国際捕鯨委員会
[Wikipedia|▼Menu]

国際捕鯨委員会International Whaling Commission
加盟国一覧
略称IWC
設立1946年
設立者ビルガー・ベルガーセン
種類国際機関
法的地位国際捕鯨取締条約
国連海洋法条約
南極海洋生物資源保存条約
ワシントン条約
目的クジラ資源の保護を図り、捕鯨業の適正化を目的とする。
本部 イギリス
ケンブリッジ
会員数88ヶ国
事務局長サイモン・ブロッキントン
ウェブサイト

国際捕鯨委員会

テンプレートを表示

国際捕鯨委員会(こくさいほげいいいんかい、英語: International Whaling Commission; IWC)は、国際捕鯨取締条約に基づき鯨資源の保存及び捕鯨産業の秩序ある発展を図ることを目的として[1]設立された国際機関

日本1951年に条約加入したが[2]2018年12月26日にIWCから脱退することを通告し[3]2019年6月30日に正式脱退した[4]
組織・総会

事務局はイギリスケンブリッジにあり、クジラ資源の保存および利用に関しての規則を採択したり、クジラの研究・調査の調整・主催を行う。科学・技術・保存・財政運営の4つの小委員会を持っている(技術委員会は現在開かれていない)。総会の下に、適宜各種小委員会・作業部会・特別会合等の会合を開く。総会は2012年までは年に1度開催されていたが、以降は隔年開催が決定されている。

現在の事務局長はサイモン・ブロッキントン(Simon Brockington) 博士、議長はセントルシアのJeannine Compton-Antoine、副議長はベルギーのFrederic Chemayである。
条約の規定

国際捕鯨取締条約
加盟地域
署名1946年12月2日
署名場所ワシントンD.C.
発効1948年11月10日
寄託者アメリカ合衆国政府
文献情報昭和26年条約第2号
日本について効力発生:1951年4月21日[5]。日本について効力喪失:2019年6月30日[6]
言語英語
主な内容クジラ資源の保護を図り、捕鯨業の適正化を目的とする。
関連条約海洋法に関する国際連合条約、南極海洋生物資源保存条約、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約
条文リンク ⇒外務省サイト
ウィキソース原文
テンプレートを表示

国際捕鯨委員会は、鯨資源の保存・利用に関し、 (a) 保護される種類及び保護されない種類、 (b) 解禁期及び禁猟期、 (c) 解禁水域及び禁止水域(サンクチュアリの指定を含む)、 (d) 体長制限、 (e) 捕鯨の時期、方法、捕獲量、 (f) 使用する捕獲用具・措置、 (g) 測定方法、 (h) 捕獲報告・統計等の記録、 (i) 監督の方法に関して、付表 (Schedule) の修正を行うことができる(国際捕鯨取締条約第5条1項)。付表の修正には、本会議で投票する加盟国代表の4分の3の多数を必要とする(第3条2項)。付表修正は、 (a) この条約の目的を遂行するため、あるいは鯨資源の保存・開発・最適利用を図るために必要なものであること、 (b) 科学的知見に基づくこと[7]、 (c) 国別配分割当や船団別・捕鯨基地別配分を規定しないものであること、 (d) 鯨の生産物の消費者・捕鯨産業の利益を考慮したものであること、を要する(第5条2項)。付表は条約の不可分の一部であり、本条約において「条約」という場合は、この付表を含む(第1条1項)。

委員会は、鯨または捕鯨及び国際捕鯨取締条約の目的に関する事項について、締約政府に随時勧告ができる(第6条)。勧告については、投票する加盟国代表の単純多数決で行われる(第3条)。このほか、手続規則の採択など付表の修正以外の決定は全て単純多数決で行われる(同条)。

なお、国際捕鯨取締条約の規定にかかわらず、締約国政府は、科学研究のため鯨を捕殺することを許可する特別許可証を発給することができる(第8条)。

条約非締約国は、条約寄託国であるアメリカ合衆国に対して通告することによって条約への加入を行うことができる(第10条2項)。また締約国は、脱退を希望する年の1月1日よりも前に条約寄託国であるアメリカ合衆国に対して通告を行えば、6月30日に脱退することができる(第11条)。
歴史ノルウェー解剖学者で政治家のバーガーセン(英語版)は、1930年代から持続可能な捕鯨活動を求める活動を行い、国際捕鯨取締条約や国際捕鯨委員会の創設に寄与し、初代委員長となった。

