国際サッカー評議会
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自立法人スイスの法律)国際サッカー評議会(こくさいサッカーひょうぎかい、International Football Association Board)は、サッカーのルール(サッカー競技規則)の制定など、サッカーに関わる重要事項を決定する機関。略称はIFAB。IFABで決定された規則は、FIFAに所属する協会の全ての国際試合および国内試合で適用される[1]。IFABの本部は、国際サッカー連盟(FIFA)の本部と同じスイスチューリッヒに在所する。
概要

国際サッカー評議会(IFAB)はサッカーのルール(競技規則)を決める世界で唯一の意思決定機関である。IFABは、公式言語として英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語を挙げている(元になるのは英語)。IFABの目的は、競技規則を保護、編纂、改正し、国際サッカー連盟(FIFA)傘下の全世界のサッカーにおいて一貫性をもって適用され、適切に監視され、その結果、サッカーが規則正しく、確実にプレーされるようにすることである。さらに、2017年3月、IFABは、公平・公正、普遍性及び多様性の受容、そして技術革新に目を向けながら、世界中のあらゆるサッカーの試合がより良いものになるよう引き続き競技規則を発展させていくと発表した[2]。IFABは、毎年、2月か3月に行う年次総会(AGM)において、ルール改正を討議し、出席者の3/4以上の賛成を得た場合(IFAB構成メンバー:FIFA4票、イギリス(以下英)本土4協会各1票計8票中6票以上)、ルールを改正する。英本土サッカー4協会を含めFIFA加盟サッカー協会及び各大陸サッカー連盟は、ルール改正の提案などサッカーに関する重要な事項について次回の年次総会(AGM)前年の11月1日までに書面で年次総会主催協会(但し、年次総会主催協会は英本土4協会のいずれか)のIFAB事務局長に提出する[1]。また、一般のファンも、IFABのメールアドレス宛[注 1] に意見や質問を送ることができる[2]

1882年12月5日に、マンチェスターで開かれたイングランドサッカー協会(FA)の会合にスコットランドサッカー協会 (SFA)、 ウェールズサッカー協会 (FAW)、アイルランドサッカー協会 (IFA) が招待され、これらイギリス本土4協会によってIFABが設立された。第1回のIFAB総会は、1886年6月2日にロンドンで開催され、以降毎年1度IFAB総会が開かれている。その後、1913年国際サッカー連盟(FIFA)が加入した[1]。現在はFIFAから4人、イギリス(以降英)本土4協会(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)から各1人代表が送られて構成されている[1]。なお、現在アイルランド島の北東部にあるイギリスの北アイルランドアイルランド島南部のアイルランド共和国は別の国であり、それぞれの協会を持つ(北アイルランドはアイリッシュ・フットボール・アソシエーション、アイルランド共和国はフットボール・アソシエーション・オブ・アイルランド)。

2012年から2014年1月13日までにIFABは改革を行った(但し、IFAB構成協会はFIFAと英本土4協会のまま)。2013年3月2日の第127回IFAB年次総会(AGM)で、サッカー界の専門家からなるテクニカル諮問委員会(Technical Advisory Panel)及びサッカー諮問委員会(Football Advisory Panel)を設けた。これらの諮問委員会は、諮問プロセスを改善し、競技規則の発展に向けてより積極的なアプローチを醸成することを目的としている[1][2]。2014年1月13日に、IFABそのものとその機関が持つ目的、組織及び責任について定めた定款を承認し、IFABの事務局長をトップにすえた運営事務局を導入し、透明性を高めるとともに民主的かつ現代的な運営を目指すこととした。スイスの法律のもとで自立法人となり、IFAB本部を国際サッカー連盟(FIFA)の本部と同じスイスチューリッヒに置いた[1]

2012年7月5日にスイスチューリッヒのFIFA本部で行われたIFAB特別会議で、満場一致で「ホークアイ(Hawk-Eye)システム」と「ゴールレフ(GoalRef)」の両方のゴール機械判定技術(ゴールライン・テクノロジー)採用)等を決め、史上初めて、サッカーのルールに機械判定技術を正式に導入した。以降、2018年3月3日にスイスのチューリヒでIFAB年次総会(AGM)でビデオ・アシスタント・レフェリー制度のサッカーのルールへ正式導入の決定[3]など、機械判定技術がサッカーのルールに導入され続けている。

2016年3月IFAB年次総会(AGM)で改正されたサッカー競技規則2016/2017以降は、IFABが直接ルール(競技規則等)を英語版(正式な原本)、フランス語版、ドイツ語版及びスペイン語版の冊子(ルールブック。競技規則本)を発行している(日本では、日本サッカー協会が正式な英語版を毎年改正部分を含めて日本語に翻訳、表現を見直しながら日本語版出版)[4]。2016年度までは、IFABの承認なしでは、大陸連盟や加盟協会は、サッカーのいかなる競技規則の変更も禁止(16歳未満の選手・女子・35歳以上の年長者のみの試合及び障害者の試合を除く)としてきた[5]。2017年3月3日(サッカー競技規則2017/2018)にイギリス首都ロンドンで開催された第131回IFAB年次総会(AGM)において、更なるサッカーの普及発展の為、次のような重大な改正が承認された[2]
各国のサッカーにそれぞれに有益になることは、各国サッカー協会こそが知っている。従って、各国協会(および大陸連盟、FIFA)がその責任の下、“それぞれの独自の競技規則(但し、IFABによって認められた修正(「競技規則の修正」参照)の範囲で)”をより弾力的に変更できるようにした(例:トップレベルの試合を除き、交代の最大数を5人とする等)[2]

ユース、年長者、障がい者およびグラスルーツ(最も底辺のレベル)のサッカーにおいて、警告(YC)に代わり得る一時的な退場(シンビン)を導入する[2]

以前よりグラスルーツのサッカーで認めてきた再交代(試合中、一度交代してベンチに下がった選手が再び交代してその試合に出場する)をユース、年長者および障がい者のサッカーでも認める[2]

これらやその他の重要な改正の詳細は、IFABの冊子「競技規則の修正」に記載されている(日本は日本サッカー協会が翻訳発行しているサッカー競技規則日本語版内)[2][5]
開催会議とルール改正の手続き等

国際サッカー評議会は単年度に、11月の年次事務会議Annual Business Meeting (ABM)と翌年2月か3月の年次総会Annual General Meeting (AGM)の合わせて2回の会議を同一協会で2度とも行う。原則としてイギリス本土4協会(以下英本土4協会)のいずれかで輪番に開催する[1]。IFAB改革の一環で、2013年3月2日の第127回IFAB年次総会(AGM)で、サッカー界の専門家からなるテクニカル諮問委員会(Technical Advisory Panel)及びサッカー諮問委員会(Football Advisory Panel)を設けた[1]。また、サッカールールの試行を監視するテクニカル小委員会(TSC = Technical Subcommittee)がある[4]
年次事務会議(ABM)

年次事務会議(ABM)は、年次総会(AGM)の準備のための会議であり、11月に開催される。各大陸連盟及び各サッカー協会から提出された競技規則に関する試行の要求など一般的事務事項を審議・検討し、試験や試行を承認することができるが、競技規則(ルール)改正は出来ない。
年次総会(AGM)

ABMの翌年毎年2月末頃(2月か3月)に開催される年次総会(AGM)において、ルール改正を討議し、出席者の3/4以上の賛成を得た場合(FIFA4票、英本土4協会各1票計8票中6票以上)、ルールが改正される。


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