国際標準化機構
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「ISO」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「ISO (曖昧さ回避)」をご覧ください。

国際標準化機構
略称ISO
設立1947年2月23日
種類非政府組織
目的国際規格の策定
本部スイスジュネーブ
会員数165団体(2021年12月)[1]
公用語英語フランス語ロシア語[2]
ウェブサイトwww.iso.org
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国際標準化機構(こくさいひょうじゅんかきこう、: International Organization for Standardization、: Organisation internationale de normalisation、: Международная организация по стандартизации)、略称: 英・仏:ISO(アイエスオー、イソ、アイソ)露:ИСОは、各国の国家標準化団体で構成される非政府組織である。

スイスジュネーヴに本部を置く[3]スイス民法による非営利法人である。1947年2月23日に設立された。国際的な標準である国際規格 (IS : international standard / norme internationale) を策定している。

国際連合経済社会理事会に総合協議資格 (general consultative status / statut consultatif general) を有する機関に認定された最初の組織の1つである。
概要

162[1]の標準化団体で構成される、国際規格の世界的相互扶助を目的とする独立組織[3]で、国家間に共通な標準規格を提供し、世界貿易を促進している。約2万の規格は、工業製品・技術・食品安全・農業・医療など全ての分野を網羅している[3]。ISOの公用語英語フランス語ロシア語である[2]。国際標準化機構が策定した国際規格をISOと呼称する事例もみられる。

ISOの標準を使用することで、安全で信頼性が高く、質の高い製品やサービスの創出に役立つ。ISOの標準は、不良品を最小限に抑え、生産性を向上させるのに役立つ。異なる市場の製品を直接比較できるようにすることで、企業は新しい市場に参入しやすくなり、公正な基準により世界貿易の発展を支援する。また、ISOの標準は、製品・サービスの消費者・エンドユーザーを保護し、認定製品が国際的に設定された最低限の基準に適合していることを保証する[3]

WTO/TBT協定メートル条約に基づく国際単位系の使用を定め、「計測及び計量標準の分野における協力に関する日本国通商産業省工業技術院 (AIST)アメリカ合衆国商務省国立標準技術研究所 (NIST) との間の実施取決め」などで計量標準の同等性と較正国家間で相互認証して、国際規格 IS を担保している。
名称と略称

英語での名称はInternational Organization for Standardization、フランス語ではOrganisation internationale de normalisation、ロシア語ではМеждународная организация по стандартизации(Mezhdunarodnaya organizatsiya po standartizatsii)である。

"ISO"は頭字語ではない。3つの公用語による頭字語が異なる(英語でIOS、フランス語でOIN、ロシア語でMOS)ため、国際標準化機構ではその略称を、ギリシア語で均等や均質を意味する?σο? (isos) から取ったISOと定めている[4]。ただし、ISOの創設会議では、このギリシア語についての説明はされなかったので、これは後づけのものかもしれない[5]。どのような言語においても、国際標準化機構の略称は常に"ISO"である。ISOという略称とISOのロゴは登録商標であり、その使用は制限されている[6]
歴史ISOの前身であるISAが設立されたプラハの建物に掲げられたプレート

ISOの前身は、1926年に設立された万国規格統一協会 (ISA: International Federation of the National Standardizing Associations) であり、第二次世界大戦中の1942年に活動を停止していた[7]。終戦後、新たに設立された国際連合規格調整委員会 (UNSCC) によって、新たな世界標準機関の設立が提案された。1946年10月、25か国からなるISAとUNSCCの代表がロンドンで会合を開き、新たに国際標準化機構を創設することで合意した。新しい組織は1947年2月に正式に業務を開始した[8]

1952年、日本から日本工業標準調査会(現・日本産業標準調査会、JISC)が加盟した。
組織

ISOには、各国1機関のみの参加が認められている。加盟機関は年1回総会 (General Assembly) を開き、ISOの戦略目標を議論する。組織は、ジュネーブに拠点を置く中央事務局 (Central Secretariat) によって調整されている[9]

ISOの主要役員と選出された20の加盟機関からなる理事会 (Council) がISOを運営し、中央事務局の年次予算を決定する[9][10][11]

技術管理評議会 (Technical Management Board) は、ISO標準を開発する250以上の技術委員会 (TC: technical committee) についての責任を負う[9][12][13][14][11]
ISO/IEC合同委員会

ISOは、国際電気標準会議 (IEC) と共同で以下の2つの合同委員会を組織し、電気・電子分野の標準を開発している。
ISO/IEC JTC 1詳細は「ISO/IEC JTC 1」を参照

ISO/IEC第1合同技術委員会 (JTC1) は、「IT標準を策定・維持・促進する」ために1987年に創設された[15]
ISO/IEC JTC 2

ISO/IEC第2合同技術委員会 (JTC 2) は、「エネルギー効率および再生可能エネルギー分野の標準化」を目的として2009年に創設された[16]
参加機関ISO会員国の地図。■緑が会員団体 (members)。■黒は非会員国。
■黄色は標準活動がまだ進展していない国(通信会員)。
■赤は経済活動が非常に小規模な国(購読会員)[17]

