地球連邦軍(ちきゅうれんぽうぐん)は、複数の小説やアニメ作品に登場する架空の軍隊。本項目では特にガンダムシリーズの地球連邦軍について詳述する。 テレビアニメ作品においては『機動戦士ガンダム』(宇宙世紀0079年)から『機動戦士Vガンダム』(宇宙世紀0153年)までの時代に登場する。 地球連邦軍 全人類の統一政府である地球連邦において、その国内治安を担うべく設立されたやや特殊な武装集団であり、かつ創隊当時は世界唯一にして最大の軍隊であった。またその設立にあたっては、在来の国家が保有していた軍事組織、兵器体系を、最も進歩し最も優秀な軍である旧アメリカ合衆国軍のそれに規格統一する形で編成が進められたとされる[2]。また、設立時期については一部の資料では西暦2009年と記載されている[3]。 地球、及び宇宙空間の全て(のスペースコロニー群)をもその勢力下に置く。劇中ではしばしば連邦軍ないし連邦と略称される。 シリーズに登場する諸勢力の中では最大の規模であり、また最も長期に渡り存続した。反面、劇中では非常に巨体な組織ゆえの官僚主義、縦割り行政や事なかれ主義が蔓延した組織として描かれることも多かった。宇宙世紀0080年代には、地球至上主義を掲げる地球連邦軍の特殊部隊ティターンズが連邦軍の実権を掌握したが、反ティターンズの連邦軍人を中心に結成されたエゥーゴとの内部抗争[4](グリプス戦役)に敗れてティターンズは崩壊し、その後連邦軍はエゥーゴ主導の元に再編される[5]。 グリプス戦役ではティターンズの傘下に置かれたこともあった連邦軍であったが、連邦軍としては一連の抗争には積極的に参加しなかった。しかし、連邦軍からエゥーゴに参加した将兵もいたためその分戦力を低下させることとなった。直後の第一次ネオ・ジオン抗争では正規軍はまともに動かず、正規軍に代わってエゥーゴのガンダムチームの少年達やカラバがネオ・ジオンと戦った。第一次ネオ・ジオン抗争時の連邦軍の高官達はエゥーゴやカラバを疎ましく思っており、ハマーン・カーンの主催するネオ・ジオンのパーティーに参加する、地球の人口が減らせるという理由でダブリンへのコロニー落としを放置する、停戦条約と引き換えにサイド3をハマーンに譲渡するなど、一見すると和平路線だが腐敗の象徴として描かれていた。 そのエゥーゴも第一次ネオ・ジオン抗争後に崩壊し、人員は連邦軍に編入される形で消滅した。なお、連邦軍の政治派閥はティターンズにもエゥーゴにも与しなかったゴップの派閥が中心になった[6]。 宇宙世紀0093年の第二次ネオ・ジオン抗争では、地球連邦軍の外郭新興部隊「ロンド・ベル」が、シャア・アズナブル率いるネオ・ジオンに対抗した。連邦軍の拠点の一つであるルナツーも登場するが、ネオ・ジオンの騙し討ちによる奇襲攻撃を受けて陥落し、備蓄してあった核弾頭を強奪されている。当初、各サイドに駐留する連邦軍の多くは反連邦勢力の武装蜂起を警戒してロンド・ベルへ援軍を送ろうとしなかったが、チェーン・アギが所持していたサイコフレームの試料がもたらした現象により、各宙域の連邦軍がロンド・ベルへ援軍を送り出している。 宇宙世紀0096年のラプラス事変では、ロンド・ベルと共に地球連邦宇宙軍特殊作戦群「エコーズ」が「ラプラスの箱」のネオ・ジオンへの譲渡阻止および奪取のために武力行使を行ったほか、地球各地の連邦軍もネオ・ジオンやジオン残党軍と激戦を繰り広げ、大きな損害を出しながらもこれを退けている。また、宇宙世紀0100年に予定されているサイド3の自治権返上と、連邦軍再編計画の実施という時代の流れの中で、新たな連邦軍の象徴を求める気運が高まったことから、連邦軍は地球軌道艦隊の旗艦としてドゴス・ギア級二番艦「ゼネラル・レビル」を建造している。 宇宙世紀0130年代の木星戦役や宇宙世紀0153年のザンスカール戦争では、連邦政府や連邦軍上層部が武装勢力の跳梁を放置し、敵対勢力の軍事攻撃に対して連邦軍が組織的な阻止行動を行わない、更には一部の連邦軍部隊が独断で別の武装勢力を支援するなど、組織としての統制が取れなくなっている様子が見られた。また、120年代では実戦経験者も少なくなり、熟練兵の多い敵に対してまともな戦闘行動も取れないため、高齢・老齢の司令官がMSに乗って出撃した例もあった[7]。 地球連邦軍の英語表記は数種類存在する。元々は映像上で正式な表記が存在しなかったため、地球連邦には「United Nation」「Union」「Federal State」「Federation」などが、地球連邦軍には「Union A.F.」「Federal Force」などが用いられていた。 その後、OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』の頃に国際連合や連合国を連想させる「U.N.T.(United Nation Troops)」が地球連邦軍の正式な表記とされ、中でも宇宙軍を表す「U.N.T. SPACY」が主に用いられた。