基質レベルのリン酸化
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基質的リン酸化でATPが生成する反応の模式図

基質レベルのリン酸化(きしつレベルのリンさんか、substrate-level phosphorylation)または基質的リン酸化とは、高エネルギー化合物からアデノシン二リン酸(ADP)またはグアノシン二リン酸(GDP)へリン酸基を転移させてアデノシン三リン酸(ATP)またはグアノシン三リン酸(GTP)を作る酵素反応を指す。化学エネルギー(官能基移動エネルギー(ドイツ語版))がATPまたはGTPに蓄積される。この反応は細胞内では平衡に近く、調整を受けることはない。酸化的リン酸化とは異なる反応である。


目次

1 反応

2 意義

3 実例

4 出典

5 関連項目


反応

基質的リン酸化では、リン酸化された中間基質からリン酸基(無機リン酸塩)がADPやGDPに転移される。

反応の上流は酸化反応であることが多い。アルデヒドカルボン酸に酸化される時のエネルギーは、カルボン酸のリン酸エステル化で使用される。生成されたリン酸無水物は高いエネルギーを持つ。ピルビン酸等のケトン基を持つ分子は酸化的脱炭酸(ドイツ語版)される。酸化エネルギーは補酵素Aのチオエステル基に渡される。リン酸基を受け渡された化合物は、ADPやGDPのリン酸化に充分なエネルギーを持つ。
意義

基質的リン酸化は、外部の電子伝達系が呼吸鎖で利用可能か否かに拘らず速やかにATPを産生できる。ヒトでは、ミトコンドリアのない赤血球好気呼吸解糖系が産み出すエネルギーを独占できない状況で起こっている。筋肉系(英語版)では酸素供給が不足していても基質的リン酸化のみでエネルギーを供給できる。にも拘らず、一般には好気的呼吸や嫌気的呼吸ではより多くのATPを産出できる。

基質的リン酸化反応がなければ、酸化等の反応で放出されたエネルギーは単に熱となって失われてしまう[1]
実例

基質的リン酸化の例を下に挙げる:

解糖系の報酬期:
1,3-ビスホスホグリセリン酸 + ADP → 3-ホスホグリセリン酸 + ATP(関与する酵素:ホスホグリセリン酸キナーゼ(英語版))ホスホエノールピルビン酸 + ADP → ピルビン酸 + ATP(関与する酵素:ピルビン酸キナーゼ(英語版))

クエン酸回路
スクシニルリン酸 + GDP → コハク酸 + GTP(関与する酵素:サクシニルCoA合成酵素(英語版))一部の生物(植物等)では、ここでATPが産生される[2]

発酵過程にも存在することが知られている。
プロピオン酸発酵(ドイツ語版)およびヘテロ型乳酸発酵:アセチルリン酸 + ADP → 酢酸 + ATP(関与する酵素:酢酸キナーゼ)酪酸発酵:ブチリルリン酸 + ADP → 酪酸 + ATP(関与する酵素:酪酸キナーゼ)
出典^ (ドイツ語)Georg Fuchs (Hrsg.), Hans. G. Schlegel (Autor): Allgemeine Mikrobiologie. Thieme Verlag Stuttgart, 8. Auflage 2007, ISBN 3-13-444608-1, S. 200.
^ (ドイツ語)Jeremy M. Berg, John L. Tymoczko, Lubert Stryer: Biochemie. 6 Auflage. Spektrum Akademischer Verlag, Heidelberg 2007; ISBN 978-3-8274-1800-5; S. 543.

関連項目

酸化的リン酸化


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更新日時:2017年3月26日(日)05:27
取得日時:2017/11/15 22:51


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