[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、塩化ナトリウムを主な成分とする.mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}塩(しお)について説明しています。

塩基中和反応などによって生じる化合物の塩(えん)については「塩 (化学)」をご覧ください。

塩化ナトリウムについては「塩化ナトリウム」をご覧ください。

その他のSALTについては「SALT」をご覧ください。

その他のソルトについては「ソルト」をご覧ください。

「海塩」はこの項目へ転送されています。中国の県については「海塩県」をご覧ください。

「粗塩」はこの項目へ転送されています。「荒潮」とは異なります。
塩の結晶

塩(しお、: salt)は、塩化ナトリウムを主な成分とし、海水乾燥岩塩の採掘によって生産される物質。塩味をつける調味料とし、また保存(塩漬け・塩蔵)などの目的で食品に使用されるほか、ソーダ工業用・融氷雪用・水処理設備の一種の軟化器に使われるイオン交換樹脂の再生などにも使用される。

日本の塩事業法にあっては、「塩化ナトリウムの含有量が100分の40以上の固形物」(ただし、チリ硝石カイニットシルビニットその他財務省令で定める鉱物を除く)と定義される(塩事業法2条1項)[1]

塩分の摂取を減らす製品には、塩化ナトリウムと同様に塩味を感じるが苦みもある塩化カリウムが含まれている。この塩化カリウムは、多くの国で摂取される植物灰から得られる塩に多く含まれる。
製法井水を煮詰めて塩を作る様子(中華人民共和国自貢市岩塩の採掘現場(スペインウユニ塩原の塩採掘「塩生産国の一覧(英語版)」も参照
原料

塩は大きく分けて以下の4つの原材料から作られる。
岩塩
岩塩を採掘する。主にヨーロッパ北アメリカにて行われる。岩塩は、かつて海であった土地が地殻変動により地中に埋まり海水の塩分が結晶化した地層から採掘できる。岩塩の製法は溶解採掘法と、乾式採掘法に分かれる。溶解採掘法は一度水に溶かし、煮詰めて塩を取り出す方法である。不純物が少なく欧米では食用として一般的に用いられる製法である。一方、乾式採掘は直接掘り出す方法で、不純物が混じりやすく、また硬いので食用には適さないが、ヒマラヤ産などの結晶が大きく塊で取り出せるものの場合、そのまま風味のある岩塩として食用に用いられる。
海塩(天日塩など)
海水から塩を取り出す。古来の方法としては、塩田において天日製塩法で作る。西ヨーロッパメキシコオーストラリアなど。海塩は主に天日製塩法で作られる。この製塩法は、海水を塩田に引き込み、1 - 2年程度の期間で塩田内の細分化された濃縮池を巡回しながら太陽と風で海水を濃縮していき採塩池で結晶化した塩を収穫する方法である(メキシコやオーストラリア・ヨーロッパの沿岸地域に多い)。なお、アメリカの一部の州や韓国では好塩菌混入などの問題から天日塩の直接の食用使用を制限し禁止している。処理法として海塩を焼成して焼塩として食用に供する方法もある。
湖塩
塩湖が干上がって出来た塩類平原などから採取する。ボリビアウユニなどで採取されている。
井塩(山塩、地下塩水塩)
大陸の内陸部である中国四川盆地富順県、古代にツェヒシュタイン海(ドイツ語版)という塩湖があったドイツなどで、塩を含んだ塩化物泉温泉・地下水からの製塩(塩井)が行われ、井塩(せいえん)が製造されている[2]。日本では、福島県の大塩裏磐梯温泉や長野県の鹿塩温泉などで小規模ながら温泉から製塩が行われている。
その他
灰塩 - 雨が多い地域や内陸部で見られる塩分を含んだ海藻や植物を焼いた灰から塩分を採取する方法

世界の塩の生産量は2008年で2億650万トンと言われておりそのうち天日塩が約36%である[3]
製法

塩水を天日により乾燥させる天日製塩法

風による蒸発を促進させる流下式塩田(
グラディアヴェルクなど)

天日や風で濃縮された塩水を塩釜や製塩土器で煮詰める煎熬採塩法

真空式製塩法

カナワ式製塩法

ST式製塩法

イオン交換膜製塩法・揚浜式製塩法・瞬間結晶など。

灰塩 - 日本古来の塩の製造方法に諸説あるが藻塩焼があり、塩分を含んだ海藻を天日で乾燥させた後に焼いて灰塩として、それに海水を加えて濃して煮詰めて塩を作ったという説がある[4]。ウィトト族(英語版)などの南アメリカ・中央アメリカの民が選別する複数種の植物を焼いて灰塩を得ていた[5]。中央アフリカのチャドなどでは、オギノツメ属のHygrophila auriculataなどを焼いて灰塩を採取する。これらの植物から得られる塩には塩味を感じる塩化カリウムが多く含まれる[6][7]ニューギニアの内陸部のモニュ族でも植物を焼いた灰から塩を作る[8]

日本

日本では岩塩としての資源がなく、固まった塩資源は採れない。また、年間降水量も世界平均の2倍であることから日照時間が比較的長い瀬戸内地方能登半島など、一部地域以外は塩田に不向きである。このため、塩を作るには、もっぱら海水を煮詰めて作られる。これは、天日干しに比べて、燃料や道具などが必要になるためコストがかかり、大規模な製塩には向かない方法である。そのため自給率は食用塩が85 %であるが、工業用を含めると全消費量の85 %を輸入に頼っている[9]

海水から製塩するには、直接海水を煮詰めて食塩を得るより、一度、濃度の高い塩水を作ってから煮詰めたほうが効率が良い。この濃い塩水を「鹹水(かんすい)」と言い、この作業を「採鹹(さいかん)」、また煮詰める作業を「煎熬(せんごう)」という。

古代の日本の製塩法は、文献や民俗資料から推測されている。古墳時代までは、『万葉集』に「藻塩焼く(もしおやく)」[10]「玉藻刈る(たまもかる)」などと枕詞にあるように、海岸に打ち上げられたホンダワラなどの海草が天日で乾燥されて表面に析出した塩の結晶を、(かめ)に蓄えた海水で洗い出し、塩分を海水のほうに移す作業を何回も繰り返すことにより鹹水を得るというのが一説だが、また、打ち上げられた海草を集めて焼き、その灰を海水に溶いて塩分や海草のヨードなどの養分を溶かし出し、灰を布で濾し出して鹹水を得るという説もある。海水を煮詰める工程において専用に用いられた土器は、製塩土器と呼ばれている。沿岸各地の遺跡、遺物埋抱地で見つかっている。この製法は中国地方では弥生時代中期頃に、岡山県の児島半島付近で始まったといわれている。遺跡は、岡山県下では足守川や旭川の下流域、さらには邑久平野へと広がっている。

その後、万葉時代頃から、揚浜式塩田などの塩田法による製塩に移行していった。江戸時代の江戸塩職人は「壷焼塩」と呼ばれる塩を作っていた。これは、石臼で挽いた粗塩を素焼きの壺に入れ釜で二昼夜以上高温で焼いて作り上げるが、非常に高価で貴重であることから、黒船で来日したマシュー・ペリーをもてなす宴会二の膳に出された[11]

揚浜式製塩法は入浜式製塩法、1950年代には枝条架(しじょうか)式とも呼ばれる流下式製塩法、1970年代にはイオン交換膜製塩法へと変化していった。このような海水からの製塩法では、副産物として豆腐の原料となるにがりができる。専売制

1997年平成9年)に塩などの専売制が廃止され、2002年(平成14年)には塩の製造販売が完全自由化された。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:112 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef