地上最強の美女バイオニック・ジェミー
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『地上最強の美女バイオニック・ジェミー』(ちじょうさいきょうのびじょバイオニック・ジェミー、原題:The Bionic Woman) は、ユニバーサル製作のSFテレビドラマ。

このページではリメイク版についても説明する。
アメリカでの放送

1976年から1978年にかけて第3シーズンまで制作され、第1・第2シーズンはABC、第3シーズンはNBCで放送された。
日本での放送

日本テレビ系で、第1・第2シーズンが1977年1月から10月、第3シーズンが1978年3月から8月にかけて放送された。

なお、2021年2月25日から毎週月曜から金曜まで17:00から2話連続でCS放送AXNで再放送された[1]。再放送を記念し、2021年3月27日午前10時よりAXN視聴者限定でオンラインイベントが開催された[2]。主演を務めたリンゼイ・ワグナーが生活の拠点を置いているアメリカより同イベントのためだけに参加。変わらぬ美貌で参加者を魅了し、当時の撮影裏話を語るトークコーナーや視聴者から寄せられた質問に答えるコーナーを設け、日本語吹き替え版でジェミーを演じた田島令子の声がリンゼイ自身のものより高いトーンで驚いたことなどを語った[3]2022年11月2日からも毎週月曜から土曜まで26:30から2話連続で再びAXNで再放送される[4]
受賞

主演のリンゼイ・ワグナーは、本作で1977年、エミー賞主演女優賞を受賞。
ストーリー

元はテレビドラマ『600万ドルの男』の1エピソードだったが、人気のために番組として製作されたスピンオフ作品

プロテニスプレイヤーのジェミー・ソマーズは、スカイダイビング中にパラシュートが破れて墜落事故により瀕死の重傷を負う。婚約者であるスティーブ・オースティン空軍大佐600万ドルの男)は、科学情報局(OSI)に頼み込み、彼女に自分と同じバイオニック移植手術を施させた。

両足、右腕、右耳をサイボーグ化された彼女は生命の危機からは脱したものの、移植の拒絶反応から、スティーブのことを含めて全ての記憶を失ってしまう。しかし彼女は、自分を救ったOSIのためにバイオニック・パワーを使った諜報活動を志願するのだった。
バイオニック・パワー

右耳:高感度
ガンマイクでもある。隣室から電話の通話を聞いたり、1km先の微弱な音声もキャッチしたりできる。

右腕:出力1558W(≒2.12PS)×1基の原子力電池搭載。片手で1トンの重量物を持ち上げる。

両足:出力4928W(≒6.7PS)×2基の原子力電池搭載(左右両足に1基ずつの合計2基)。最大走行速度95km/h(≒100m走3秒79)。10階建て程度のビルから飛び降りたり、数メートルの壁を飛び越せる。

本人の心臓は、右腕、両足に血液を供給する必要がないため、95km/hで走っても心拍数は平常時と変わらない。義手義足の動力源は原子力電池である。
シリーズの概要

『バイオニック・ジェミー』は、OSIのエージェントとなったジェミーがバイオニックの能力を駆使しながら活躍する姿を描く。だが、女性エージェントということで、『600万ドルの男』のハードな雰囲気とは異なるシリーズとなった。例えば、美人コンテストにミス・カリフォルニアとして出場したり、アメリカ先住民族風の女子プロレスラーになったり、修道院シスター姿になったりするなど、コスプレ的潜入捜査が多いのもその表れである。また、表向きの職業はベンチュラ空軍基地内の小学校教師であるため、児童たちとの交歓シーンもあったが、途中でこの設定は放棄された[5]。コミカルなエピソードも少なくなかったが、一方では核兵器開発競争に警鐘を鳴らす、「ジェミー 地球壊滅を救え!」のように重厚なテーマの回もある。

シリーズを通して最大の仇敵として知られるのは、フェムボットという人間そっくりのロボットであり、その製造者は、バイオニックとロボット工学のどちらが優れるかをドクター・ルディと争った元OSIのフランクリン博士であった。ジェミーは、スティーブ・オースティンと共に、ロボット対バイオニックの死闘を演じることとなる。

また、ジェミーと同じ顔に整形したリサ・ギャロウェイという女性(リンゼイ・ワグナーの一人二役)も登場し、リサは一度はジェミーになりすますことに成功したものの、バイオニックの能力がなかったため正体を見破られる。再登場した時には、新開発の薬物でバイオニックに匹敵するパワーを得てジェミーを翻弄した。

第3シーズンで放送系列がABCからNBCに移ると、内容がより低年齢の視聴者を意識したものに変更された。その第一が、バイオニック・ドッグであるマックスの登場である。マックスは火事で両脚と顎に重傷を負い、まだ実験段階だったバイオニック移植手術を施された犬だった。マックスはジェミーに飼われることになり、任務遂行でもパートナーを組んだ。この他には、宇宙人の再三にわたる登場などが挙げられる。しかしこの路線変更は視聴率の低下を招き、シリーズはこのシーズンをもって打ち切られた。最終回は、OSIを辞めようとしたジェミーが、それを阻止しようとする政府機関から追跡される、という展開だった。
『600万ドルの男』とのクロスオーバー

