国際Aマッチ
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国際Aマッチ(こくさいAマッチ、: International "A" Match)とは、サッカーのAナショナルチーム(年齢制限のない代表チーム)同士の国際公式試合の事である。対戦国のどちらかがAナショナルチームではない場合は、国際Aマッチとはみなされない。

対戦国のどちらかが国際サッカー連盟(FIFA)に未加盟だった場合も、国際Aマッチとして認可されない。なお、FIFAランキングは男女とも国際Aマッチの結果のみで計算されている。また、サッカー競技の他にもハンドボールフィールドホッケーでも同じ表現が使われる場合がある。
概要

国際サッカー連盟(FIFA)規則[1]で、2つの加盟国がともに代表チームを編成して行う試合を国際マッチと定義し、この中で特に両国が年齢制限なしのトップレベルの代表チーム(first representative team)を出場させるものを国際Aマッチと定義している。従って、対戦国のどちらかFIFA未加盟だった場合は、国際Aマッチとして認可されない。また、国際Aマッチの要件を満たす代表チームを、Aナショナルチーム("A" national team)と呼ぶ。日本ではAナショナルチームであることを強調する場合に、A代表あるいはフル代表という呼称を使うことがあるが、一般には日本代表という呼び方がそのままAナショナルチームを表すことが多い。また、国際Aマッチを開催する場合、その試合の主催協会にFIFAに対する事前通達や事後報告、主催協会が収益の2%をFIFAに納めるといった義務[2]が生ずる。これらを怠った場合は罰金が科せられる。

サッカー競技規則第3条競技者の数の項で、国際Aマッチでは親善試合では最大6名まで、FIFAワールドカップ地区予選及び本大会等の公式戦では90分間で最大3名、延長戦ではさらに1人[3]まで交代できると定められている[4][5]。これに違反した場合は、たとえ両チーム間での合意の上であったとしても国際Aマッチとしては認められない[6]。国際Aマッチのピッチの大きさは以前は縦横とも10m程度の許容範囲があったが、2008年3月8日のサッカー競技規則改正で、タッチライン105m、ゴールライン68mに限定された[7]。また、国際Aマッチから次の国際Aマッチまでの試合間隔は48時間以上空けることが義務付けられている[8]

FIFAの年間スケジュールで、国家間代表チームの対戦日を指定する『FIFAインターナショナルマッチカレンダー』(国際Aマッチデー)がある[9]。男子のFIFAインターナショナルマッチカレンダーは2003年に開始された。これはFIFAワールドカップ本大会及び各地区予選やA代表の大陸選手権などのA代表の公式戦や親善試合などを開催出来る期日を予め設定するものである。女子も男子と全く同じ制度『国際女子Aマッチデー (Women's international match calendar)』制度[10]がある。国際Aマッチデー及び国際女子Aマッチデーには、A代表選手拘束権が協会側にあり、たとえ選手やクラブが代表招集を辞退及び拒否しても、協会側がその選手の代表招集を撤回しない限り、クラブの試合には出場できない。
選手との関連詳細は「サッカー選手の代表資格」を参照

「原則、選手は生涯1代表」の規定と国際Aマッチは密接に関係している。以下は、サッカービーチサッカーフットサル等FIFAが統括する各代表全てに共通して適用される。たとえば、“ビーチサッカー”代表の国際Aマッチ公式戦に出場した選手が他の国籍に変更して、他の国の“サッカー”A代表になることは出来ない[11]。国際Aマッチ及び年代別代表のいずれかの代表の公式戦に一度でも出場した経験を持つ選手は、後述する重国籍者(複数国籍保持者)等の場合を除き、その後国籍の変更や追加をしても、その国の代表にはなれない。

また、重国籍者の場合でも、かつては一度でも親善試合を除く国際Aマッチ公式戦に出場した後は既に保持している別の国籍の代表にはなれなかった。国際Aマッチの親善試合に出場後に別の国の代表になった重国籍者の事例としては、アメリカ代表ジャーメイン・ジョーンズ、モロッコ代表メディ・カルセラ=ゴンサレスなどがいる。ただし、当該国家が分離独立した場合は、選手が分離独立した国のどれかの国籍を選択すれば、その国の代表になれる。1991年にユーゴスラビア代表でデビューしたダヴォール・シューケルは、1992年にユーゴスラビアからクロアチアが独立するとクロアチア代表としてプレイしている。2020年9月18日の規則改正で、A代表で公式戦に出場した場合でも以下の要件を全て満たした場合は国籍の変更が認められることとなった[1][12]

A代表・年代別代表に関わらず最初の公式戦の出場時点で変更を希望する協会の国籍を有していたこと

A代表・年代別代表に関わらず最後の公式戦の出場時点で21歳未満であったこと(最後の公式戦出場が2020年9月18日より前であった場合この要件は不要)

公式戦・非公式戦に関わらずA代表における出場試合数が3試合以下であること

公式戦・非公式戦に関わらずA代表における最後の試合出場から少なくとも3年が経過していること

A代表でワールドカップ・大陸別大会の本大会に出場していないこと

なお、国際Aマッチ及び年代別代表の公式戦出場歴がいずれもない場合は、国籍の変更や追加をすれば、その国の代表になれる。ただし、国籍の変更や追加をした国に10歳より前から居住している場合は3年以上、10歳以降から居住している場合は5年以上継続居住していることが条件である[1]。また、10歳から18歳の間に移住した場合はその移住が代表チームの国籍取得のためではないことを証明する必要がある。2005年に初めてこの条件が加わった時は2年以上だった。A代表の最大の目的であるFIFAワールドカップは4年に1度の開催であることから、継続居住条件は、代表歴のない外国人の補強目的の安易な帰化の歯止め規定となっている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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