土星
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土星
Saturn

カッシーニによる撮影
2004年3月27日
仮符号・別名鎮星、填星
分類木星型惑星
軌道の種類外惑星
発見
発見方法目視
軌道要素と性質
元期:J2000.0[1]
軌道長半径 (a)9.53707032 au
近日点距離 (q)9.021 au
遠日点距離 (Q)10.054 au
離心率 (e)0.05415060[1]
公転周期 (P)29.53216 年
会合周期378.09 日
平均軌道速度9.6724 km/s
軌道傾斜角 (i)2.48446°[1]
近日点黄経 ( ϖ {\displaystyle \varpi } )92.43194°[1]
昇交点黄経 (Ω)113.71504°[1]
平均黄経 (L)49.94432°[1]
太陽の惑星
衛星の数146 (149)
物理的性質
赤道面での直径120,536 km
表面積4.38 ×1010 km2
質量5.688 ×1026 kg
地球との相対質量95.16254888
平均密度0.70 g/cm3
表面重力8.96 m/s2
脱出速度35.49 km/s
自転周期10時間 13分 59秒
(赤道面)
10時間 32分 45秒
(極)
アルベド(反射能)0.47
赤道傾斜角25.33 度
表面温度93K(雲の最上層)
表面温度

最低平均最高
82K143Kn/a

大気の性質
大気圧140 kPa
水素>93%
ヘリウム>5%
メタン0.2%
水蒸気0.1%
アンモニア0.01%
エタン0.0005%
ホスフィン0.0001%
Template (ノート 解説) ■Project

土星(どせい、ラテン語: Saturnus、英語: Saturn、ギリシア語: Κρ?νο?)は、太陽から6番目の、太陽系の中では木星に次いで2番目に大きな惑星である。巨大ガス惑星に属する土星の平均半径は地球の約9倍に当たる[2][3]。平均密度は地球の1/8に過ぎないため、巨大な体積のわりに質量は地球の95倍程度である[4][5][6]。そのため、木星型惑星の一種に分類されている。

土星の内部にはニッケルおよびシリコン酸素化合物である岩石から成る中心核があり、そのまわりを金属水素が厚く覆っていると考えられ、中間層には液体水素ヘリウムが、その外側はガスが取り巻いている[7]

惑星表面は、最上部にあるアンモニアの結晶に由来する白や黄色の縞が見られる。金属水素層で生じる電流が作り出す土星の固有磁場は地球磁場よりも若干弱く、木星磁場の1/12程度である[8]。外側の大気は変化が少なく色彩の差異も無いが、長く持続する特徴が現れる事もある。風速は木星を上回る1800 km/hに達するが、海王星程ではない[9]

土星は恒常的なを持ち、9つが主要なリング状、3つが不定的な円弧である。これらはほとんどがの小片であり、岩石のデブリ宇宙塵も含まれる。知られている限り146個の[10]衛星を持ち、うち63個には固有名詞がついている。これにはリングの中に存在する何百という小衛星(ムーンレット)は含まれない。タイタンは土星最大で太陽系全体でも2番目に大きな衛星であり、水星よりも大きく、衛星としては太陽系でただひとつ有意な大気を纏っている[11]

日本語で当該太陽系第六惑星を「土星」と呼ぶ由来は、古代中国において五惑星が五行説に当てはめて考えられた際、この星に土徳が配当されたからである[12]:87。英語名サターンはローマ神話の農耕神サートゥルヌスに由来する[13][14]
物理的性質土星と地球のおおまかな大きさ比較土星の特徴を強調するためにボイジャー1号が色の濃淡を強調して作成された画像

土星は、中心にこそ固体成分を占める核があるが、主要成分がガスであり外縁の境界が不明瞭なため巨大ガス惑星に分類される[15]自転によって惑星は扁球形状を持ち、極よりも赤道部分が膨らんだ扁平状になっているために、赤道半径と極半径の差はほぼ10%(60,268km 対 54,364km)にもなる[16]。木星・天王星・海王星と言った太陽系のその他のガス惑星もやや扁平しているが、土星ほどではない。土星は太陽系で唯一水よりも30%ほど軽い[17]。その中心核こそ水よりも重い比重を持つが、そのガス成分から平均では0.69g/cm3である。体積は地球の764倍にもなるが、質量は95倍にとどまる[16]。木星と土星の2つで、太陽系の惑星質量の92%を占める[18][19]
内部構造土星の内部構造

前項にて述べたように土星は巨大ガス惑星に分類されているが、木星と同じく、土星はすべてガスで構成されている訳ではない。惑星成分のほとんどを占める水素は、密度0.01g/cm3を超えると非理想溶液となる。土星半径の99.9%部分においてこの密度に達する。惑星内部の温度・圧力・密度はいずれも中心に向かうに連れて高まり、内部に行くと水素は相を変えて金属様になる[18]

標準惑星モデルでは、土星内部は木星と同じく小さな岩石質中心核を水素やヘリウムなどの揮発成分が取り囲んでいると考えられる[20]。この中心核の構造は地球と似ているが、より濃密な状態になっている。惑星の慣性モーメントの試算と、内部の物理的モデルを組み合わせる事で、フランスの天文学者 Didier Saumon とTristan Guillot が、惑星中心にある質量の塊をはじき出した。2004年に彼らは、中心核の質量は地球の9-22倍[21][22]、その直径は約25,000kmと試算した[23]。この核は濃い液体状の金属水素の層に覆われ、続けてその外側にヘリウムが飽和した水素分子の液体層があり、高度が増すにつれて気体へ相を変えてゆく。最も外側の層は厚さ約1000kmのガスの大気から成る[24][25][26]

