国際レジーム
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国際レジーム(こくさいレジーム、英語: International regimes)とは、相互依存が進んだ国際社会において、特定のある問題について国際関係における枠組みを創出することをいう。
目次

1 形成

2 支持と批判

3 参考文献

4 関連項目

形成

国際レジームは、ある争点に関しての諸国家の行為を調整する必要性に応じて形成されることが多い。たとえば、上位の権威が欠如している状況で、国家間のテレコミュニケーションは、多くの二国間協定によって統治されている。国際電気通信連合のようなレジームは、国家を超えた無線電話電気通信でのコミュニケーションを効率的に標準化するためのフォーラム、多国間条約統治機関として存在する。

ヤルタ会談国際連合核拡散防止条約国際通貨基金生物兵器禁止条約京都議定書は、国際レジームの代表例である。国際レジームの多くは、第二次世界大戦後、劇的に増加しており、今日では、安全保障問題(兵器不拡散や集団防衛)から貿易金融投資、情報コミュニケーション、人権、環境、宇宙空間の管理に至るまで、国家間の調整を要する国際関係のあらゆる側面をカバーしている。

レジームを形成する際に、覇権国の重要性を強調する研究者がいる。これは覇権安定論と呼ばれる。アメリカ合衆国連邦政府は、たとえば、世界銀行国際通貨基金を伴ったブレトンウッズ体制の創設を助けた。国際政治と経済における支配的アクターである覇権国が、グローバル標準の創設から最も多くの利益を受け取ることがその根拠にある。

たとえば、マイクロソフトユニバーサル・ピクチャーズなどのアメリカ合衆国の企業は、世界知的財産権レジームから最大の恩恵を受けているのである。覇権国がレジームを創るために力の行使を伴うため、覇権国の撤退は、同時にレジームの効果を脅かすこともできる。
支持と批判

レジームは、国際関係の重要な機能的必要性に奉仕する。強力なレジームは、国際政治における独自のアクターと考えられている。究極的には国家がレジームを創り、維持するけれども、いったん制度化されたならば、レジームは、国家主権とは独立して世界政治で影響を与えることができる。国際原子力機関は、たとえば、国家によって付与された、核エネルギー活動を監視するための一定の権利を持っている。国家間の条約によって組織されている限り、レジームは、公式の国際法の重要な源泉を提供する。レジーム自体は、国際法の主体でもありえる。国家の行為を形成する限り、最も影響力のあるレジームは、慣習的国際法の源泉にもなりえる。リベラリズムの研究者は、平和的な世界的ガバナンスの初期の種をレジームに見ている。

レジームへの批判は、世界政治における対立あるいは非効率性の源泉とレジームの影響を捉えている。国連安保理を取り巻く安全保障レジームは、この点で事例としてよく引用される。レジームが民主的統制の希薄化を表していると警戒する論者もいる。生活の重要な局面を統治し、影響を及ぼすけれども、国内の民主政治から乖離した段階でレジームは作用する。結果、大半のレジームは、密室で作られた合意を伴う、国際公務員のテクノクラート的な見方を代表するようになっていると批判者は論じる。世界貿易機関のようなレジームは、人民の意志との連結のため活動する市民問題部門を設立することで、この「民主主義の赤字」に対処しようとしてきた。大半のレジームは、国家内部で生じる直接的な民主政治からいまだに隔離されている。しかし、国際調整の多くがテクノクラートによって提供される専門知識を必要としているので、このような隔離が必要と考える研究者もいる。
参考文献

野林健大芝亮ほか『国際政治経済学・入門 新版』(有斐閣、2003年、第2章、大芝執筆部分)

関連項目

レジーム論

国際機関

グローバル・ガバナンス


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