地球温暖化の原因
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地球温暖化の原因(ちきゅうおんだんかのげんいん)では、地球温暖化の原因について述べる。

地球温暖化は、地球全体の平均気温の上昇を指す。これは現在の生態系に悪影響を及ぼすおそれがあると考えられている現象である、
概要

現在の地球温暖化現象は、人間の影響が主な原因であるとの説が主流である。さらに、人間の影響の中でも、温室効果ガス濃度の増加の影響が大きいと考えられる事が多い。

IPCC第4次評価報告書において「20世紀半ば以降の温暖化のほとんどは、人為起源の温室効果ガス濃度の増加による可能性が非常に高い(90%以上)」と報告された[1]

IPCC第5次評価報告書において「20世紀半ば以降の温暖化の主な要因は、人間の影響の可能性が極めて高い(95%以上)」と報告された[1]

IPCC第6次評価報告書において「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と報告された[2]

気候変動に関する政府間パネル』によって発行されるIPCCの評価報告書は、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}現在世界で最も多くの学術的知見を集約し、かつ世界的に認められた報告書であり、原因に関する議論が行われる場合も、これが主軸となっている。[要出典]
原因の研究と報告書

地球温暖化の原因に関わる学術的な研究は、学問全般に同じく、研究者が論文を発表し、それが査読を経て認証されたものが基本的な資料となる。この膨大な量の論文や、研究を基にして作られた気候モデルによる計算の結果などをもとに、研究機関や国際機関が原因について検討を行い、報告書という形で公表する。この報告書が地球温暖化の原因を総合的に判断する材料となる。

報告書を発行するような機関としては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が最も大規模で有力なものであるが、各国の研究機関などでも、独自に報告書を発表しているところがある。このほか、地球温暖化の研究者や研究機関が集まって地球温暖化の原因などの科学的議論を行う、世界気候会議などの枠組みがある。また、世界気象機関(WMO)で決定された世界気候計画(WCP)など、国際的な研究計画も立てられている。
IPCCによる評価結果各要因別の放射強制力の評価結果。正の値が大きいほど、地球温暖化を促進する効果が高いことを示す。最右端の人為的要因の合計に比べ、太陽放射の変化によるものは10分の1以下である。

(これはIPCC第4次評価報告書からの抜粋である。)

IPCC 第一作業部会(WG I)による報告書 ⇒"The Physical Science Basis"(自然科学的根拠, AR4 WG I)が発行された。この報告書は気候システムおよび気候変化について評価を行っている。多くの観測事実とシミュレーション結果に基づき、人間による化石燃料の使用が地球温暖化の主因と考えられ、自然要因だけでは説明がつかないことを指摘している。
人為起源及び自然起源の気候変化要因

各要因別の放射強制力の評価結果。正の値が大きいほど、地球温暖化を促進する効果が高い。最右端の人為的要因の合計に比べ、太陽放射の変化によるものは10分の1以下である。

大気中の二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の濃度は、産業革命前よりはるかに高い。

二酸化炭素の増加は、主に人間による化石燃料の使用が原因である。

二酸化炭素は、人為起源の温室効果ガスの中で最も影響が大きい。メタン一酸化二窒素ハロカーボン

1750年以降の人間による活動が、地球温暖化の効果(正の放射強制力)をもたらす(確信度:高)。太陽放射の変化による増加分よりも、人為起源の変化の総量の方が10倍以上大きいと見積もられる。

近年の気候変化の直接観測の結果

気候システムの温暖化には疑う余地がない。

1906年 ? 2005年の気温上昇幅は0.74℃である。これはIPCC第3次評価報告書の0.6℃より大きい。

1956年 ? 2005年の昇温傾向は10年あたり0.13℃である。これは1906年 ? 2005年の傾向のほぼ2倍である。

世界の平均海洋温度
は、少なくとも水深3000mまで上昇した。気候システムに追加された熱の8割超が海洋に吸収され、海水を膨張させ海面水位の上昇に寄与する。

山岳氷河と積雪面積は減少している

グリーンランドと南極の氷床の減少が海面水位の上昇に寄与した可能性がかなり高い。

先世紀(20世紀)中の海面上昇量は0.17(0.12 ? 0.22)mと推定した。この観測値は確信度が高い。

1970年以降、特に熱帯地域や亜熱帯地域で、より厳しくより長期間の干魃が観測された地域が拡大した。

極端な気温(extreme temperatures; 極端な高温や低温)現象の発生頻度の広範な変化が観測された。寒い日・寒い夜・霜が降りる日の発生頻度が減少し、暑い日・暑い夜・熱波の発生頻度が増加した。

