあった。貴志はレイコとの唯一の繋がりであり、名を縛られた妖たちにとっては命も同然の友人帳を大切に扱うようになる。また、様々な出来事を通じて妖たちとの出会いと別れを繰り返し、彼らが抱えた事情や想いを知ってゆく。

高校では北本や西村という友人が出来る。また転校生で僧侶の息子田沼要、好事家の祖父から妖に関する秘術を受け継いだ少女多軌透と知り合い友達になる。二人は北本や西村と違い貴志の抱える秘密と事情を知って協力を申し出てくれる。だが、妖の存在は感知できても見ることが出来ず身体的に悪影響を受けやすい要、魔法陣により限定的に妖の姿を見ることが出来てもそれがために命に関わるトラブルに見舞われた透を巻き込むまいとして貴志は二人にも言えない秘密を抱えることになる。また、貴志は「式」(式神)を使役し、妖に纏わる怪異現象を請け負う「祓い屋」でありイケメン俳優でもある名取周一と知り合う。体表にイモリの妖怪が這い回る周一は貴志と同様に妖怪が見えることから普通の人々から距離を置き、妖を憎んでいた。同じ悩みを抱えた貴志に周一は好意的に振る舞い、妖祓いの手伝いをさせるようになる。だが、貴志は信頼出来る周一にも友人帳の存在だけは教えることが出来なかった。周一と関わるうち、貴志は祓い屋の大家「的場家」の現当主的場静司とも知り合う。ときに暴力的かつ強引な手段で妖たちを従え、祓う静司たち的場一門を貴志は警戒する。だが、静司は式を素手で撃退するほど強力な妖力を持つ貴志に目をつける。

レイコと同じく普通の人々と異なる力と理解されない孤独、天涯孤独の境遇を味わいながらもレイコが得られなかった「大切な人たちとの繋がり」を得た貴志は藤原夫妻や友人達といった「大切なもの」を守るため、ニャンコ先生と共に日々奮闘する。
舞台

主な舞台となっているのは自然豊かな田舎町。藤原夫妻が貴志を引き取る際に「若い子をこんな田舎に住まわせるのは気の毒」と気後れしたほど。辺りには山や森が数多くあり、土着神を祀った祠やいわれのある寺や神社が点在する。もともとは信仰心の厚い土地柄だったようだが時代の変遷と共にそれが失われつつあり、人間の信仰心を糧として力を得てきた妖たちが力の喪失や没落といった憂き目を見ている。大きな街からもそう離れておらず、必要に応じて街に出ることもある。

明確な舞台設定は無いが、劇中には作者の出身地・在住地である熊本県人吉市の風景をモデルとする描写が多数存在する。そのため、人吉市やその近辺の地域では、いたるところに夏目友人帳に関連するもの(グッズ・ポスター等)が数多く存在する。アニメ第3期製作にあたっては、作者自らが熊本県のお気に入りの風景を監督・アニメスタッフに紹介しており、人吉球磨の風景が参考にされていることから、郡市の新規PR事業にタイアップすることが2011年6月に発表された。アニメ第4期夏目友人帳 肆「♯12 記憶の扉」において、福岡県福岡市や福岡市早良区次郎丸、同賀茂周辺の描写がなされ、主人公が手に持つ地図が福岡市内のそれと同じものであることが、作中にて分かる。
登場人物

