地下街
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カナダのモントリオール地下街。世界有数の地下街の一つで、地下フロアは複数階層からなり、地上階と連結して一つの都市を形成している。面積は12km2に及び、内部に9つの駅のほか、博物館やホッケー場もある。

地下街(ちかがい)とは、地下に設置された不特定多数の通行のための歩道に面した商店街である。
概要

大都市ターミナル駅自動車と歩行者とを立体交差させ交通の利便性を高めるための公共地下歩道と、店舗・駐車場地下鉄入口とを一体として整備したものが多い[1]。寒冷地においては、冬季の寒さや積雪から歩行者を保護する目的もある。

地上の建築物と比較して、地下街の建設には多額の費用がかかる[2]。また、地下歩道部分の利用時間が長いため、設備の運転時間が長く、整備の時間が十分にとれず、耐用年数が短く、改修に要する費用・時間も多くなる。また、換気を行うための空調設備や、水害対策などの維持費も要する[2]。さらに、換気設備が道路の緑地帯など条件の悪い場所にしか設置できないため、空気環境の維持に苦慮している所も多い。

防災防犯では、不特定多数が利用する施設として、地下で直接接続された地下街や建築物との相互連携が重要である。自主防災・防犯組織を結成し定期的な会合を行っている所がほとんどである。また、緊急時の相互応援も規定されている。
世界の代表的な地下街トロントの「PATH」入口台北の「東区地下街」

シドニーオーストラリア

トロントモントリオールカナダ
カナダには大規模な地下街が2つあり、世界最大の地下街はオンタリオ州トロントの地下街「PATH」である。27キロメートル (km) に及ぶ通路は商業地として利用されており、環状に走る地下鉄駅6駅と直接接続されている。商業地域は37万1600平方メートル (m2) に及び、商店数だけでも約1200店舗に上る。

ソウル韓国
韓国ではソウル以外の主要都市にも地下街(「地下商街」と呼ばれる)があるが、これは地下鉄とともに、有事(≒戦争における空襲・空中戦)の際に防空壕に転用するためでもある。年に3、4回(かつては毎月)「民防衛訓練」と呼ばれる防空訓練が行われるが、その際にも地下街が指定避難場所(「待避所」)となっている。

北京中国

台北台湾

モスクワロシア

ベルリンドイツ
名称は「フリードリヒシュタット=パサージェン (Friedrichstadt-Passagen[3])」。百貨店ギャラリー・ラファイエットベルリン店地階より(都心を南北に縦貫し、東西に伸びるウンターデンリンデンとも交差している)フリードリヒ通り(ドイツ語版)に3区画分に沿って続いている。現在、フリードリヒ通り駅」の手前まで延伸し、同駅地階とは直結していない。旧東ベルリン地区(ミッテ区(「中央区」のドイツ語訳))に位置し、東西ドイツ統一以降、ベルリン市内初で唯一の地下街として建設された。

フランクフルト(ドイツ)
フランクフルト中央駅地下に広がる。

ヘルシンキフィンランド

アトランタシカゴミネアポリスフィラデルフィアロチェスターアメリカ

日本
歴史

日本では、初代東京地下鉄道(現・東京メトロ)の上野駅1927年〈昭和2年〉営業開始)に1930年(昭和5年)4月1日開業した500メートル (m) の地下街(地下鉄ストア)が地下街の元祖とされる[1][4]。この地下街は、上野公園西郷隆盛像の下付近から、山手線の下をくぐり抜けて、上野駅東口まで通されていた地下道の両側に店舗が併設されたもので、現存しない[5]。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}なおこの地下鉄ストアは現代の定義では地下街かつ駅ナカに該当しており、2010年現在も『エチカフィット上野』として営業を継続している[要出典][6][7]太平洋戦争前に建設されたものでは、1942年(昭和17年)に完成した旧梅田地下街(大阪駅前地下道、約5700平方メートル (m2) [8]。大阪市)が当時、最も大規模であった。

戦後道路法道路占用許可)、建築基準法建築確認)に基づく地下街としては、1955年(昭和30年)開業の「浅草地下商店街」が日本最古の現存する地下街である。また、1957年(昭和32年)3月に名古屋駅前に建設された「名駅地下街」が日本で最初の本格的な地下街である[2]。本格的に地下街が建設され始められたのは、1960年代高度経済成長期で、大都市の地下からつくられ始め、地方の中核都市へと広がっていった[1]。日本では、都心の地価高騰により地下空間を有効利用した地下街が急速に発展してゆき、公共民間が一体となって事業が推進されてきたことから、世界最大の地下街大国となっている[1]
法律上の位置づけ

日本の法規では、道路・駅前広場・都市公園などの公共用地の地下に店舗・通路があるもののみを地下街とし、店舗部分が民有地で通路部分が公共用地の地下のものを準地下街、店舗・通路とも民有地の地下のもの (百貨店の地下にあるいわゆるデパ地下などの大部分が含まれる)は地下階という。平成17年版消防白書(総務省消防庁)によると、2005年3月31日現在、全国に地下街は63(うち特別区政令指定都市に50)、準地下街は7(同6)ある。また、平成25年の国土交通省都市局の資料[9]によると、全国に地下街は78か所とされている。

このように、法規により明確な定義付けがされているため、実態としては地下街と一体の構造であっても地下街とは定義されない場合があったり、逆に地下街とは呼びにくい場所が定義上は地下街とされている場合がある[10]。東京の『小田急エース』・『京王モール』は百貨店の直下ではなく道路などの公共用地の地下にあるため、地下街と定義される[10]。名古屋の『中部近鉄百貨店』は百貨店であるにも拘らず地下街の範疇として名前が挙げられているが、これは百貨店の地下階の一部が道路下にあるため、道路下部分の面積のみを用地管理上地下街として区別していることによる[10]。これに対して、地下通路を通じて他の地下街と連絡している大阪の『阪急三番街』や、構造的には地下街と見なせる名古屋の『エキワン』は、駅施設直下にあるため地下街とは定義されない[10]


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