塩化亜鉛
別称塩化亜鉛(II)
二塩化亜鉛
識別情報
CAS登録番号7646-85-7
275 °C, 548 K, 527 °F
沸点
756 °C, 1029 K, 1393 °F
水への溶解度432 g/100 mL (25 ℃)
構造
結晶構造4つの結晶系があり、無水物では β 相が最も安定。
配位構造四面体形, 気相では直線形
危険性
安全データシート(外部リンク) ⇒External MSDS
EU分類有害 (Xn)
腐食性 (C)
環境への危険性 (N)
EU Index030-003-00-2
RフレーズR22, R34, R50/53
Sフレーズ(S1/2), S26, S36/37/39, S45, S60, S61
関連する物質
その他の陰イオンフッ化亜鉛
臭化亜鉛
ヨウ化亜鉛
その他の陽イオン塩化カドミウム
塩化水銀(II)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
塩化亜鉛(えんかあえん、Zinc chloride)とは、亜鉛の塩化物である。1648年にドイツの J. R. グラウバーによって最初に合成された[2]。
無水物の斜方晶は塩素が六方最密構造、亜鉛が4面体空孔に配置した構造。過剰な塩素の存在や濃厚溶液では亜鉛に四面体型に塩素が配位した[ZnCl4]2-構造が見られる。28 ℃以上では無水塩が[3]、28 ℃以下で水和物を形成し、28 ℃で1.5水和物、11.5 ℃で2.5水和物、6 ℃で3水和物、?30 ℃で4水和物を形成することが知られている[2] 。
潮解性を示し水溶液は一部が加水分解により中程度の酸性(pHは4前後)を示す 。濃厚溶液は粘度が高く蛍光を発する。水の他にエタノール、アセトン、グリセリン、エーテルにも溶ける。
加熱すると分解し、有毒なヒューム(煙、粉塵: 塩化水素、酸化亜鉛)を生じる。
製造法は金属亜鉛または酸化亜鉛に塩酸を加えると得られる。あるいは工業的には無水塩化亜鉛は亜鉛と塩化水素から以下の反応で生成する[2] 。 Zn + 2 HCl ( g ) ⟶ ZnCl 2 ( s ) + H 2 ( g ) {\displaystyle {\ce {Zn\ + 2HCl(g) -> ZnCl2(s)\ + H2(g)}}}
用途はめっきの際の表面清浄剤、羊毛の難燃性処理、にかわ製造、防腐剤など[2]あるいはマンガン乾電池の電解液に使われる。
はんだ付けの際、融剤として用いられる。これは塩化亜鉛の水溶液が加水分解されて酸性を示し、金属酸化物を溶かしやすいことと、はんだ付けの温度では蒸発してしまうことがないからである。
塩化亜鉛の微粉末(ヒューム)は刺激性であり、眼、呼吸器あるいは皮膚を刺激する。ヒュームを大量に吸引するとチアノーゼを起こす[2] 。水生生物に対して毒性が強い[1]。
また寒剤にもなり、塩化亜鉛/氷 を51:49で混合すると、?62 ℃と低温になる。
参考文献
『世界大百科事典』[2]
『岩波理化学辞典』[3]
脚注[脚注の使い方]^ a b ⇒国際化学物質安全性カード 塩化亜鉛 ICSC番号:1064 (日本語版), 国立医薬品食品衛生研究所, ⇒http://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_card_id=1064&p_version=2&p_lang=ja
^ a b c d e f 水町 邦彦、「塩化亜鉛」、『世界大百科事典』、CD-ROM版、平凡社、1998年。
^ a b 長倉三郎ら(編)、「塩化亜鉛」、『岩波理化学辞典』、第5版 CD-ROM版、岩波書店、1998年。
関連項目
塩化物
亜鉛
寒剤
有機亜鉛(I)化合物
Zn2(C5(CH3)5)2
Zn(II)
Zn3As2
ZnBr2
ZnCl2
Zn(ClO3)2
Zn(ClO4)2
Zn(CN)2
ZnCO3
ZnCrO4
ZnF2
ZnH2
ZnI2
Zn(MnO4)2
ZnMoO4
Zn3N2