国際電気会議
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国際電気会議(こくさいでんきかいぎ、International Electrical Congress)は、1881年から1904年にかけて4回開かれた、当時はまだ新しい分野であった電気工学に関する国際会議である。パリで開かれた第1回会議はフランス政府が主催した。いずれの会議にも、各国の代表者や有力な科学者などが参加した。会議の主な目的は、電気の単位や電気機器に関する信頼性の高い国際規格を決定することだった。
背景

1881年当時、各国それぞれに、あるいは複数の国で使われる、同じ物理量の電気の単位が複数存在した。起電力の単位は少なくとも12種類、電流の単位は10種類、電気抵抗の単位は15種類あった[1]

そのため、これらを統一するための会議が19世紀末から20世紀初頭にかけて何度か開かれ、「国際電気会議」(International Electrical Congress)、「電気会議」(Electrical Conference)などと呼ばれた。これらの会議をどのように分類するかは、資料により異なる。本項目では、各国政府の代表者が参加する会議を「国際電気会議」と呼ぶこととし、それ以外の会議を「関連会議」として説明する。関連会議の中には、国際電気会議の準備として開かれたものもある。

1906年に国際電気標準会議(IEC, International Electrotechnical Commission)が設立された[2][3]。初期のIECが開催した国際会議である「国際電気標準会議」(International Electrotechnical Congresses)も国際電気会議と呼ばれることがある。本項目では国際電気標準会議とその関連会議についても説明する。
1881年パリ(第1回国際電気会議)

第1回国際電気会議は1881年9月15日から10月5日にかけて、国際電気博覧会(英語版)の関連イベントとしてパリで開催された。フランスの郵政大臣ルイ・アドルフ・コシュリ(英語版)が議長を務めた[1]。会議において、イギリスのウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)、ドイツのヘルマン・フォン・ヘルムホルツ、イタリアのジルベルト・ゴビ(イタリア語版)が副議長に選出された[4]。参加者は200?250人で[4]、1882年に議事録が出版された[5]。主な参加者にヘルマン・フォン・ヘルムホルツ、ルドルフ・クラウジウスグスタフ・キルヒホフヴェルナー・フォン・ジーメンスエルンスト・マッハジョン・ウィリアム・ストラット(レイリー卿)、ハインリヒ・レンツらがいる[6]

この会議の主要議題は、電気の単位、国際電信の改善、電気の応用の3つだった[4]。1873年にイギリス科学振興協会(英語版)が提案した[7]オームボルトを実用単位として採択し[8]電流電荷静電容量の単位をそれぞれアンペアクーロンファラドと定めて[3]実用的な単位系を完成させることが決議された[8]。また、オームを現示するための水銀柱の長さを決定するために、国際委員会が試験を行うことも決議された。
1882年・1884年パリ

"Conference international pour la determination des unites electriques(電気単位の決定に関する国際会議)が1882年10月16日から10月26日にかけてパリで開催された。この会議は、1881年の第1回国際電気会議がきっかけとなって開催されたものである。1882年に議事録が出版された[9]。同じ名称の会議が1884年にもパリで開催された。
1889年パリ

"International Congress of Electricians"(国際電気技術者会議)が1889年8月24日から8月31日にかけて、パリ万国博覧会の関連イベントとしてパリで開催された。11か国以上から約530人が参加した。

この会議では、電力と仕事の「実用単位」などのいくつかの単位が採択された[10][11]。電力の単位ワットは107エルグ毎秒、仕事の単位ジュールは107エルグと定義された[12]。このほか、磁気の実用単位についても検討が行われたが、決議や勧告は行われなかった[13]
1891年フランクフルト

1891年9月7日から9月12日にかけて[14]、ドイツの電気学会(Elektrotechnische Gesellschaft)が主催する[4]国際電気博覧会(英語版)の関連イベントとして[11]フランクフルトで国際会議が開催された。この会議には、イタリアのガリレオ・フェラリスが副議長として参加していた[15]


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