基本周波数(英: Fundamental frequency)とは、信号を正弦波の合成(例えばフーリエ級数)で表したときの最も低い周波数成分の周波数を意味する。基本波とも言う。
音楽では、発音体の出す音が複合音(いくつかの振動数からなる複音のこと)の時、そのもっとも低い音(最も低い周波数の音)を基音(Fundamental tone)と呼び、fo と表記する。例えば楽音にはもとになる音が一つあって、それに高い音がいくつか交わる。この一番低い音が基音で、もっとも高い音が上音である。
また、情報理論では、周期性のある信号の最小周期区間の繰り返し頻度を基本周波数と呼ぶ。
定義詳細は「フーリエ級数」を参照
周期が T {\displaystyle T} (秒)である周期関数 f ( t ) {\displaystyle f(t)} において、
f 0 = 1 T {\displaystyle f_{0}={\frac {1}{T}}} (Hz)
とおくと、この周期関数は、
f ( t ) = a 0 2 + ∑ n = 1 ∞ ( a n cos 2 π n f 0 t + b n sin 2 π n f 0 t ) {\displaystyle f(t)={\frac {a_{0}}{2}}+\sum _{n=1}^{\infty }(a_{n}\cos 2\pi nf_{0}t+b_{n}\sin 2\pi nf_{0}t)}
とフーリエ級数展開することができる。( a 0 {\displaystyle a_{0}} 、 a n {\displaystyle a_{n}} 、 b n {\displaystyle b_{n}} はフーリエ係数)
このとき、 f 0 {\displaystyle f_{0}} を基本周波数とよび、 n f 0 {\displaystyle nf_{0}} ( n ≧ 2 {\displaystyle n\geqq 2} )の成分を高調波とよぶ[1]。 楽器の基本周波数を求める例として、一方の端が閉じた管を考えたとき、次の方程式が成り立つ。なお、F は基本周波数、V は音速、L は管の長さである。 F = V 4 L {\displaystyle F={\frac {V}{4L}}} L を求めるには次の式を用いる。 L = λ 4 {\displaystyle L={\frac {\lambda }{4}}} λ(波長)を求めるには次の式を用いる。 λ = V F {\displaystyle \lambda ={\frac {V}{F}}} 両端が開いた管の場合は、次のようになる。 F = V 2 L {\displaystyle F={\frac {V}{2L}}} L を求めるには次の式を用いる。 L = λ 2 {\displaystyle L={\frac {\lambda }{2}}} 波長とは、周期の始点と終点の距離であるから、次の式で求められる。 λ = V F {\displaystyle \lambda ={\frac {V}{F}}} 70°F(21.1℃) での空気中の音速は約 1130 ft/s(340 m/s)である。音速は気温によって変化し華氏で1°上がると 1.1 ft/s の割合で速くなる。あるいは摂氏で1°上がると 0.6 m/s の割合で速くなる。 音波の速度は気温によって異なり、 となる。 金管楽器では基音(基本周波数)のことをペダル・トーンという。通常の演奏では用いられないが、ペダル・トーンの演奏は特殊奏法として、また技能向上のトレーニングとして演奏される。 一方の端が固定され、もう一方の端に質量が付加された梁(ビーム)があるとき、これは1自由度振動を行う。動ける状態になると、この系は固有振動数で振動する。1自由度振動では系は単一の座標で表され、その固有振動数は質量と(梁の)硬さで決定される。角固有振動数 ωn は次の方程式で求められる。ωn2 = k/m ここで、k = 梁の硬さm = 付加された質量ωn = 角固有振動数(ラジアン/秒)?n = 固有振動数(ヘルツ) 角振動数が分かれば、ωn を 2π で割れば、固有振動数 ?n が得られる。角固有振動数を先に求めない場合、固有振動数は次のように直接求められる。?n = (1/2π)((k/m)?)
楽器の基本周波数(基音)
20℃で V = 343.7 m/s
0℃で V = 331.5 m/s
ペダル・トーン
力学系の基本周波数詳細は「固有振動」を参照
出典^ 『電気学会大学講座 電気・電子基礎数学 -電磁気、回路のための-』 電気学会、1980年、ISBN 4-88686-104-0、pp.119-122
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