ISOには162の機関が加盟している[1]

ISOの加盟機関は、以下の3つのカテゴリーに分類されている[1][11]

会員団体 (Member bodies) - 各国で最も代表的な標準化団体とみなされる国家団体。会員団体のみが総会で議決権を有する。

通信会員 (Correspondent members) - 独自の標準化団体を持たない国の団体。通信会員は、ISOの作業について情報を得ることはできるが、標準化の作業には参加していない。

購読会員 (Subscriber members) - 経済活動が非常に小規模な国の団体。購読会員は会費が減額される。

議決権を有する加盟機関はPメンバー (participating members) と呼ばれる。それ以外のオブザーバーとして参加している機関はOメンバー (observing members) と呼ばれる。

日本 日本産業標準調査会 (JISC)

米国 アメリカ規格協会 (ANSI)

英国 英国規格協会 (BSI)

フランス フランス規格協会 (AFNOR)

ドイツ ドイツ規格協会 (DIN)

ニュージーランド ニュージーランド規格協会 (SNZ)

インドネシア インドネシア国家標準局 (BSN)

ベトナム ベトナム標準・品質局 (TCVN)

カザフスタン カザフスタン標準化・計量・認証国家委員会 (KAZMEMST)

ヨルダン ヨルダン標準・計量協会 (JISM)

レバノン レバノン規格協会 (LIBNOR)

ケニア ケニア標準局 (KEBS)

中国 中国国家標準化管理委員会 (SAC)

財政

ISOは以下のものから活動資金を得ている[18]

特定のプロジェクトの管理や、技術的な作業に参加する専門家の派遣を行う組織

会員団体からの会費。会費は、その国の国民総生産や貿易額に比例して決められる。

標準の販売

国際規格とその他の出版物「国際標準化機構が定める国際標準一覧」も参照

ISOの主要な刊行物は国際規格である。ISOは他に、技術報告書、技術仕様書、公開仕様書、技術正誤表、ガイドを発行している[19][20][21]

国際規格 (international standard)定められた国際規格は、「ISO [IS] nnnnn[-p]:[yyyy] - 題名」の形式で指定する。nnnnnは規格の番号である。pは、規格が複数の部 (part) に分かれる場合、個別の部を指定する場合に使用する。-pをつけない場合は全ての部を指す。yyyyは発行年または改訂年である。他の標準化団体と合同で制定した規格の場合は、"ISO"の部分が"ISO/IEC", "ISO/ASTM"のようになる。

技術報告書 (technical report)技術報告書は、技術委員会や小委員会が、国際規格として一般に公表されているものとは異なる種類の調査データなどを、参照のために発行したものである[19]。技術報告書の命名規則は、国際規格の場合とほぼ同じで、ISのかわりにTRがつく。

例:

ISO/IEC/TR 17799:2000 - 情報セキュリティマネジメントの実践のための規範

ISO/TR 19033:2000 - 製品技術文書 - 建設製図のメタデータ

技術仕様書 (technical specification)技術仕様書は、将来国際規格として採用される可能性があるが、標準化の対象となるものが開発中であるなど、直ちに国際規格として発行できない場合に発行される[19][21]。技術仕様書の命名規則は、国際規格の場合とほぼ同じで、ISのかわりにTSがつく。

例:

ISO/TS 16952-1:2006 Technical product documentation ? Reference designation system ? Part 1: General application rules

公開仕様書 (publicly available specification)公開仕様書は、緊急に標準化が必要となった技術に対する中間仕様として、ISOの委員会内での合意を表す文書である[19][21]。公開仕様書の命名規則は、国際規格の場合とほぼ同じで、ISのかわりにPASがつく。

例:

ISO/PAS 11154:2006 Road vehicles ? Roof load carriers

技術正誤表 (technical corrigenda)ISOは技術正誤表を発行することがある。これは、軽微な技術的欠陥、ユーザビリティの改善、限定的な適用範囲の拡大のために、既存の規格に加える修正である。対象の規格が次の定期審査時に修正されることを期待して発行される[19]

ISOガイド (ISO guide)ISOガイドは、国際標準化に関連する事項を扱うメタ規格である[19]。ISOガイドは、「ISO[/IEC] Guide N:yyyy - Title」の形式で命名される。

例:

ISO/IEC Guide 2:2004 - 標準化と関連する活動 - 一般的な用語

ISO/IEC Guide 65:1996 - 製品認証を運用する団体の一般要件

文書の著作権

ISOの文書は著作権で保護されており、その複写には料金がかかる。ただし、電子形式の暫定文書のほとんどに対しては、料金が請求されることはない。それらは有用ではあるが、標準として確定する前に大幅に変更される可能性があるので、暫定文書の使用には注意を払わなければならない。[要出典]
標準化過程

ISOの国際規格は、一般にISOの委員会内での長い標準化過程を経て発行される。標準化過程の状態を表す略語は以下の通りである[22][23][24][25][26][27][28][29]

PWI ? 予備作業項目 (Preliminary Work Item)

NP, NWIP ? 新作業項目提案 (New Proposal / New Work Item Proposal) (e.g., ISO/IEC NP 23007)


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