圧力計
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真鍮製のブルドン管ゲージ

圧力測定(あつりょくそくてい、英語: pressure measurement)とは、圧力真空度の測定である。

圧力測定のために圧力計や真空計などの様々な技術が開発されている。
圧力計と真空計

圧力計の一種「マノメーター」は、通常は大気圧付近の圧力を測るのに使われる。普通はマノメーターと言えば、中空の管に液体を入れて静水圧を測る器具を差すことが多い。

真空計は真空に近い圧力を測る装置である。一般的な真空を測る装置と超高真空(一般に10−5 Pa以下)を測る装置の大きく2つに分類できる。いくつかの装置を組み合わせることにより、105 Paから10−13 Paまでの真空度を連続的に測定することもできる[1]

なお、ゲージ (gauge) とは計測器全般を指す語であるが、日本で単に「ゲージ」と言う場合には圧力計を指す場合も多い。
絶対圧とゲージ圧

圧力は本来は完全な真空(絶対真空)を基準とする物理量であるが、実用的には基準となる圧力、すなわち基準圧 (reference pressure)を0として表示する。日常的には大気圧を 0 Pa((基準圧)として扱うことが多い。例えばタイヤ圧などは大気圧を 0 Paとしている。この他にもさまざまな基準を取ることがあり、主として次の3つに分類できる。
絶対圧 (absolute pressure)
絶対真空を0として表示する圧力である。ゲージ圧pG に大気圧p0 を足すと絶対圧pA になる。すなわち、 p A = p G + p 0 {\displaystyle p_{A}=p_{G}+p_{0}} である。
ゲージ圧 (gauge pressure)
大気圧を 0 Paとして表示する圧力である。値がプラスである場合を正圧(せいあつ、positive pressure)、値がマイナスとなる場合を負圧(ふあつ、negative pressure)といい、負圧は普通は表示されない(マイナス値を表示できない装置が多い)。絶対圧pA から大気圧p0 を差し引くとゲージ圧pG になる。すなわち、 p G = p A − p 0 {\displaystyle p_{G}=p_{A}-p_{0}} である。
差圧 (differential pressure)
2点の圧力の差である。

何をもって基準圧として扱っているかは省略されることも多く、その場合には前後の文脈から読み取る必要がある。タイヤ圧 (Tire-pressure gauge)、血圧はゲージ圧で表示される。気象学上の気圧や高い真空度は絶対圧で表示される。差圧は工業用生産機器で使われる。差圧計には差込口が2つ付いており、差圧を測りたいそれぞれの環境に繋がれている。そして、何らかの方法でその差を計算して表示するようになっているので、観測者がいちいち2点の圧力の引き算をしなくて済む。真空度には絶対圧が使われる場合とゲージ圧が使われる場合の両方がある。真空度26 inHg gaugeを絶対圧で表すと、30 inHg(一般的な1気圧)- 26 inHg = 4 inHgである。

海面での1気圧はおよそ100キロパスカルであるが、高度や天気で変化する。そのため、絶対圧が変わらなくても、周囲の気圧が変わればゲージ圧は変化する。例えば車で山に登ると、タイヤ圧は上がる。標準圧力は101.325キロパスカル[2]または約100キロパスカルと定義されているが、多くの圧力計は、構造上、表示値が周囲の気圧の影響を受け、特に高度が大きい場所では表示が不正確になる。
単位

圧力測定の単位としては次のものがある。
パスカル (Pa)

国際単位系における圧力の単位はパスカル (pascal、単位記号 Pa) である。1パスカルは1平方メートルに1ニュートンの力がかかることを意味し[3]、1 Pa = 1 N・m−2 または 1 kg・m−1・s−2である[4]。パスカルが圧力の単位として採用されたのは1971年である。

何を圧力0とするかは量記号の後に括弧書きで記される。単位記号の後に括弧書きにしてはならない[5][6]。例えば絶対圧absとする場合には次のように記述する。

P(abs) = 101 kPa と書く。  P = 101 kPa(abs) とは書かない。

重量ポンド毎平方インチ単位psiが併記された圧力計。日本では使用することが禁止されている。単位記号は小文字のpsiである。

アメリカとカナダでは、重量ポンド毎平方インチも使われており、日本でも当分の間用いることができる特殊の計量であるヤード・ポンド法による法定計量単位の一つとなっている(計量法に基づく計量単位一覧#ヤードポンド法の単位(14量33単位))。したがって日本では、輸出入に係る取引・証明、輸出される計量器、航空機の運航、ヤードポンド単位表記と法定計量単位表記とが併記されている輸入された商品の計量以外の計量に用いることは禁止されている。

その定義は6894.76Paである[7]

重量ポンド毎平方インチの計量法における単位記号は、「lbf/in2」である[8]。lb/in2の記号は不正確である。米国では、「psi」(小文字[9])の記号も使われている。

重量ポンド毎平方インチは特に自動車分野でよく使われる。末尾の文字が何を圧力0とするかを表し、psiaは絶対圧、psigはゲージ圧、psidは差圧を意味する。ただしアメリカ国立標準技術研究所のSP811はこれを推奨していない[6]

正しくは、次のように書く。左辺の量記号の書式は一例である。

Pa = 1520 psi と書く。  P = 1520 psia とは書かない。

Pg = 1140 psi と書く。  P = 1140 psig とは書かない。

Pd = 600 psi と書く。  P = 600 psid とは書かない。

液柱単位 (mmHg, cmH2Oなど)

圧力を液柱で測ることも多いため、圧力をある種の液体の高さで表現することがある。水銀や水が使われることが多く、計量法の政令(計量単位令)で定義されている単位はmmHgtorr (=mmHg)、inHg水柱ミリメートルmmH2O、inH2Oなどである。


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