「声」は、ドラマCD版・テレビアニメ版共通の担当声優。作中では貴志は「夏目」、レイコは「レイコ」と呼ばれ、妖怪は自分達を「妖」(あやかし)と称しており、本項ではそれに従う。
主要人物
夏目 貴志(なつめ たかし)
声 -
神谷浩史[3]藤村歩(少年時代)7月1日生まれ。B型。身長167cm。好きなものは猫、黒ニャンコ。主人公。常人には見えない「妖」を見る能力を持っている少年。強大な妖力を持っていたと言われる「夏目レイコ」の孫。世分高校1年でクラスは2組。アニメ版では途中で高校2年に進級している[注 1]。生まれてすぐに母親を、まだ小さいうちに父親(声 - 小西克幸[注 2] を亡くしている。父親のことは少し覚えているが、思い出すと辛くなるため、あえて忘れようとしていたら大切なことも忘れてしまった。両親を亡くして以来、妖が見えるゆえの奇行も一因となって親戚の間をたらい回しにされていたが[注 3]、最近ようやく父方の遠縁の藤原夫妻のもとに落ち着いた[注 4]。祖母・レイコの遺品である「友人帳」を手にして以来、そこに書かれている名を妖達に返すため、またそうした活躍により貴志とニャンコ先生の名声が高まるにつれて面倒事が舞い込む機会が増え、せわしない日々を送っている。多くの妖を従えることさえ可能にする友人帳を持ちながらも、貴志自身は基本的に友人帳を名を返す時以外で使うことを良しとしていない。また、ともすれば危険なものであるという責任感以外にも、自分と通じるところがありながらも孤独であった祖母の唯一の形見として、友人帳を大事にしている。当初は妖が見える能力を疎んじ、見えなくなることを願っていたが式すら見えなくなり廃業に追い込まれた祓い屋と関わったことや、一時的に視力が低下し「普通の人の普通の目」になった際に感じた不安からいつの日かニャンコ先生やヒノエたちが見えなくなることを恐れるようになる。ニャンコ先生たちの出会いもあり昔と比較すれば精神的にはかなり安定している。とはいえニャンコ先生たちと出会う前に親交のあった人々からは今でも気味悪がられたり蔑視されるなど腫物扱いが続いている。夏目自身も昔の知り合い達のことは快く思っていないが、時としてニャンコ先生の制止を振り切り彼らと友好的な関係を築きなおそうとする。が、その度に過去の自分への差別や偏見を目の当たりに再び傷つくことを繰り返してしまっている。一方で時には和解できる稀有な出来事もあり、夏目自身の努力が実を結ぶ時もある。一人称は「おれ」、「僕」。藤原夫妻を除く主要人物たちからは「夏目」と呼ばれる。LaLa2018年11月号のキャラクター人気投票では、第1位を獲得。
【外見】
祖母レイコとそっくりの端正な容姿をしている。初対面の妖にはよくレイコと間違われる。祖母のレイコ同様、髪色は灰色がかった色[注 5]。他の登場人物からたびたび「マッチ棒」「白アスパラ」「軟弱な奴」「もやし」「オンナオトコ」などと評されており、細身で体格の良くない設定。作者によると「夏目のコンプレックスは女顔」とのこと。服装は普段は学校の制服姿でいることが多い。私服も高校生らしく落ち着いた服を着こなしている。冬にはマフラーを巻いていることも多い。作者によると「実はチンピラっぽいシャツが好き」という設定があり、まれに夏場を中心にそれっぽいポロシャツを着ていることがある。
【能力】
普通の人々には落書きにしか見えない友人帳を誰に教わったわけでもなく読み解くことが出来る。そして名を奪われた妖に対し、レイコの縁者として友人帳からその名を探し出して返す。ただ名を返すためには相手の顔を知る必要がある。また祖母譲りの強大な妖力を持ち、ゲンコツ一発で妖や式を退けることもある。また、高度の秘術で隠された物を見つけたり、周一らの指導の上で祓いの術を発動することも出来る。だが、基本的に事なかれ主義で自衛以上には祓う力を得ようとはしない。ただ、守りたいと思う人やものが増えたため、護るための術を覚えたいという気持ちと、妖に対する価値観が大きく異なる祓い屋から学ぶことへの葛藤を抱える。あまりにも普通に妖が見えてしまうため妖と人の区別がつかないことがある、強力な妖力を妖に狙われやすい割に自身の防衛手段がゲンコツのみのため気付かぬうちにとり憑かれたり呪われたり妖力を吸われたりする。名を返す作業や、妖気に中てられる等して体調を崩すなど身体的にはレイコほど丈夫ではない。強力な妖怪・斑を使役[注 6] していることから祓い屋たちからはその能力を驚嘆されている。その能力をむやみに利用しないが故に友人帳の力に頼らずとも夏目組・犬の会の面々のようにほぼ無条件で力を貸す存在がいる。
【対人関係】
孤独な過去の経験が影響してか、周囲に対して一歩引いて接してしまう傾向があるが、根は情誼に厚く、人間のみならず妖にも強く感情移入する。塔子、要、タキ、周一ら貴志が大切に思う人にほど嘘を重ね、秘密を作ってしまう。特に心優しい塔子に対しては怪我の理由や外出の目的などほぼ毎回のように嘘をつくことになってしまっている。劇中、貴志が完全な本性で接することが出来ているのはニャンコ先生だけ。ニャンコ先生との関係は主従関係が話題になると必ず喧嘩になる。実のところ「相棒」というのが適切。円滑な人間関係を維持するため感情を圧し殺して謙虚で慇懃に振る舞うこともある。


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