塩辛
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いか類加工品 塩辛[1]100 gあたりの栄養価
エネルギー490 kJ (120 kcal)

炭水化物6.5 g

脂肪3.4 g
飽和脂肪酸0.74 g
一価不飽和0.57 g
多価不飽和1.24 g

タンパク質15.2 g

ビタミン
ビタミンA相当量(25%) 200 μg
リボフラビン (B2)(8%) 0.10 mg
ナイアシン (B3)(22%) 3.3 mg
パントテン酸 (B5)(12%) 0.61 mg
ビタミンB6(24%) 0.31 mg
葉酸 (B9)(3%) 13 μg
ビタミンB12(696%) 16.7 μg
ビタミンE(22%) 3.3 mg

ミネラル
ナトリウム(180%) 2700 mg
カリウム(4%) 170 mg
カルシウム(2%) 16 mg
マグネシウム(14%) 48 mg
リン(30%) 210 mg
鉄分(8%) 1.1 mg
亜鉛(18%) 1.7 mg
(96%) 1.91 mg

他の成分
水分67.3 g
コレステロール230 mg
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[2]。試料: 赤作り


単位

μg = マイクログラム (英語版) • mg = ミリグラム

IU = 国際単位

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。

ヤリイカ(塩辛、100g中)の主な脂肪酸の種類[3][4]項目分量(g)
脂肪総量3.4
脂肪酸総量2.6
飽和脂肪酸0.74
一価不飽和脂肪酸0.57
多価不飽和脂肪酸1.2
18:2(n-3)リノール酸0.036
18:3(n-3)α-リノレン酸0.028
20:4(n-3)アラキドン酸0.039
20:5(n-3)エイコサペンタエン酸(EPA)0.026
22:6(n-3)ドコサヘキサエン酸(DHA)0.69

塩辛(しおから)は、魚介類の身や内臓などを加熱すること無く塩漬けにし、素材自体の持つ酵素[5]及び微生物によって発酵させ、高濃度の食塩により保存性を高めた発酵食品である[6]。食味改善や保存性向上の目的で副材料(発酵を促進するために、保存性を高める為に日本酒、脂肪の酸腐を抑制するために唐辛子)を加える例もある[7]。塩辛を単独で副食食材とすることもあるが、調味料としての役割も多い。

類似のものに、獣肉や鳥肉を原料とした肉醤(ししびしお)、魚を原料とした魚醤(うおびしお)がある[8]。製造技術的には魚醤との差は非常に少なく区別をすることは難しい[7]

今田(2003)ら[7]による調査では、明治から昭和初期の伝統的な製法では材料3に対し食塩1(食塩濃度約23%相当)を加えるものが多かったとしているが経験により季節・魚の鮮度・大きさなどで微調整され、地域や素材(魚種)により塩分量はバラバラである。また、総じて麹を添加する場合の塩分量は少ないと報告している。更に脱水・脱脂・魚臭抑制などを目的として予め1?2日塩漬けの前工程を設ける事もある。
分類

伝統製法の塩辛と簡易製法の塩辛は区別される。

伝統製法 - 塩辛。常温での流通が可能。

簡易製法 - 低塩分塩辛。生産から流通全ての工程で一貫した温度の管理(10℃以下)が必要
[9]。「要冷蔵」表示が必要である[10]

歴史

694年から710年の間に奈良県の藤原京跡から、地方より税としておくられた品物につけた木製の荷札である多数の木簡が発掘されている。その一つにフナの塩辛を意味する「鮒醢」と書かれたものがあり、これが日本における塩辛の文献的初出である。[11]平安時代末期には『今昔物語』に今日使われる「塩辛」との文字が現れる。しかし、江戸時代以降の塩辛と同じものと確認できないことと、時代的に孤立していることから、初出は『日葡辞書』とされる事がある。16世紀から記録が確認できる『なし物』との併用がしばらく続いた後、江戸中期後半以降に塩辛という名称で定着した[12]。文献[13]には、やや訛った『しょうから』(鳥取市)や、『しょから』(志摩市)の事例が掲載されている。なお、沖縄県では、塩で辛くするという意味から「?ガラス(辛す)」という独自の方言で呼ばれている。
塩辛の種類

使用される部位と材料の例[7]

全体 - イカエビアミシオマネキイワシカタクチイワシアイゴの幼魚

魚肉のみ - ニシンイワシケンサキイカ

内臓のみ - サケアワビアユカツオイワシ

生殖巣 - ウニアユの卵巣

日本

現代の日本で一般的に塩辛というとイカの塩辛を指すがイカ以外にも様々な魚介類を原料としている。たこわさび

イカの塩辛 - イカの身の細切りに、内臓、塩を和えて造る。詳細は後述。

タコの塩辛 - イカの塩辛と同様に作られる。ワサビと共に漬けたものは、たこわさび(たこわさ)という。ミズダコヤナギダコの卵の塩辛など、各種が存在する。

エビの塩辛 - ホッコクアカエビ・甘エビなどのエビを漬けたもの。

アミの塩辛 - アキアミイサザアミツノナシオキアミなどを丸ごと塩蔵したもの。詳細は後述。

がん漬 - シオマネキヤマトオサガニ、アリアケガニなど、干潟に産する小型のカニを潰し塩辛にする。

カツオの塩辛 - 高知県酒盗(しゅとう)、沖縄県のワタガラスなど。

ひしこ(鯤) - イワシ

スクガラス - アイゴの稚魚を塩蔵したもの。

うるか(鮎うるか) - の内臓や身

の塩辛 - タイの、卵、白子

めふん - 腎臓

たらこの塩辛 - タラの魚卵を発酵するまで塩蔵したもの。

このわた - ナマコの内臓。

ホヤの塩辛 - ホヤの全体を漬けた物。

莫久来(ばくらい) - 海鼠腸(このわた)とホヤの塩辛を混ぜたもの。

エタリの塩辛 - 長崎県雲仙市の郷土料理。エタリとはカタクチイワシの意。

その他 - マグロサバシラウオカキサザエシャコガイトコブシホタテのヒモなど、多種ある。


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