在宅医療(ざいたくいりょう、英: home medical care
)とは、病院や診療所などの医療機関の外(自宅や介護施設など)に医師や看護師、薬剤師などの医療職が出向いて行われる医療行為のこと[1]。在宅医療に特段の制限はない。
代表的なものには、悪性腫瘍(癌)、脳疾患(脳梗塞、認知症など)、整形疾患、呼吸器疾患などが挙げられる。現在日本の診療報酬点数に規定されている在宅療法としては下記のような療法がある。
呼吸補助療法 - 在宅酸素療法・在宅人工呼吸療法、在宅陽圧呼吸療法
栄養補助療法 - 在宅中心静脈栄養療法、成分栄養経管栄養法
排泄補助療法 - 在宅自己導尿療法や持続導尿や人工肛門の処置など
在宅注射療法 - インスリンや麻薬(モルヒネなど)の注射
補助腎臓療法 - 在宅人工透析療法など
これら各療法の利用者が増加している。
常時継続し患者家族が管理する在宅療法と医療者の訪問時に提供される医療を組み合わせると、自宅でも病院とほぼ同様の治療を受けることができるといえる。たとえば輸血や抗生剤治療などを定期的に受けながら自宅療養しているという事例もある。
またこのほか、介護サービスなど、在宅生活を営む上でのさまざまな療養上のアドバイスを行う。
在宅医療は「オーダーメイド医療」という側面もあるといわれている。 在宅医療は病院では一元的に提供されていた医療が、地域の個々の医療機関に役割分担され、「患者の自宅」という「病室」に対して一元的に提供されるもの、医療提供組織の規模が一つの建物から一つの地域に拡散、拡大したものとも言える。現在、その担い手には次のようなものがある。 在宅医療の担い手名称内容 在宅医療の担い手のトレーニングとしては日本在宅医学会認定専門医制度がある。認定専門医試験では筆記試験とポートフォリオ面接を行う。筆記試験では緩和ケア分野、認知症などの老年医学分野などを問う[20]。その他の医療職においては、薬剤師においては在宅療養支援認定薬剤師制度があり、学会が定めるカリキュラム修了者の中から筆記試験により認定される[21]。 在宅医療の担い手として、現在は病院、診療所、歯科診療所、訪問看護ステーション、調剤薬局等がある。訪問リハビリテーションと訪問栄養指導については独立した担い手となる機関は現在設定されていないが、病院、診療所、訪問看護ステーション等に含まれている。そのいずれも患者自身の住居近くに存在しているものであり、かかりつけ医、受診している病院の医療相談室等、または地域の訪問看護ステーションや医師会、歯科医師会、またはケアマネージャー等への問い合わせで最寄りの在宅医療機関を知ることができる。
在宅医療の担い手とその役割分担
訪問診療または往診医師が定期的・計画的な診療(多くは月に2?4回)により、在宅患者の病状管理を行う。容態悪化時には随時訪問し診療も行う。
訪問看護訪問看護師の定期的・計画的な訪問により患者の主に医療的な処置、ケアを行う。その業務範囲は非常に幅広いが、家事援助や単なるマッサージなどは多職種が担うものとされており、業務外(報酬対象外)とされている。
訪問歯科診療歯科医師が在宅患者を訪問し歯科診療を行う。訪問診療車に診療所と遜色ない設備を擁し、在宅でも十分な歯科診療を提供できる歯科診療所も存在する。
訪問歯科衛生指導歯科衛生士が在宅患者を訪問し歯科衛生指導を行う。単なる歯磨き指導に留まらず、食事摂取を継続していくための様々な助言指導も行う。
訪問リハビリテーション理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が定期的・計画的に在宅患者を訪問し、必要なリハビリテーションを提供する。単なる機能訓練に留まらず、在宅生活を維持しQOLを向上することを重視する。
訪問薬剤指導薬剤師が在宅患者を訪問し、調剤や医材の供給はもちろんのこと、処方されている薬剤についてその正しい服薬法等について指導助言する。また残薬整理や副作用状況、在宅患者個々の状況に合わせての服薬支援方法の提案や医師や他職種へのフィードバックを行う。医師の往診に同行し処方に対して薬学的な視点からフィードバックを行う。[19]
訪問栄養指導栄養士が在宅患者を訪問し、療養上必要な栄養・食事について助言指導する。
在宅医療の担い手とトレーニング
在宅医療の担い手とアクセス
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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