地球温暖化に対する懐疑論
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地球温暖化に対する懐疑論(ちきゅうおんだんかにたいするかいぎろん、global warming skepticism)とは、地球温暖化問題に対しての懐疑的な考えや主張のこと。主に温暖化による気温上昇という事実問題に対する懐疑論や、人為起源の二酸化炭素などの温室効果ガスが主要因だとする要因論への異論や反論。本稿では地球温暖化問題への懐疑的な考え主張と、それに対する反論を扱う[1]

この項目では実在する主張や反論をそのまま記載する。反論に対する再反論は記載しない。「地球温暖化に関する論争」も参照
気温上昇に対する懐疑論

温暖化による気温上昇は起こっていない、もしくは、そのデータの信頼性に疑問があるとする主張。

(主張)一部の観測地点の変化と平均気温に高い相関が見られるから、陸上の気温変化の速度が過大に見積もられているはずである
[2][3]。[要検証ノート]

(反論)その相関性は観測地点の選定と統計処理の不備による[4]

(反論)機器の更新や観測地点周囲の変化に伴う誤差は発生し得るが、物理的考察や変化前後の同時観測による補正、周囲の観測点との気温差が年々増大している観測点を除くなどの対応が取られている。観測点の分布にも偏りはあるが、洋上やアマゾン奥地にもある程度の密度で存在し、空白域は大きくない[5]



(主張)現代気象学における温暖化論には物理学的な裏づけができない[6][要検証ノート]。

(反論)当該分野の専門家らが批判している[1]


(主張)世界の平均気温上昇は1998年以降停止している。また、太陽活動の低下により今後地球は寒冷化する可能性がある。[7][要検証ノート]

(反論)気温の変化は海洋を含めた気候システムのごく一部にすぎず、気候システム全体への熱の蓄積量の増大は継続している[8][9]。世界の平均気温は過去にも一時的に上昇が止まったり下降した時期もあるが、長期的には上昇が続いている[10]。なお、2014年からは気温がさらに上昇した状態が続いており、それ以前の気温を下回ったことは一度もない[11]


原因に関する懐疑論

温暖化は二酸化炭素を主とした温室効果ガスの濃度増加に因るとの知見に対して、太陽活動の影響、宇宙線の影響、地球内部の活動、磁気圏の活動などが原因だとする主張。
人為説全般に対する懐疑論

(主張)近年の温暖化は人為的な温室効果ガスの増加に因らず、自然要因の影響がはるかに大きい
[12][13][14][15][要検証ノート]。

(反論)これまでに観測されている温暖化は自然起源強制力のみでは説明できず、人為起源強制力が考慮される。また、他の仮説ではこのような定量的な整合性を合理的に説明できるものが無い[16][1]


水蒸気をより問題視する立場

各温室効果物質の寄与[17][18]水蒸気48%
二酸化炭素21%
雲19%
オゾン6%
その他5%


(主張)二酸化炭素よりも、水蒸気の方が温室効果が大きい。水蒸気の温室効果物質の寄与率は48%と寄与率は最も大きい。ただし赤外線の波長を全て吸収するわけではなく、15μm付近の赤外線はCO2によって吸収される[17]。二酸化炭素のみの寄与による地球全体の平均的表面温度上昇が今世紀中に約1℃と推定されるのに対し、対流圏上部での水蒸気量の寄与を加えると、気温上昇が3倍に増えると推定されている[19]。大気の湿度は概ね一定と見なされており、水蒸気量は温度依存である[17]。今後の水蒸気量の増加による気温上昇は全体で少なくとも2.4℃、つまり水蒸気量の増加を考えなかった場合の2倍程度になるという報告がある[20]

(補足)水蒸気は温室効果物質の一つであるものの水蒸気量が増えるのは気温上昇の結果と考えられている。他の要因が無ければ水蒸気は温暖化の開始原因にはならないため温室効果ガスが主要原因とする主張と相反するものではない[21]。水蒸気の温室効果は気候モデルでも考慮されている[1]。水蒸気だけ単独では、実際の温暖化傾向を説明できない[22]。気温が下がれば水蒸気量は自ずと下がる。


小氷期からの回復過程

(主張)産業革命前から昇温は起きていて、小氷期からの回復過程(自然由来の因子)が続いている
[23][24][要検証ノート]。

(反論)そのような自然要因では、現在観測されている20世紀後半からの急激な温暖化を説明できない[25]

人為的な温室効果ガスの増加がなければ、1900年代後半の気温はむしろ低下していたはずである[26]

(主張)1840年代からの二酸化炭素の観測データをキーリングらが無視したが、無視されたデータは、二酸化炭素量が400ppmを超えるというものがあり現在の二酸化炭素量と変わらない。よって、二酸化炭素は増加も減少もしていない。増減しながら来ている。(Beckの主張)[要検証ノート]

地球寒冷化説

地球寒冷化参照)過去80万年の二酸化炭素・公転軌道の離心率・気温の変化

(主張)現在の温暖化は、過去にもあった自然の気候変動の繰り返しの一部である。過去にも完新世の気候最温暖期中世の温暖期など温暖化あったと考えられている。グリーンランドについての研究では4万年前?2万年前にあたる最終氷期には今よりも25℃程度も低く、8000年前?4000年前にかけては今よりも3℃程高く、紀元800年?1000年にかけての中世の温暖期には1℃程度高く、1600年ごろの小氷期には1℃程度低かったとされる[27]。また、中国でも中世は気温が高かったという研究結果も出ている。


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