北大西洋の熱帯低気圧の強度が増加した。他地域での熱帯低気圧の活動度の強度増加が示唆されるが人工衛星による観測開始前のデータの品質に大きな懸念がある。熱帯低気圧の年間発生数には明確な傾向がない。

古気候学的な観点

少なくとも過去1300年間の気候の再現結果から、この半世紀に見られた
温暖化は異常である。

現在よりも遙かに気温の高かった約12万5000年前の両極域の氷雪の減少は海面を4 ? 6m分上昇させたと考えられる。

気候変化の理解と原因解析

20世紀半ばから見られる平均気温の上昇は人為的な温室効果ガスの増加による可能性がかなり高い。(9.4, 9.5)

観測事実を踏まえた気候モデルの解析で放射強制力に対する理解の確信度が向上した。気候感度に対し初めて「可能性が高い」と言えるようになった。(6.6, 8.6, 9.6, 囲み10.2)

二酸化炭素濃度が倍になった場合平均気温の上昇幅は2 ? 4.5℃と見積もられ、1.5℃以下の可能性はかなり低い。4.5℃以上の可能性があるが、モデル間の差異が大きい。(8.6, 9.6, 囲み10.2)

今後の気候変化の予測結果

今後20年間の
気温の上昇ペースは10年当たり約0.2℃と予想する。全ての温室効果ガスとエアロゾルが2000年当時の水準に保たれれば10年あたり約0.1℃上昇すると推定する。(10.3, 10.7)

温室効果ガスが現状かそれ以上のペースで排出され続ければ温暖化が進行し、地球の気候に多くの変化を引き起こし、影響は20世紀中に観測されたものより大きくなる可能性がかなり高い。(10.3)

今世紀末の平均気温の上昇幅の予測結果は、今後の人為的な排出量のシナリオ(SRESシナリオ)により1.1 ? 6.4℃と差異がある。(図SPM.5)

海面上昇量の予測結果は、今世紀末で18 ? 59cmと予測される。この値は氷床等の流下速度の変化の影響を含まない[3]。(表SPM.3,図10.33)

温暖化で陸域と海域における二酸化炭素の吸収量が減少し、人為的な排出による影響量が増大する。(7.3, 10.5)

温室効果ガスが一定の濃度に保たれても、気候プロセスとフィードバックの時間的スケールの長さにより人為的な温暖化と海面上昇は何世紀も続く。(10.4, 10.5, 10.7)

それぞれの原因が気候に与える影響に関しては、科学的な理解水準が異なる。温室効果ガスに対する科学的理解度は比較的高いが、や太陽放射変化などの気候因子は理解水準がまだ比較的低い。また専門家の間で意見が分かれる事柄もあり、報告書にも「意見の一致度」として評価結果が記載されている。
影響要因としくみ二酸化炭素濃度の過去40万年の変化と産業革命以降の急激な上昇。

気候システムは、自然の内部的プロセスと外部からの強制力への応答との両方によって変化する。外部強制力には人為的要因と非人為的(自然)要因がある。その外部強制力としては、温室効果ガスエアロゾルなどがある(気候変動の項目も参照)。

上記のIPCC第4次評価報告書では特に人為起源の二酸化炭素やメタンなどの影響量が大きいことが指摘され、これに関する科学的理解度や専門家の意見の一致度は高い。その他の温室効果ガスや影響要因の中には、科学的理解度が不足しているものや専門家の間でも意見が分かれる事柄も存在する。
温室効果ガス

温室効果ガスは、主に二酸化炭素メタン代替フロンなどのことである。これら温室効果ガスは、太陽から流入する可視光の日射エネルギーを透過させて地表面を暖め、地表から放射される波長の長い赤外線を吸収しやすい性質を有している(温室効果)。そのため温室効果ガスが増加すると、地球に入る太陽放射エネルギーと地球から出る地球放射エネルギーとのバランスが崩れ、バランスが取れるようになるまで気温が上昇し、地球温暖化が進むと考えられている。世界の温室効果ガス(GHG)排出量は49Gt(CO2換算)であり、直接排出量で換算すると、エネルギー供給部門(発電・熱生産+その他エネルギー)は35%、農林業・土地利用部門は24%、産業部門は21%、輸送部門は14%、建築部門は6.4%という内訳になっている。


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