冒頭にあるように、『バイオニック・ジェミー』は元々『600万ドルの男』の1エピソードだったものが、スピンオフ化されたものである。しかも、アメリカ本国では1976年から1977年にかけ、両シリーズは同じABC系列で、並行して放映されていた(『600万ドルの男』は日曜夜8時から、『バイオニック・ジェミー』は水曜の夜8時から放映)。このため、クロスオーバーといわれるユニークな試みが、幾度かなされている。例えば、一つのエピソードの前編を『600万ドルの男』、後編を『バイオニック・ジェミー』で放映するというようなのがそれである。「ゴールドマン局長暗殺指令」三部作では、Part1と3が「バイオニック・ジェミー」、Part2が『600万ドルの男』枠で放映されている。そうした以外にも、スティーブとジェミーが相手方の枠のエピソードにゲスト出演することが、何度かあった。

しかし、1978年になると、『バイオニック・ジェミー』の放映がNBC系列に移ったのに対し、『600万ドルの男』は引き続きABC系列で放映されたため、先述のようなクロスオーバーは行われなくなってしまった。また、それ以外の理由も取り沙汰されている。例として、実は、スティーブ役のリー・メジャースは、自分の妻ファラ・フォーセット(当時は、ファラ・フォーセット・メジャース)をジェミー役に推薦していたが、実際にその役を射止めたのは、リンゼイ・ワグナーだった。しかも、ジェミー(リンゼイ)は、別シリーズ化されたばかりか、ついには本家の『600万ドルの男』より人気が出てしまった。そのため、リーとリンゼイは不仲だったというものである。だが、1987年から3本制作された、続編のスペシャル版では、再び両者の共演が実現した。なお、ファラ・フォーセットは『地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル』でブレイクし、ライアン・オニールと不倫して[6]、リーとは離婚に至っている。
ジェミーとスティーブの関係の変遷

このような『バイオニック・ジェミー』と『600万ドルの男』の制作事情から、シリーズ内でのジェミーとスティーブの関係は、次のような複雑な変遷をたどっている。
「誕生! バイオニック・ジェミー秘話1,2(600万ドルの男)」
スティーブ・オースティン大佐は、故郷の
カリフォルニア州オーハイで高校時代の同級生ジェミー・ソマーズと再会し、二人は婚約する。しかし、デートでスカイダイビングを楽しんでいた時、ジェミーは落下事故を起こして瀕死の重傷を負う。スティーブがゴールドマン局長に懇願し、ジェミーはバイオニック移植手術を施されて救われる。だが、ジェミーの身体はバイオニック組織に拒絶反応を起こしてしまう。ルディ・ウェルズ博士の懸命の処置にもかかわらず、ジェミーは死亡。スティーブは、悲しみに暮れるのだった。
「甦ったバイオニック・ジェミー1,2(600万ドルの男)」
任務遂行中にバイオニックの両脚を損傷したスティーブは、OSIの施設で修復手術を受ける。そこで彼は、死んだはずのジェミーの姿を目撃した。実はジェミーが死亡し、スティーブが手術室を飛び出した後、若き医師マイケル・マルチェッティの施した実験的施術によって、ジェミーは甦生していたのだ。しかし、その際に受けた脳へのダメージにより、ジェミーはスティーブとの日々も含め記憶を失っていた。しかも、親身に治療を続けるマイケルを、ジェミーは愛するようになっていたのだ。スティーブは、ジェミーの幸せのために、自分が身を引くことを決意する。
「バイオニック・ジェミー誕生、バイオニック・ジェミーのお値段(バイオニック・ジェミー)」
だが、ジェミーは故郷オーハイに戻り、ベンチュラ空軍基地内の小学校の教師を勤める一方、OSIのエージェントとしても働くことを決める。スティーブとも再会し、二人は新たな関係を踏み出した。なお、ジェミーを蘇生させたマイケルとの仲は、結局進展しなかったようで、マイケルは「グランド・ツーリー管制室応答なし」のエピソードで再登場しているが、謎の隕石に精神を操られてしまうという、散々な目に遭っている。

こうして再び恋愛関係に戻るかと思われた二人だったが、『バイオニック・ジェミー』第3シーズンになると、スティーブは、劇中では何の説明もなく、登場しなくなってしまう。替わって登場したのが、OSIの同僚クリス・ウィリアムズであった。二人の関係は、回を追うごとに親密になっていき、最終回を迎える。しかし、1987年製作の『バイオニック・ジェミー・スペシャル 甦った地上最強の美女』で、その後にクリスが任務遂行中に死亡したことが明らかにされた。一方、スティーブにも空軍パイロットの息子がいて、事故で重傷を負い、親同様バイオニック手術を受けるという事態が起こるが(ジェミーと性能比べをして勝ち、ジェミーが「自分が旧式なんだと思い知らされた」と溜息をつくシーンがある)、とにもかくにもジェミーとスティーブの再会は果たされた。


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