地震波
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地震波
実体波P波

S波
表面波ラブ波
レイリー波

地震波(じしんは、: seismic wave[1]、earthquake wave[1])は、地震により発生する
地震波の種類

地震波は、実体波と表面波に分類することができる[2]
実体波

「表面波」に対して、媒体内部で粗密やたわみなどの変位が伝播していくものを実体波(body wave)という。
P波(P-wave)

Primary wave(第1波)の略。進行方向に平行に振動する弾性波固体液体気体を伝わる。速度は岩盤中で5 - 7キロメートル/秒、地震発生時最初に到達する地震波で、初期微動を起こす。海上の船舶においては、観測される海震はこれによる。

P波の速度 V p {\displaystyle V_{p}} は、以下の式で表される(ただし λ {\displaystyle \lambda } 、 μ {\displaystyle \mu } は弾性体のラメ定数、 ρ {\displaystyle \rho } は密度)[3]。 V p = ( λ + 2 μ ) ρ {\displaystyle V_{p}={\sqrt {\frac {(\lambda +2\mu )}{\rho }}}}
S波(S-wave)

Secondary wave(第2波)の略。進行方向と直角に振動する弾性波。ねじれ波 shear wave(たわみ波、剪断波)の一種。固体を伝わる。速度は岩盤中で3 - 4キロメートル/秒、P波に続いて到達し、主要動と呼ばれる大きな揺れを起こす。

S波の速度 V s {\displaystyle V_{s}} は、以下の式で表される[3]。 V s = μ ρ {\displaystyle V_{s}={\sqrt {\frac {\mu }{\rho }}}}

断層破壊ではS波の振幅が大きくなる傾向にあるが、地下核実験などによる等方爆発では理論上S波は発生しない[4]

なお、P波・S波をそれぞれ「縦波」「横波」と呼ぶことがあるが、あくまでも進行方向に対しての縦横であり、P波で家が上下に揺れる、あるいはS波で家が左右に揺れるとは限らない(この場合は「縦揺れ」「横揺れ」)。ただし地震計での記録などを見ると、震源が浅い地震における震央のごく近傍などを除き、屈折により波の進行方向が地表面に対し垂直になるため、P波は上下成分が、S波は水平成分が卓越する傾向にある。
T波(T-wave)

P波・S波に続く第3番目(Tertiary)の波という意味で名付けられた、海水中のSOFARチャネルと呼ばれる低速度層の中を伝わる為、海中地震計や海岸線に近い観測点で観測されることが多い。速度は、1.5キロメートル/秒、水中での音波の伝播速度と同等[5]。比較的浅い海底付近の地震だけでなく深さ600 km程度の深発地震でも発生することがある。

観測例として、2008年7月24日に発生した岩手県沿岸北部の地震(M6.8)の約50分後、継続時間が長く特定の位相をもたない地震動が東北地方において広域的に観測されたが、この震動はT波が東に2000 - 2500 km離れた北太平洋の天皇海山群で反射したものであった[6]
また、2023年10月9日の鳥島近海の群発地震において震央付近を波源とするT波(水中音波)が少なくとも14回海底地震計によって観測され、宮崎県や鹿児島県の沿岸ではこのT波により震度1?2の揺れを13回観測した[7]。この際、海底水圧アレイ観測では、T波の波源に対応できる津波が1時間半に渡って10回以上発生。イベント後半ほど大きな津波を引き起こしたとみられる。これらの事象は9日の群発地震とT波・津波の波源は同一の事象を起源としていることを示唆する[8]
後続波地球内部での反射屈折

P波およびS波は、地球内部の各不連続面や海底、地表で反射や屈折するものがある。これらは後続波と総称される。代表的な後続波としては以下のものが挙げられる。

上方へ伝播したP波が、1度地表で反射したpP波、2度地表で反射したpPP波

下方へ伝播したP波が、1度地表で反射したPP波、2度地表で反射したPPP波

P波が外核内を伝播したPKP波、これが内核まで伝播したときのPKIKP波

P波が外核内を伝播し、1度外核-マントル境界で反射したPKKP波

下方へ伝播したS波が、1度地表で反射したSS波

命名には以下の規則がある。

p, s:震源から上方へ伝播するP波およびS波(ただし地表で反射した場合のみ。直達波はPおよびSとする)

P, S:同下方へ伝播するP波およびS波


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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