土星内部は非常に高温で、中心核では11,700Kにもなる。そして、太陽光線の形で宇宙空間から受けるよりも2.5倍もの放射を行う。この放出エネルギーはケルビン・ヘルムホルツ機構というゆっくりとした重力の圧縮から生じると考えられるが、これだけでは土星の熱発生量をすべて説明できない。その他のメカニズムとして、惑星内の奥深くで起こる小さなヘリウムの滴による「雨降り」があるのではと考えられる。液滴化したヘリウムが水素の密度が低いところを通る際に摩擦による熱が発生するというもので、惑星の外側の層にあるヘリウムが使われると言う[27][28]。木星も土星と同様の金属水素の層を持っているが、木星は内部がより高温でヘリウムの水素への溶解度が高いこと・対流が活発であることから、この現象はあまり有効に働かないと推定されている。実際に土星の大気中に含まれるヘリウムの割合は、太陽や4つの木星型惑星のどれよりも低く(体積比で9.9%)、土星内部でヘリウムの分離が起きていることを示唆している[29]。この現象によって中心核はヘリウムで覆われている可能性もある[20]
大気

外層の大気は96.3 %が水素分子(H2)、3.25 %がヘリウム(He)である[30]。このヘリウムの構成比は、太陽内に存在するこの元素の比率と比較すると明らかに少ない[20]。ヘリウムよりも重い元素の量は正確には分かっていないが、原始太陽系形成時の比率に一致すると考えられている。これらの元素は地球質量の19 - 31倍ほど存在すると見積もられるが、ほとんどは土星中心核にあるものと考えられる[31]

アンモニアアセチレンエタンプロパンリン化水素メタンも土星大気中から検出された[32][33][34]。上空に見られる雲はアンモニアの結晶であるが、下に行くと硫化水素アンモニウム(NH4SH)や水へと変わる[35]。太陽からの紫外線は上層大気層でメタンの光分解を起こし、化学反応でつくられた各種の炭化水素が渦巻きや拡散を通じて惑星内部へ運ばれる。この光分解のサイクルは土星の季節変化の影響を受ける[34]

2005年初頭以後、土星の稲妻の観測が続いている。そのエネルギーは地球の雷の1,000倍に匹敵する[36]
雲の層2011年に惑星規模で発生した嵐の帯。明るい領域は嵐の頭部で、尾を引きながら左方向に移動している。

土星の大気は木星と同様に帯状の模様を見せるが、赤道近くで淡い幅広になる特徴を持つ。この帯は木星と同じ学術用語で呼ばれる。土星の細かな雲の模様は、1980年代の探査機ボイジャーが到達するまで観測された事は無かったが、その後は地球から望遠鏡を用いた観測が詳細を明らかにした[37]

雲は表面から中に入るほど圧力が増す。上層は温度100 - 160 K、圧力0.5 - 2 barでアンモニアの氷から成っている。下の圧力2.5 - 9.5 bar付近の層は水の氷が雲をつくり、温度は180 - 250 Kに上昇する。この層には硫化アンモニウムの氷が混合し、圧力は3 - 6 bar、温度は235 - 290 Kになる。そして最下層では圧力が10 - 20 bar、温度は270 - 330 Kになり、液化したアンモニウムの水滴が含まれるようになる[38]

カッシーニなどによって、土星の嵐などの気象現象が観測されている[39][40]。土星大気は通常それほど激しい動きを見せないが、時に木星で見られるような非常に長持ちする楕円形状が現れる事がある。1990年にハッブル宇宙望遠鏡が、探査機ボイジャー通過の際には確認できなかった赤道付近の巨大な白い雲を発見し、1994年にも別のより小さな嵐が見つかった。1990年の嵐は大白斑という現象のひとつで、土星の約30年毎に北半球が夏至を迎える頃に発生する、それほど長く持続しないものであった[41]。この大白斑は1876年、1903年、1933年、1960年にもそれぞれ発生し、特に1933年のものが有名である。周期性から考慮すると、次の発生は2020年前後になる[42]

土星に吹く風は太陽系で2番目に速い。ボイジャーの観測によると、最も速いものは偏東風で速度は1800km/hに達する[43]。2007年、探査機カッシーニが土星の北半球で天王星のような輝く青い色の部分を発見した。これはレイリー散乱によって引き起こされたと考えられた[44]赤外線による観測から、土星の南極点には他の太陽系天体には見られない暖かな極渦がある事が分かった[45]。土星の表面温度は通常-185℃前後だが、この渦は暖かい時には-122℃にもなり、土星表面で最も高い気温になると考えられている[45]
北極の六角形の雲北極の六角形の雲。ボイジャー1号が発見し、2006年にカッシーニによって初めて確認された。(2012年11月27日撮影)土星の南極(南極側には六角形の雲は無い)土星の北極(赤外線アニメーション)詳細は「土星の六角形」を参照


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