国鉄ED79形電気機関車
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ED79形電気機関車

基本情報
運用者日本国有鉄道
北海道旅客鉄道
日本貨物鉄道
種車ED75形(改造車)
製造年1971年 - 1976年(改造種車)
1989年(新造車)
製造数10両(新造車)
改造年1986年 - 1987年
改造数34両
引退2016年
投入先津軽海峡線
主要諸元
軸配置B-B
軌間1,067 mm
電気方式単相交流20,000V (50Hz)
架空電車線方式
全長14,300 mm
台車DT129T形・DT129U形
動力伝達方式一段歯車減速吊り掛け駆動方式
主電動機MT52系 直流直巻電動機×4基
歯車比18:69 (3.83)
制御方式無電弧低圧タップ制御
制動装置EL14AS形自動空気ブレーキ
回生ブレーキ(基本番台のみ)
保安装置ATC-LATS-SnATS-DN
最高速度110 km/h (基本・100番台)
100 km/h
定格速度56.5 km/h
定格出力1,900 kW
定格引張力12,160 kg
番台区分による差異あり。詳細は主要諸元を参照のこと。
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ED79形は、日本国有鉄道(国鉄)が1986年昭和61年)から津軽海峡線用として製作した交流電気機関車である。国鉄分割民営化後も、日本貨物鉄道(JR貨物)が1989年平成元年)から新製した。目次

1 概要

1.1 投入背景


2 構造

3 形態区分

3.1 基本番台

3.2 100番台

3.3 50番台

3.4 主要諸元


4 運用の変遷

4.1 JR北海道

4.2 JR貨物


5 脚注

5.1 注釈

5.2 出典


6 参考文献

7 関連項目

概要

国鉄が最後に開発した電気機関車で、青函トンネルを有する津軽海峡線区間の開業に伴う同区間の専用機関車として計画され、運用の置き換えで捻出されたED75形電気機関車(700番台)から34両が改造された。連続勾配・多湿・信号方式など区間特有の条件に対応した種々の機能付加がなされ、費用対効果の観点から、本務機用(基本番台)の他に補機専用として最小限の改造を施工した車両(100番台)が設定された。改造は国鉄時代から開始され、1987年4月の国鉄分割民営化に伴い北海道旅客鉄道(JR北海道)が全機を承継した。1988年3月の青函トンネル開通以降、北海道新幹線が開業する2016年3月まで旅客列車や貨物列車に使用されていた。

1989年には貨物列車増発のため、JR貨物が50番台10両を新規製作した。これは基本番台と概ね同一仕様の車両で、津軽海峡線区間の貨物列車に重連で使用されていた。
投入背景

青函トンネルの運用方法については、当初新幹線を通すという計画で始められており、同トンネルを運行する貨物列車に関しても160km/h程度の高速化が不可欠であることから大容量電気機関車構想が存在した[1][2]。さらに、長大海底トンネルという特殊性から信頼性の高いVVVFインバータ制御による三相誘導電動機を用いた駆動方式の開発が行われ、インバータ、台車、電動機の試作から台上試験まで行われたが、開発は中断した[2]

その後、トンネル運用方法の変更により輸送条件としては在来線の条件と大きく変わらないこととなり、在来の機関車性能でも対応可能となった[2]。また、1984年2月1日ダイヤ改正で貨物列車の大幅な削減が行われ、電気機関車の余剰が発生することから、本形式は改造により充当されることとなった[2]。種車としては、前述のようにED75形(700番台)とされた。これは、

経年が10年程度であり、交流電気機関車の中では最も新しい。

屋根上の特別高圧機器が機械室内に収納されているため、津軽海峡線で必要となる耐雪害・耐塩害性を有する。

トンネル内交交セクションに関係して集電装置取付位置が先頭輪軸より後位でなければならないが、それを満足している[3]

が理由とされた[2]
構造

2軸ボギー台車を2組装備し、4軸の全てを動力軸とする「D型」機関車(軸配置 Bo - Bo)で、この基本構成は本形式の種車ED75形と同一である。

車体は種車のものを再用し、外部機器の絶縁強化・運転台側窓のアルミサッシ化など、常時高湿度環境への対策がなされる。基本番台には屋根上に新設した抵抗器を収納するカバーを設ける。

連続勾配 12 の青函トンネルを走行するため、降坂対応としてブレーキ管圧力制御装置を追加したほか、交流回生ブレーキを搭載する。このため無電弧低圧タップ切換方式はそのままに、基本番台の制御装置は種車の磁気増幅器+シリコン整流器からサイリスタに換装されている。主変圧器と低圧タップ切換器は種車のものをそのまま使用し、磁気増幅器とシリコン整流器を撤去して、その空きスペースに主サイリスタ整流器、界磁用変圧器、高速遮断器、力行・制動転換器などを搭載している。主サイリスタ整流器は位相制御および無電弧タップ切替用の逆並列サイリスタの4器に、回生インバーター用の単相サイリスタブリッジ8器、回生時の電流制御を行う界磁制御用サイリスタ2器とフリーホイールダイオード1器から成り立っている。単相サイリスタブリッジ8器は、力行時に全通制御を行いダイオードとして機能させている。サイリスタが二分されているED76形500番台ED78形EF71形と異なり、本形式ではすべての機能が一基に集約されている。

基本番台と100番台との制御方式の差異に起因する走行特性差を極力解消させるため、基本番台では屋根上に安定抵抗器を設置する。12 ‰ の連続下り勾配において総重量 1,000 t貨物列車を牽引する条件下でも、抑速は機関車1両で可能であることから、本務機となる基本番台のみに回生ブレーキを装備している。

台車は種車の仮想心皿台車 DT129 系を再用し、駆動装置も種車と同一の吊り掛け駆動方式である。主電動機は種車の直流直巻電動機 MT52 系を再用し、転がり抵抗低減のため動輪側の支え軸受をコロ軸受に変更した MT52C 形である。最高速度 110 km/h 運転対応のため、歯車比は 1:4.44 から 1:3.83 に変更された。


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