会話が困難な障害者でも電話が利用できるようにするサービスについては「電話リレーサービス」をご覧ください。
基礎的電気通信役務(きそてきでんきつうしんえきむ)は、文化的な生活に不可欠最低限の電気通信サービスで、ユニバーサルサービスとも呼ばれる。また、ユニバーサルアクセスと呼ばれる電気通信サービスへのアクセス手段に着目した考え方もある。
に不可欠であるため、「あまねく日本全国における提供が確保されるべきもの」として総務省令で定める電気通信役務であると定義されている。基礎的電気通信役務基金制度はユニバーサルサービス基金制度とも呼ばれる、基礎的電気通信役務の提供に係る費用の一部を指定法人を介して各電気通信事業者が負担する制度である。
市場原理では、サービスが提供されないもしくは費用が高くなりすぎで加入が難しくなる地域・加入者の権利確保のために考えられた手法である。税金による補助金と比較して、競争を阻害しない制度設計が可能とされる。
発展途上国では、農村・漁村などの整備が遅れている地域の設備拡充のための費用を、都市部のより豊かな住民が負担する目的で運用されている。その際、入札を行ってより少ない基金で運営を行おうとする工夫も見られる。
ヨーロッパ・アメリカでは、VoIPサービスの普及により、より少ない固定電話加入者へ負担が集中していることが問題となっている。また、技術の進歩により、移動体通信(携帯電話・PHS)、ブロードバンドインターネット接続などより高度の通信サービスへの適用も議論されている[1]。 費用算出方式として次のようなものがある。 会計上の費用を算出する場合、競争中立性が求められている。 事業者間の費用や役務提供の分担方法についても議論がある。 技術の進歩により、IP電話・無線アクセスなど他のサービス手段のほうが費用が安くなった場合の対応については、2010年代までを目標に、各国で検討が進められている。 現実的には、公衆交換電話網にある電話番号管理システムを公衆交換電話網に接続している各種電話網が利用しているため、電話番号管理システムの利用料金及び維持管理費用として、ほとんどが使用されている。公衆交換電話網がNGNへ移行すれば、各電話網にあるSIPサーバを互いに連携して分散運用することになり、全体として費用逓減が可能となる。 2007年現在、基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者として、東日本電信電話(NTT東日本)と西日本電信電話(NTT西日本)が該当している。 2011年4月27日現在、電気通信事業法施行規則第14条において、次の役務が指定されている。
費用算出方式
収入費用方式(相殺型):採算地域の黒字と不採算地域の赤字とを相殺した上で、賄いきれない費用を他事業者の負担とするもの。競争地域の料金引き下げが他事業者の負担となるという指摘がある。
積上型:不採算地域の赤字を積算し他事業者の負担とするもの。
ベンチマーク方式:全国平均の費用を一定以上上回る地域の積算額を他事業者の負担とするもの。
事業者間接続料金との分担
他のサービスとの共通設備の扱い
販売促進費と通信網の運営費用の分離
施設設置負担金(電話加入権)で設置した施設の扱い
費用負担事業者の範囲の設定
事業者間の費用負担割合の決定方法(売上げ・利益・加入者割当て電話番号数)
より低い費用でできる事業者と役務提供を地域ごとに分担することの是非
移行のための費用分担
移行期間を短くして総費用を少なくする制度設計(強制的に加入者契約を変更・放送サービスと融合させて費用分担を少なくする)
日本の基礎的電気通信役務
日本の基礎的電気通信役務の範囲
自動式アナログ電話の音声伝送役務[2]のうち次のもの
アナログ電話用設備である固定端末系伝送路設備のみを用いて提供される電気通信役務、アナログ電話用設備である固定端末系伝送路設備に対応する部分に係るもの
離島特例通信
警察機関、海上保安機関および消防機関への緊急通報
第一種公衆電話の市内通話、警察機関、海上保安機関ならびに消防機関への緊急通報、および離島特例通信[3]に掛かる音声伝送役務[2]