他にも地球連邦陸軍「U.N.T. ARMY」、地球連邦海軍「U.N.T. NAVY」、地球連邦空軍「U.N.T. AIR FORCE」、地球連邦地球軍(陸海空軍の総称)あるいは地球連邦地上軍(MSVによる陸海軍が一時合併していたときの呼称)「U.N.T. LAND」「U.N.T. GRAND」などという表記もあった。 しかし、1998年のプラモデル『パーフェクトグレードガンダム』発売の際に、地球連邦が「Earth Federation」、地球連邦軍が「E.F.F.(Earth Federation Force)」に変更され、中でも宇宙軍を表す「E.F.S.F.(Earth Federation Space Force)」が主に用いられるようになった。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}これは、「U.N.T. SPACY」が国際連合宇宙局と混同されかねないという理由があったためで、[要出典]以前からある表記に矛盾を起こさないように「U.N.T.」には「非通常戦術(Under Normal Tactical)」、「SPACY」には「特別分類建造場(SPecial Assortment Construction Yard)」という略称がつけられた。また「U.N.T.」は「統合核技術研究チーム(Unified Nuclear Team)」、「SPACY」は「超一等軍用機工廠(Super Primal Aviation Construction Yard)」の略であるともされる[8]。なお、地球連邦陸軍は「E.F. ARMY」という表記が用いられていたが、21世紀初頭には「E.F.G.F(Earth Federation Ground Force)」の表記も見られるようになった[9]。 なお、EFSFという略称を持つ実在の組織としては、欧州金融安定化基金(EFSF:European Financial Stability Facility)が存在している。 サイドを含む、地球圏全域に部隊が駐留している。地球連邦に敵対する勢力は上層部の描写も多く、時には最高指導者自らがモビルスーツなどに乗って最前線で戦うことさえあるのに対し、連邦側は主人公の所属する部隊を中心に描かれ、それより上の指揮系統はあまり登場しない。なお、地球連邦軍では「士官学校未卒の軍人は、佐官以上の階級に昇進出来ない」とする規則が存在する[10]。 以下の組織形態は『公式百科事典』、『戦略戦術大図鑑』、『一年戦争全史』などを参考資料にしている。
宇宙世紀の地球連邦軍
Earth Federation Forces
創設宇宙世紀改元以前から
解散宇宙世紀0218年[1]
派生組織地球連邦陸軍
地球連邦海軍
地球連邦空軍
地球連邦宇宙軍
本部ジャブロー
ダカール
ラサ
フォン・ブラウン市
指揮官
最高指揮官地球連邦 首相
最高意思決定機関連邦安全保障会議
内部部局地球軍省
宇宙軍省
産業
国内供給者アナハイム・エレクトロニクス
関連項目
歴史ラプラス事件
一年戦争
デラーズ紛争
グリプス戦役
第一次ネオ・ジオン抗争
第二次ネオ・ジオン抗争
ラプラス事変
マフティー動乱
ザンスカール戦争
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概要
英語表記
組織形態
統帥機構
文民統制
連邦軍は連邦議会により選出される首相を長とした地球連邦政府の下にあり、連邦安全保障会議を通じてシビリアンコントロールがなされている[11]。しかし一年戦争におけるコロニー落としの惨禍により連邦政府の統治能力は大幅に減退し、代わって独自の指揮系統を維持できた連邦軍の発言権が増大した結果、後にグリプス戦役等の軍の暴走を招くようになったとされる。政府直属の諜報機関として中央情報局が存在している。
軍政・軍令機構
連邦軍内の最高意思決定機関は連邦安全保障会議の下にある最高幕僚会議であり、これは各軍政・軍令機構の連絡会議とされる。軍政機構としては地球上の陸海空軍を統括する地球軍省と、宇宙軍を統括する宇宙軍省に分かれている。一方、軍令機構については参謀本部[12]に四軍の作戦・指揮が一本化されている。四軍の軍令機構統一はジャブロー建設時に併せて行われたとされており、そのために統合参謀本部とも呼称される。また作戦本部についても言及されるが、これは参謀本部内部にある作戦室を指す[13]。なお軍の諜報機関として情報部があり、主な人物にアリス・ミラーやデン・バザークなどがいるが上級組織の帰属も含めて詳しいことは不明。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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