土曜ワイド殺人事件
漫画:土曜ワイド殺人事件
作者とり・みき、ゆうきまさみ
出版社徳間書店
掲載誌月刊少年キャプテン
レーベル少年キャプテンコミックススペシャル
発行日1998年4月25日
発表号1995年2月号 - 1995年5月号(第1シリーズ)
1996年10月号 - 1997年2月号(第2シリーズ)
単行本描き下ろし(第3シリーズ)
巻数全1巻
漫画:新・土曜ワイド殺人事件
作者とり・みき、ゆうきまさみ
出版社富士見書房
AIC(第1話掲載誌)
掲載誌AICコミックLOVE
ドラゴンHG
月刊ドラゴンエイジ
レーベルドラゴンコミックス
発行日2004年7月1日
発表号AICコミックLOVE:Vol.8
ドラゴンHG:Vol.1 - Vol.6
ドラゴンエイジ:2003年10月号、2004年1月号
発表期間2001年1月 - 2003年12月
巻数全1巻
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画
『土曜ワイド殺人事件』(どようワイドさつじんじけん, SUTURDAY WIDE MURDER CASE)は、とり・みきとゆうきまさみの共作によるミステリーギャグ漫画。通称「土ワイ」。
第1シリーズは『月刊少年キャプテン』(徳間書店)において1995年2月号から5月号まで、第2シリーズは同誌で1996年10月号から1997年2月号まで連載された。単行本描き下ろしの第3シリーズを経て、第4シリーズは『AICコミックLOVE
』(AIC)のVol.8(2001年1月発売)、『ドラゴンHG』(富士見書房)のVol.1からVol.6まで、『月刊ドラゴンエイジ』(富士見書房)の2003年10月号および2004年1月号で、『新・土曜ワイド殺人事件』としてそれぞれ連載された。全4シリーズで単行本は計2巻。タイトルを見れば一目瞭然のように、本作は『土曜ワイド劇場』をはじめ『火曜サスペンス劇場』など、いわゆる2時間ドラマのパロディが基本テーマである。そのため「意味のないお色気シーン」や「重要参考人は崖上に追い詰められる」といった、これらのドラマでの数々のお約束をことごとくギャグにしている。たびたび出てくる女性の全裸シーンに関しては、少年誌を謳っていた『キャプテン』時代の第1から第3シリーズでは乳首まで描写され、陰毛は田子刑事の頭髪で代用されたが、『新・土曜?』になってからは湯気や角度などで隠すようになった。
本作の発端は1990年9月29日に行われたとりの漫画『クルクルくりん』の徳間書店版単行本第4巻に収録のとり・ゆうきの対談である。古くから親交のあった両者は、この対談での「合作をしよう」という旨の冗談を発端に、1994年に『月刊少年キャプテン』誌上で再度行われた対談(『マンガ家のひみつ』1997年6月徳間書店 ISBN 4198606994 収録)で、この冗談を実行しようという企画が持ち上がり、ゆうきが『機動警察パトレイバー』の連載を終えた直後に実行に移された。
制作過程は、まず合宿と呼ばれるロケハンに両者と企画・編集の田山三樹の3人が行き、そこで漫画に使うアイディアをためることから始まる。次にこのアイディアメモを基にゆうきが予告編を描き、その大まかな流れを活かす形でとりがネームにする。さらにこのネームを基にゆうきが下描きをし、最後にとりがペン入れを行う。この両者による交互のやり取りでは、お互いに修正とギャグの詰め込みを行い、修正に関しては一切干渉しないという約束があったという。両者ともギャグ漫画を得意とする作風のため、出来上がった本作にはコマの隅々まで細かなギャグが大量にちりばめられている。
なお、本作が連載された雑誌はことごとく休廃刊になっている。第2シリーズの最終話が『月刊少年キャプテン』の最終号、第4シリーズの第1話が『AICコミックLOVE』の最終号、そして第4シリーズ後半で『ドラゴンHG』の最終号も迎えた。このため第4シリーズは連載途中で2度にわたり半年程度のブランクを余儀なくされ、モチベーションを保つのが難しかったと両者は語っている。