1946年:国際捕鯨取締条約が採択(12月2日・ワシントンDC)

1948年:国際捕鯨取締条約効力発生(11月10日)

1949年:第1回国際捕鯨委員会年次会合開催

1951年:日本、条約加入[5]

1963年:南極海でザトウクジラが捕獲禁止

1963年:イギリス、捕鯨から撤退

1964年:オランダ、捕鯨から撤退

1968年:ノルウェー、南極海捕鯨操業を中止

1972年:国連人間環境会議で商業捕鯨10年モラトリアム勧告が採択。IWCでは否決

1974年:「新管理方式」と呼ばれる資源管理方式を採択

1975年:北太平洋のナガスクジライワシクジラが捕獲禁止

1976年:南極海のナガスクジラが捕獲禁止

1978年:南極海のイワシクジラが捕獲禁止

1979年:インド洋サンクチュアリと、ミンククジラ以外の母船式商業捕鯨禁止を採択

1981年:カナダが脱退を通告(82年に脱退)。北西太平洋以外でのマッコウクジラ捕獲禁止を採択。

1982年商業捕鯨モラトリアムを採択。日本、ノルウェー、ペルー、ソ連が異議申立。カナダが正式に脱退。

1983年:ペルー、異議申立を撤回

1986年:日本、異議申立撤回を決定し、87年3月をもって南極海での商業捕鯨を終える

1987年:日本、科学調査目的の捕鯨を開始

1991年:アイスランドが脱退を通告(92年に脱退)

1994年:「改定管理方式」と呼ばれる捕獲枠算定方法を採択する一方、南極海サンクチュアリを採択

1997年:アイルランドより商業捕鯨再開のための妥協案が提示。

2002年:アイスランドが復帰

2003年:新たな下部委員会として「保存委員会」の設置を採択 ⇒[11]

2006年:「改訂管理制度」と呼ばれる国際監視員制度や科学特別捕獲許可等に関する協議が決裂

2008年:対立打開のため、小作業部会が設置

2010年:妥協案策定交渉が決裂

2012年:本会議の隔年開催が決定

2014年国際司法裁判所で、日本の調査捕鯨を商業捕鯨モラトリアム違反とする判決が確定。現行の南極海での調査捕鯨停止が命じられる。

2018年:12月26日、日本が条約脱退を通告[6][8][9][10]2019年6月30日に脱退[6])。

加盟国
加盟国の推移

設立当初から1970年代半ばまでは、加盟国はおよそ十数カ国で推移していた。主要加盟国は、ノルウェー、英国、日本、ソ連、オランダなど南極海捕鯨操業国、デンマーク、オーストラリア、米国、カナダなど沿岸捕鯨操業国であった。

1970年代後半期より、加入国が急激に増加し、1980年代には40カ国前後がIWC加盟国となった。これは、ペルーなどIWC非加盟捕鯨操業国及び非捕鯨国に対して米国などから加盟が強く促されたことによる。捕鯨国に親和的な票を投じていたカナダは81年に脱退を通告し[11]、反捕鯨国がIWCにおいて付表改正に必要な4分の3以上の多数を占め、鯨類資源に関する科学的不確実性を理由として1982年に商業捕鯨モラトリアムが採択されるに至った。

その後捕鯨国としては1992年にアイスランドが脱退し[12]、加盟国は40カ国程度で推移していたところ、2000年代より再び加入国が相次いだ。1999年の年次会合後の記者会見において、亀谷博昭農水政務次官は捕鯨賛同国を増やすために漁業振興などを目的にした政府開発援助を活用する方針を表明し(日本経済新聞6月3日付朝刊/朝日新聞6月3日付朝刊)、以降日本側とEU諸国等反捕鯨国との間で加入の勧奨が相互に行われたためである。この結果、加盟国が84カ国へと1990年代に比べて倍増している。

日本側の積極的な招致活動により、2006年にセントクリストファー・ネイビスで開催された年次会合において、商業捕鯨モラトリアムはもはや不必要であるとする決議案を賛成多数において採択することに成功した ⇒[12]

しかしながら、後述のように当初捕鯨支持として加入した一部中南米諸国が反捕鯨側での投票行動をとるようになったこと、EU加盟各国が新たに反捕鯨国としてIWCにも相当数が加盟したこと、さらには捕鯨を支持するアフリカ諸国の一部が分担金の不払いにより投票権を失っていること等によって、2007年年次会合ではIWC内での勢力比は反捕鯨国側に傾くこととなった。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:144 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef