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在日米軍再編(ざいにちべいぐんさいへん)とは、米国が、米軍配置を再検討し軍事戦略の転換を図る世界規模のトランスフォーメーション(米軍再編)の一環として、在日米軍の態勢や基地機能を再編成することである。 1991年のソ連崩壊による冷戦終結や2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件後の安全保障環境の変化、軍事技術の進歩に対応し、特に2001年以降、米国防総省は冷戦型の米軍配置を世界的に見直す作業の本格化に着手。その目的は、太平洋(東シナ海・北朝鮮・台湾海峡)からインド洋、中東(北アフリカ・カフカス含む)に連なるテロや大量破壊兵器の温床として米国が警戒する地域(「不安定の弧」と呼ぶ)に即応可能な指揮機能・後方支援機能を、在日米軍が自衛隊と共同して構築するところにある。米軍再編が急ピッチで進むに伴い、日米両政府は不安定の弧を焦点に、自衛隊と在日米軍の役割分担や、在日米軍基地の再編の見直しについて協議を重ねてきた。 日米両国は米国防総省で2005年10月29日(米国時間)、外務・防衛担当の4閣僚(日本側:外務大臣、防衛庁長官、米側:国務長官、国防長官)による日米安保協議委員会(2プラス2 [1] - US-Japan SCC [2])を開催し、在日米軍と自衛隊の再編についての基本的な考え方や当面の二国間の安全保障・防衛協力で態勢強化に不可欠な措置をまとめた中間報告「日米同盟: 未来のための変革と再編」[3] で合意、再編計画の大枠を決めた。報告書は、自衛隊と在日米軍の連携強化と、基地負担の軽減策を盛り込むと謳っている。 なお、「中間報告」という表現をめぐり、再編協議の米側交渉実務の責任者、国防副次官(アジア・太平洋担当)リチャード・ローレス (Richard Lawless [4]) は、日本政府の「中間報告」とする翻訳を否定。日米間の基本的な原則の合意であって、変更する計画はない(ありえない)としている。 不可欠な措置として合意された基地機能の移転について、移転先の各地住民は反対の声をあげ、中間報告の白紙撤回を求める動きが顕在化。自治体や住民に相談もなく頭越しの合意であったことや、日米の司令部の併存、基地の共同使用、相互運用などの軍事一体化により米軍の世界戦略に日本が組み込まれる懸念も高まり、移転先となった県では知事が反対を表明したり、嘉手納町議会、相模原市議会など、反対や白紙撤回を決議した地元議会もある。防衛庁長官・額賀福志郎は各自治体を相次いで訪問し、自治体首長に理解と協力を要請して説得に努めている。
再編協議
主な合意内容
沖縄県
普天間飛行場
普天間飛行場を日本側に返還するために代替施設を2014年までにキャンプ・シュワブ海岸線陸上部と大浦湾海域にまたがった区域(名護市、辺野古沿岸案と呼ばれる)へ建設する。周辺集落上空を飛行ルートから外すため、2本の滑走路がV字状に設置される。各滑走路は1,600m(前後各100mのオーバーランを除く)となる予定。普天間飛行場は代替施設が完成した後、日本側に返還される。詳細は「普天間基地移設問題」を参照
第3海兵遠征軍
2014年までに、第3海兵遠征軍司令部、第3海兵師団司令部、第3海兵役務支援群司令部、第1海兵航空団司令部、第12海兵連隊司令部等約8,000人及びその家族約9,000人をグアムへ移転する。家族住宅を日本負担で約3,500戸建設する。グアムに建設される施設の整備費102.7億円のうち、日本側が60.9億円を支出する。
キャンプ桑江(キャンプ・レスター
施設をキャンプ・フォスターに移設した上で全面返還。
キャンプ・フォスター
一部返還。
牧港補給地区(キャンプ・キンザー)
海軍関連施設を嘉手納弾薬庫へ、海兵隊関連施設をグアムへそれぞれ移設した上で全面返還。
那覇港湾施設
浦添埠頭地区に新施設を建設し移転する。その後、全面返還。
陸軍貯油施設(第1桑江タンク・ファーム)
全面返還。普天間飛行場代替施設の桟橋に貯油施設を建設する。
自衛隊
陸上自衛隊-キャンプ・ハンセンで訓練を行う。
航空自衛隊-嘉手納飛行場で日米共同訓練を行う。
神奈川県
キャンプ座間
キャンプ座間(相模原市、座間市)へ、2008年度までにアメリカ陸軍第1軍団(米ワシントン州)をUEx[5]に改編して移転。2012年度までに陸上自衛隊中央即応集団司令部も朝霞駐屯地から移転する。チャペル・ヒル住宅地区のうち、1.1ヘクタールを住宅移設後に返還する。
相模総合補給廠
相模総合補給廠に戦闘指揮訓練センターを新たに建設する。小田急電鉄多摩線を延伸し、鉄道と平行して道路を建設するため、2ヘクタールを返還。西側の野積場(52ヘクタール)のうち、15ヘクタールを返還。35ヘクタールを地元との共同使用(訓練・緊急時を除く)とする。
厚木飛行場
厚木基地へ岩国基地の海上自衛隊のEP-3等が移転する。
東京都
横田飛行場
航空自衛隊航空総隊司令部を米軍横田飛行場(福生市、立川市など5市1町)に移転し、第5空軍司令部と併置する。日米統合運用調整所が設置された。日米両政府は横田空域の管制権返還、飛行場の軍民共同使用について検討する。
山口県
岩国飛行場
厚木基地の第5空母航空団(神奈川県横須賀基地を事実上の母港とする空母ロナルド・レーガン搭載の艦載機F/A-18E/F スーパーホーネット、EA-18Gグラウラー及びE-2D アドバンスドホークアイ飛行隊)を岩国基地に移転。2017年8月9日、移転を開始した[6][7]。2018年3月30日、厚木から岩国基地への艦載機の移駐が完了した[8]。普天間飛行場の空中給油機KC-130ハーキュリーズは、飛行隊司令部・整備施設等とともに岩国飛行場へ移転する。