変動地形
[Wikipedia|▼Menu]
モンゴルゴビ砂漠で見られる断層崖

変動地形(へんどうちけい、英語: tectonic landform)は、地殻変動の影響で形成された地形のことであり、新しい変動帯において特徴的に見られる[1]。断層地形、褶曲地形、曲隆山地、曲降盆地、傾動地塊などが含まれる[2]

もともとは構造地形(structual landform)として扱われていたが、侵食地形と区別することが重視されるようになり、変動地形という用語が使用されている[3]

変動地形には大規模なものから小規模なものまで存在し、規模の幅が大きい[4]。大規模な変動地形はプレート運動の影響により[5]、中央海嶺系や島弧海溝系が挙げられ、プレートテクトニクスとの関わりが深い[4]。中規模の変動地形は地殻の変動で形成され、断層地形、曲動地形、褶曲地形などが挙げられる[5]。小規模の変動地形では、岩石強度の超過による断裂などが挙げられる[6]

変動地形を判読するためには侵食地形や堆積地形ではないこと、すなわち地殻変動に起因する地形であることを確認する必要がある。地形面や地形線の変形をもとに判断していけばよい[1]
断層地形

断層地形(だんそうちけい、fault topography, fault landforms)とは、断層が任意の形態で地表面に表出している地形のことである[7][8]。断層地形は断層変位地形(displaced fault landforms)と断層削剥地形(denuded fault landforms)の2つに分けられる[9]
断層変位地形

断層変位地形とは断層運動に伴い直接的に形成された地形のことである[7]。縦ずれ断層運動によって形成された地形を縦ずれ断層変位地形[10]、横ずれ断層運動によって形成された地形を横ずれ断層変位地形とよぶ[11]

縦ずれ断層運動に伴い地表面の上下方向でのズレが発生し[12]断層崖(fault scarp)や撓曲崖(flexure scarp)などが形成される[12]。断層崖と撓曲崖をあわせて変動崖(tectonic scarp)といい、山地盆地平野の境界において形成されることが多い[12]

断層崖は断層運動による地表面の切断によって形成され、撓曲崖は地表面のたわみによって形成される[12]。断層運動による変位が小さいときは、地層上部が塑性変形に限られ剪断変形がなされないため撓曲が起こる[13]が、変位量が大きいとき、あるいは断層運動が繰り返された場合は剪断変形により地表面が切断され、断層崖が形成される[14]アメリカ合衆国のサンアンドレアス断層で見られる横ずれ断層変位地形

一方、横ずれ断層変位地形では水平方向に地表面のズレが発生し[12]、地形線の屈曲などに現れる[15]。このような屈曲し食い違った状態のことはオフセット(offset)とよばれる[16]。オフセットに着目することで、右横ずれ断層と左横ずれ断層を見分けることができる[16]

オフセットが起きている谷を横ずれ谷(offset valley)、尾根については横ずれ尾根(offset ridge)という[16]。また、尾根の横ずれに伴い、近隣の谷の前面が囲まれて形成された地形を閉塞丘とよぶ[15]。この他、横ずれに伴い局所的な地形の膨らみや凹地の形成も起こる[17]

なお、断層変位地形は活断層の存在を把握するために重要であり、地震予知の観点からも研究が進められている[18]
断層削剥地形

断層削剥地形は、古い断層の影響による差別侵食によって形成された直線状の削剥地形のことで、断層線崖(fault-line scarp)、断層線谷(fault-line valley)などに分けられる[19]。断層線崖とは、古い断層線を境界として岩石層の侵食の受けやすさが異なることにより、侵食されやすい側が削剥されることでつくられる崖のことである[20]。断層線谷とは、古い断層がある場所で、侵食を受けやすい断層破砕帯で削剥が進行することで形成される谷のことである[21]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:47 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef