国際決済銀行
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、国際機関について説明しています。その他の用法については「BIS」をご覧ください。

国際決済銀行(こくさいけっさいぎんこう、英語: Bank for International Settlements、略称: BIS)は、1930年に設立された、中央銀行相互の決済を行う組織である。中央銀行の中央銀行とも呼ばれる。通貨価値と金融システムの安定を目的として中央銀行の政策と国際協力を支援している。通常業務として各国中銀の外貨準備を運用する機関投資家でもある[1]。2017年4月に同行のグローバル金融システム委員会は「レポ市場の機能」という報告書を公表、各中銀の量的金融緩和政策が世界各国の市場から手堅い債券を買い占めたせいで、一般機関投資家のレポ市場が担保の供給を受けられず機能不全に陥っているという見解を示した。スイスバーゼルの国際決済銀行本部
BIS

1924年のドーズ案で、賠償金を債権国の中央銀行に送付する賠償代理機関を設立することは決まっていた。
歴史

ドイツ第一次世界大戦にかかる賠償金支払いの行き詰まりを打開するためにヤング案(1930年)が提案された。ヤング案では「国際決済銀行に関する条約」と「国際決済銀行定款」が採択され、これらいわゆるハーグ条約により賠償金の支払いを円滑化させるための機関としてBIS が設立された。日本は、ウォール街大暴落 (1929年)のさなかでクレジットを設定、1930年のBIS創設時には株主となっていた。世界恐慌をきっかけとするナチ党の権力掌握が、ドイツをして賠償金支払いを拒否させた。BIS は賠償金の取扱機関として活動できなくなり、かわりに中央銀行間の協力を推進するようになった[注釈 1]

BIS は資産運用を行っている。1932年3月の報告では、合衆国市場への積極的な投資により銀行引受手形への運用が増えた[3][注釈 2]

協力の実態として、創設時点のBIS は金預金を受け入れていなかったが、1932年11月に受け入れる方針を明らかにした[4]

BIS は各中央銀行の勘定にて、地金・鋳貨その他の形で金塊を預金として受け入れる。

BIS には金庫がないので、預金する中央銀行(A)は、自行以外の中央銀行(B)におけるBIS の勘定に金をおく。

実際に金塊を預かる中央銀行(B)は、この金をBIS 名義の使途指図金として預かる。

BIS は、自身の勘定にて中央銀行(A)の「保証勘定」を開く。

上記の「保証勘定」口座は、BIS 定款第10条[注釈 3]の保護を受ける。

中央銀行(A)は、預金を使途指図先の中央銀行(B)に売却・現送したり、外国為替に変えたり、他の機関に売却・現送できる。

外国為替への換金の場合、中央銀行(A)が要求する為替が(B)国の為替であるとき、BIS はただちに自己名義で換金を執行する。(B)国以外の為替であるとき、BIS は預金金利よりも高い金利でその金を貸し出して、その為替を得る。

第二次世界大戦の拡大によりBIS は金塊をニューヨークへ現送するなどして資産をアメリカへ避難させていた。その資産を米財務省が「敵性資産」として差し押さえ、1940年6月25日ニューヨーク連邦準備銀行が発した暗号電報により凍結はBIS の知るところとなった。ここでBIS 定款第10条は対抗できなかった[5]。米政府は先のハーグ条約に調印していなかった。BIS 株の引受も連邦準備制度ではなく、JPモルガンなどの民間銀行団が行っていた。こうしたイレギュラーが起こる直接のきっかけはヘンリー・スティムソンが1929年にFRB 職員にBIS メンバーとなることを声明で禁じたことであった[6]

戦後、役員にナチス関係者のいたことが分かり[注釈 4]ブレトンウッズ会議から解散を勧告されて、ケインズが存続を主張したにもかかわらず廃止が決定した。しかしフランスとスウェーデンが存置を働きかけたことと(欧州決済同盟を参照)、次に述べる略奪金問題の決着により、廃止案は1948年に立ち消えとなった。

ライヒスバンクよりBIS に供託された略奪金[注釈 5]3.74トンは、「某中央銀行」が先行してBIS に返還していた額を控除の上、3.366トンがイングランド銀行へ預託された[7]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:55 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef