国際セリ名簿基準委員会
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国際セリ名簿基準委員会(こくさいセリめいぼきじゅんいいんかい、International Cataloguing Standard Committee、略称:ICSC)とは、競走馬セリ名簿を作成する際に、競走馬の競走実績を表記するために用いるブラックタイプゴシック文字)の基準を国際的に標準化し、国家間における競走の質の認識に客観的な基準を定義することを目的として、かつて組織されていた委員会である[1]

本項では1983年版から2007年版まで国際セリ名簿基準委員会によって作成され、2008年版以降は国際格付番組企画諮問委員会(IRPAC)によって維持されている『国際セリ名簿基準書』(International Cataloguing Standards Book)についても記述する。
歴史

1952年アメリカ合衆国の競走馬セリ業者ファシグ・ティプトンがセリ名簿にステークス競走勝利馬の競走実績を強調して記載することのできるブラックタイプ方式を考案し、欧米諸国に広まった。また、欧州では1970年グループ制、アメリカでは1972年グレード制による重賞の格付けが開始された[1]。そこで、両者の基準を標準化し、グループ制・グレード制とブラックタイプで記載可能な競走の指定における国家間の不均衡を防止することを目的に1981年にアメリカ、イギリスアイルランドフランスの4か国から競馬統括機関、セリ業者、生産者団体の関係3者の各代表12人が集まって国際セリ名簿基準委員会が組織された[2]

その後、カナダアジア南米からの代表者も加えて各国の競馬の格付けを行い、毎年の『国際セリ名簿基準書』を発行していたが、2007年ロンドンで開催された年次総会で国際競馬統括機関連盟(IFHA)の諮問機関である国際格付番組企画諮問委員会(IRPAC)の取り組みとの重複が確認され、競走のグループ・グレードの格付けはIRPACが行って国際サラブレッド競売人協会(SITA)の承認を受けることになった。また、セリ名簿の表記の基準については、各地域の国際セリ名簿基準小委員会(ICS Sub-Committees)が責任を持つことになった[1]
国際セリ名簿基準書

『国際セリ名簿基準書』は、国際セリ名簿基準委員会によって1983年に第1版が作成された[1]

サラブレッドの平地競走の開催国・地域は、『国際セリ名簿基準書』の定める基準に基づく国際格付番組企画諮問委員会の勧告を受けて、国際サラブレッド競売人協会によりパートI、パートII、パートIIIに承認される。認定された国で基準を満たす重賞(グループ競走、グレード競走およびリステッド競走)が各パートに記載される。また、サラブレッドの障害競走の重賞はパートIVに記載される。このうち、パートIのグレードまたはグループの格付けは各国で同等の質を満たす国際格付けと見なされ、またパートIIのグレードまたはグループの格付けは国内でのみ有効であるが、パートIのリステッドと同等のブラックタイプ競走と見なされる[2]

パートIに認定されるためには、その国のグレードまたはグループの格付けを受けた競走が外国調教馬に開放された国際競走でなければならない[2]
認定国

2024年現在。International Cataloguing Standards Book[3]より。
パートI

1981年認定

アイルランド

アメリカ合衆国

イギリス

カナダ

ドイツ

フランス


1985年認定

アルゼンチン

オーストラリア

チリ

ニュージーランド

ブラジル

ペルー

南アフリカ共和国


2003年認定

アラブ首長国連邦


2007年認定

日本[注 1]


2016年認定

香港


パートII

イタリア[注 2]

インド

ウルグアイ[注 3]

韓国[注 4]

サウジアラビア[注 5]

シンガポール

ジンバブエ[注 6]

スカンジナヴィア

スウェーデン

デンマーク

ノルウェー


トルコ[注 7]

パナマ

バーレーン[注 8]

プエルトリコ

ベネズエラ

マレーシア

パートIII

エクアドル

カタール

ジャマイカ

スイス

スペイン

スロバキア

チェコ

トリニダード・トバゴ

ドミニカ共和国

ハンガリー

ベルギー

ポーランド

メキシコ

モーリシャス

モロッコ

パートIV

障害競走を開催する国。

アイルランド

アメリカ合衆国

イギリス

イタリア

オーストラリア

スイス

チェコ

ドイツ

日本

ニュージーランド

フランス

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 中央競馬については2 - 3歳限定戦は2009年から段階開放し、2010年から完全開放された。また国際格付けの基準を満たしていなかった重賞については2009年まで日本国内限定グレード「Jpn(I・II・III)」を使用していた。2009年以後、国際格付け基準を満たしていない重賞競走はグレードなしの「(新設)重賞」扱い(1年目「新設重賞」、2年目以後「重賞」と表記)となっている。地方競馬については2011年から国際競走となった東京大賞典を除く全ての重賞競走(ダートグレード競走を含む)が、外国馬への開放がなされていないか、国際格付けを申請していない(全日本2歳優駿が該当、国際格付けは「L」<出走資格に制限のないリステッド競走>として施行)ためJpnグレードを採用している。


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