「地上アナログ放送」、「地上波テレビ」などはこの項目に転送されています。この項目では、アナログテレビ方式の一つについて説明しています。
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NTSCを採用している、またはデジタル放送移行まで採用した国(緑色)
NTSCとはNational Television System Committee(全米テレビジョンシステム委員会)の略であるが、もっぱら同委員会が策定したコンポジット映像信号(特に1953年に定められたカラーテレビ)とそのテレビジョン放送方式の仕様及び標準規格を指して使われることが多い。正確には標準規格としては、RS-170 (A) やSMPTE-170Mといった名称により規格票となったものがあるのだが、その名称を見ることは専門書等以外ではまずない。日本のアナログテレビシステムも、NTSCを採用していた。 1927年、フィロ・ファーンズワースが、サンフランシスコで全電子式テレビジョンの公開実験を行った。その後1933年、アイコノスコープが開発され、さらに感度を向上させてスタジオ撮影も可能とした1938年のオルシコン開発といった、改良された各種撮像管の開発などの要素技術の発展を受けて、1930年代末頃には研究室内での実験段階をクリアして、商業放送が可能なレベルへと到達した。しかしその時点において、各社各様のさまざまな仕様が乱立する気配を見せはじめていた。 そこで1940年、Radio Manufacturers Association(RMA、後のElectronic Industries Alliance(EIA))によって、National Television System Committee(NTSC)が組織された。 NTSCによる仕様の策定には9か月ほどを費やし、幾度となく会合が開かれ、実験も行われた。その成果は、1941年3月に推奨規格としてFederal Communications Commission(FCC)へと提出され、同5月に商業放送が承認された。1957年、この白黒テレビ方式の標準は、EIAによって、RS-170として編纂されまとめられた。 1940年代末から1950年代初頭にかけて、カラー放送開始に向けての機運が高まった際にも同様の仕様の乱立の気配ないしその危惧から、NTSCが再招集された。その結果1953年に、RCA社が基本原理を開発したカラー方式への拡張(と、わずかな変更)を標準として採択し、その後は規格の厳格化と定義の厳密化を経て、その主要な役割を最後まで全うしつつある今日に至っている。 ここでは、1953年にFCCによって商業放送が承認されたカラーテレビジョン放送全米標準方式(1977年に暫定規格 EIA RS-170Aとしてまとめられ、さらに1994年、SMPTE-170Mとして厳格化)について主に記す。 1940年代から放送が行われていた白黒テレビジョンとの上位互換性を維持しつつ、明るさではなく光の三原色(赤・緑・青)の動画信号を伝送・表示するために、1950年代の市販家電製品に採用可能な様々な技術が投入されている。輝度の変化に関しては小さく細かい変化まで判別できるが画像の中で色彩だけが変化している部分は網膜に映る面積がある程度以上広くないと変化の存在自体を認識できない人間視覚の特性を利用して、そのまま送信すると白黒放送の3倍の電波帯域幅が必要になるカラー映像信号を1/3の帯域に圧縮している。 明るさを表す輝度信号
目次
1 歴史的経緯
2 概要
3 詳細
3.1 白黒テレビジョンとの互換性
3.2 色副搬送波(カラーサブキャリア)周波数の決定経緯
3.3 各色カメラの出力信号から輝度信号Yと色度信号I・Qを生成する
3.4 I・Q信号の生成
3.5 I・Q信号を復調し、色(クロマ)信号にする
3.6 帯域フィルター
3.7 色差信号による色(クロマ)信号の復調
3.8 復調側でのY/C分離
3.8.1 周波数分離フィルタ
3.8.2 ライン相関を利用したクシ形フィルタ
3.8.3 フレーム相関を利用した3次元クシ形フィルタ(3D Y/C分離)
3.9 ベースバンド信号での伝送
4 音声多重放送
5 他のカラー放送方式との比較
5.1 短所
5.2 長所
6 日本における実装 (NTSC-J)
7 アナログテレビジョン放送の終焉
8 脚注
9 関連文献
10 関連項目
11 外部リンク
歴史的経緯
概要
各家庭の受像機では、視聴するチャンネルの放送周波数帯を選択増幅し、検波器でベースバンド映像信号に復調したものから輝度信号と色差信号を分離し逆マトリクス変換によって三原色の強さを表す信号を復元し、カラーブラウン管(今日では液晶やプラズマディスプレイを始めとする平面表示デバイス)に動画像を表示する。
NTSC委員会の策定したカラーテレビジョン放送方式を採用している国はアメリカ、カナダ、メキシコ、日本、台湾、韓国、フィリピン、中南米諸国の一部、太平洋諸島の一部などである。採用国数と視聴可能人口ではインドと中国も採用しているPAL方式の陣営が圧倒的に上回るが、アメリカが映像ソフトの供給大国であることから市場における各方式の地位・重要性は単純に比較出来ない。