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地方紙(ちほうし)とは、特定の地方を販売対象とする新聞である。
日本では一つの都道府県のほぼ全域をカバーする新聞を「県紙」、複数の都道府県を含む地域ブロックを対象とする地方紙を「ブロック紙」と呼ぶ[1]。ある都道府県内の限られたエリア(一部市町村や離島)だけで発行される新聞を地域紙(地域新聞)やローカル紙(ローカル新聞)[2]と呼ぶこともある[3]。地元のニュースを重点的に取材し、記者を配置していない他の地方や全国・海外ニュースは通信社(共同通信や時事通信など)から提供を受けて記事を掲載することが多い。
アメリカ合衆国では、21世紀に入って休廃刊が相次ぎ「ニュース砂漠」が社会問題化している(後述)。
なお一国の全域またはほぼ全域を販売対象とする新聞は全国紙と称される。 明確な定義は存在しないが発行部数や発行エリア、発行シェアによって地方紙の分類を行うことがある。また地方紙と地域紙を別のものと考え、県域より広い範囲を配布域とするブロック紙と県紙(それに準じる第二県紙等)を狭義の地方紙とし、地域紙を除外して捉えることも多い。 複数の都府県にまたがる地域ブロック(北海道は単独)で発行される多い地方紙。『北海道新聞』『中日新聞』『西日本新聞』の発行元がブロック紙3社連合を構成している。中日新聞社は、系列の中日新聞東京本社が発行する『東京新聞』も関東地方全域と静岡県駿河以東を配達エリアとしている[4]ほか、『北陸中日新聞』も石川県と富山県にまたがり発行されており、販売部数総計は一部全国紙(『毎日新聞』、『日本経済新聞』、『産経新聞』)を上回る。 このほか、宮城県仙台市を拠点とする『河北新報』も自らを東北地方のブロック紙と位置付けている[5]。広島県広島市が地盤の『中国新聞』も中国地方のブロック紙として扱われることがある[6]。 一般的には全国五紙(『読売新聞』『朝日新聞』『毎日新聞』『日本経済新聞』『産経新聞』)と上記の各ブロック紙以外で、発行エリアが一府県の全域にわたる新聞を指す。多くは第二次世界大戦下の「一県一紙」統制時に多数の新聞を統合して成立した。戦後に創刊され、これらに準じる配布域を持つに至った新聞も含まれる。 上記の各ブロック紙は、本社を置く県では部数・シェアや影響力が特に大きく、県紙としての性格を併せ持つ。またブロック紙ほどではないが、生活圏や経済圏がつながっている隣県にも配達エリアを広げている地方紙もある(例:滋賀県における『京都新聞』[7])。 地域に密着した編集方針や府県内における発行シェアを誇る意味で県紙や県民のための新聞[注釈 1](県民紙)を自称したり、そのように呼ばれたりすることもある。 全国紙のシェアが高い東京圏や大阪圏を除く地方部においては、一県一紙統制の経緯から、県紙がその県において圧倒的シェアを持ち、その論調や関連事業、発行元経営者が県政財界に強い影響力を持つこともある[注釈 2] 県内における政治的対立や生活圏・経済圏の違いといった事情により、従来の県紙に対抗して創刊された新聞を指す。後述の「第二地方紙」に比べて、政治的意味合いが強い場合に使用される。県紙と比較すると発行部数や普及率などで劣勢に立っていることと、それゆえの経営基盤の脆弱さから1990年代以降廃刊に追い込まれる例も目立つようになっている(後述)。 都道府県内の一部地域のみで発行され、日刊ではない新聞もある。ただし、『デーリー東北』(青森県東部と岩手県北部の南部地方)のように複数の県にまたがって配布されているものもある。狭義の「地方紙」は、地域紙を含まない。 有力な日刊地域紙は、地元市町村で県紙や他の新聞を上回る世帯普及率に達し、地元社会への影響力も大きい。一部は小規模な県紙に匹敵する発行部数を持ち、日本新聞協会に加盟している発行元もある。 地域紙が存立する経緯や要因は下記のように地理や歴史的経緯など様々である。 また、東日本大震災(2011年)で大きな被害を受けた岩手県大槌町では、既存地方紙すら必要な情報を十分伝えていないと考えた町民によって『大槌新聞』(2012?2021年)が創刊されたような例もある。 『日本地域新聞ガイド2016―2017』(日本地域新聞図書館)では週5回以上発行される日刊紙を扱う発行元が約110社掲載されているが休刊・廃刊も相次いでいる[3]。その要因としてはスマートフォンなどによりインターネットでの情報収集が容易になったこと(デジタル化[3])、読者の高齢化[3]と地方の人口減少、生活・経済圏の広域化、県紙や全国紙との競争が挙げられる。 一方でデジタル化は、紙の新聞を印刷・配達するコストなしでマスメディアを運営できる利点もある[3]。2017年春に休刊した茨城県南地域の『常陽新聞』元スタッフが同年秋にニュースサイト「NEWSつくば」(茨城県つくば市)を発足させたほか、みんなの経済新聞ネットワーク系列の各サイトは、大都市の繁華街を含む単位でビジネスやイベントの情報を発信している。
日本の地方紙
分類
ブロック紙詳細は「ブロック紙」を参照
県紙
第二県紙
第一地方紙と第二地方紙
各都道府県における全国紙、ブロック紙を除いた発行シェアトップを「第一地方紙」、それ以外を「第二地方紙」と呼ぶことがある。
地域紙(地域新聞)
同じ道県内でも、江戸時代までの旧国や藩、生活・経済圏が違う地域ごとの新聞が存続している場合[注釈 3]
離島[注釈 4]
県紙がなくなったり弱体化したりした県[注釈 5]
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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