垂直尾翼
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B-29 スーパーフォートレス の単一垂直尾翼(赤の部分を指す)

垂直尾翼(すいちょくびよく、英語: Vertical stabilizer)またはフィン(英語: fin)は、飛行機を始めとする航空機尾翼の一種で、垂直についている部分。潜水船・高速自動車ホバークラフト等にも設けられることがある。
概要旅客機の垂直尾翼

小さな(よって軽い)尾翼で十分なモーメントを発生できるように、普通は重心から離れた位置に取りつけられる。

いわゆる風見安定によって、航空機ヨー方向への安定性を保つ働きをする。胴体上部に取り付けられる一般的な垂直尾翼の場合、ロール方向の静安定を強める効果もある。垂直尾翼は単純に発生する揚力で効果を推し量ることができないため、その指標として垂直尾翼容積という値が使用される。

機体の中心線上に1枚備わるものが基本だが、機体規模から必要となった面積と比較して全体の空力や強度構造の最適化から求められたり、格納庫の扉や天井高さなどの制約によって、左右に並べて2枚備える場合(F-15 イーグルなど)、3枚備える場合(ロッキード コンステレーションなど)、4枚備える場合(E-2)もある。その他の部位の空力との兼ね合い、またはステルス性確保のため、垂直尾翼が真上向けの文字通りの「垂直」ではなく、2枚構成でかつ外側か内側へ向けて傾斜して装備される機体もある(F/A-18 ホーネットなど)。
種類
シングル・スタビライザー
従来の尾翼エアバスA380の従来の尾翼

垂直尾翼は正確に垂直に取り付けられ、スタビライザーは尾翼(後部胴体)に直接取り付けられている。これは最も一般的な垂直尾翼の構成。
T字尾翼詳細は「T字尾翼」を参照アブロ RJ-85のT字尾翼

T尾翼は、垂直尾翼の上部に水平尾翼が取り付けられる。これは、ボンバルディア CRJフォッカー70ボーイング727ビッカース VC10ダグラスDC-9などのリアエンジン航空機、およびほとんどの高性能グライダーでよく見られる。
十字尾翼詳細は「十字尾翼」を参照

十字形の尾翼は十字架のように配置されており、水平尾翼が中央付近で垂直尾翼と交差する最も一般的な構成。
マルチ・スタビライザー
ツインテールF-15 イーグルの2枚垂直尾翼詳細は「ツインテール (航空)」を参照

ツインテール(双尾翼)航空機には、2つの垂直尾翼が取り付けられている。これらは垂直に配置され、水平尾翼の付け根と交差するように取り付けられている事例が多い。ビーチクラフト モデル 18と、アメリカのF-14トムキャット、F-15イーグル、F/A-18 ホーネットなどの多くの最新の軍用機はこの構成を使用している。F/A-18 ホーネット、F-22ラプターおよびF-35ライトニングIIには、水平操縦翼面としても機能できる角度まで、外側に傾斜した垂直尾翼がある。この二機種は、離陸時にラダーを内側に偏向させてピッチングモーメントを増加させるように設計されている。
トリプルテールロッキード コンステレーションの3枚垂直尾翼

ツインテールのバリエーションで、3枚の垂直尾翼がある。この配置を採用した実例はロッキードコンステレーションである。コンステレーションでは、メンテナンス格納庫に収まるように全高を十分に低く保ちながら、飛行時に最大の垂直尾翼領域をもたらすために3枚配置が採用された。
クワッドテールE-2 ホークアイの4枚垂直尾翼

4つの垂直尾翼を備えたツインテールの別のバリエーション。最も顕著な例は、米国海軍が使用するノースロップグラマンE-2ホークアイAEW&C航空機。
V字尾翼詳細は「V字尾翼」を参照

V尾翼には、明確な垂直尾翼または水平尾翼がない。


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