共通の登場人物
田渕A子(たぶち エーこ)
本作の主人公。初登場時は17歳。トロいところがあり、たびたび大ボケをかます他、読者サービスのためにたびたび裸体やコスプレを披露する。第1シリーズでは、漫画家のアシスタント見習いで炊事を担当している。だが釜で電子ジャーを使って炊いたお米はいつもおコゲになってしまうなど、ドジでやや天然ボケの気がある。私服や帽子だけでなく、宿の備品であるはずの浴衣やバスタオルまでツギハギだらけで、貧乏臭さが演出されている。作中死にかけた際に憑依体質が表面化し、気を失うと死者の口寄せが行えるようになる。実はアフリカ生まれのアフリカ育ちで、10km先の人を見分けられるほど視力が良い。第2シリーズでは、第1シリーズの事件を忘れるためバナナワニ島へ行き、金持ち隠居老人の家政婦として働いている。アンナミラーズ風の制服に身を包み、1年間介護を続けていたが、風呂を空焚きして爆発させ主を殺してしまう。だがなぜかこの事は一切問題にならなかった。前回の全裸に続き、今回はトップレスの裸エプロン
舞台となるのは群馬県の谷川温泉(水上温泉郷)で、実際にロケハンに行っている。そのため地名として「谷川」と「水上」が多用されている(「水上消防署」「水上町歴史民俗資料館」「町立谷川大学」「谷川警察病院」など)。予告編での副題は、「湯けむり女子大生混浴露天風呂殺人事件」または「湯けむりOL三人組秘湯混浴連続殺人」という2時間ドラマにありがちなものだった。 群馬県の谷川岳一ノ倉沢
第1シリーズあらすじ
10年前の氷漬け死体について捜査を始めた群馬県警だったが、その最中に「ホテル万年雪」の女湯でお約束に則った殺人事件が起きる。さらに「おいで旅館」でも若い女性の全裸死体が発見され、その上「うめめ山荘」でも露天風呂で全裸女性が殺害されるという事件が起きる。この連続殺人には、いずれも若い女性が全裸で胸をペンで刺されて死ぬという共通点があり、警察は変質者の仕業として調べを進める。しかし捜査が進むにつれ、氷漬けの死体や過去の隠された事件との関係が徐々に明らかになってゆく。
第1シリーズ登場人物
尾日間奈良木テヨネ(おひまならき テヨネ)
A子がアシスタントをしている売れっ子漫画家。「アルカサル三茶」というマンションの仕事場で、女性ばかりのアシスタントを抱えている。本人もアシスタントたちもみなベレー帽を被っている。段田山に慰安旅行に招待され、A子と麗花を連れて谷川温泉にやってくる。
琴下麗花(ことしも れいか)
尾日間奈良木のチーフアシスタントを務める美女。ボディコン衣装に身を包む派手な女性だが、仕事は有能で家は金持ち。傲慢・短気・人を見下すと3拍子揃った女王様キャラ。尾日間奈良木に連れられて谷川温泉にやってくるが、露天風呂で全裸のまま殺される。
段田山(だんだやま)
伏魔書店の『少年カピトン』編集長。尾日間奈良木のデビューを担当し、その後も編集を担当している。尾日間奈良木らを谷川温泉に招待するが、崖から転落して死ぬ。名前は編集の「田山三樹」からで、社名と誌名は徳間書店と『少年キャプテン』のもじり。
群馬県警の面々
悪ノリが大好きでエッチなモブキャラ。全裸死体の写真を撮りまくって焼き増ししまくったり、露天風呂の現場捜査に潜水艇「みなかみ」(わだつみ)を持ち出したり、A子に安全のため混浴を提案したり、それが受け入れられてみな女装して女湯に入ったりする。なぜかパトカー模様のロープウェイ車両を所持している。またパトカーを走らせるたびに衝突せずには止まれないため、多数の怪我人を出すと同時に建造物の破壊を行っている。
異臭院薫(いしゅういん かおる)
県警本部から事件解決のため派遣されてくる警部。「前橋のシャーロック・ホームズ」という異名を持つ。谷川温泉に着く直前、いつもの如く乗っていた車が事故を起こして病院送りになる。病院で田子らを相手に推理を披露している途中、県警のヘリコプターが突っ込んできて、被害にあったまま忘れ去られる羽目に陥る。