国鉄583系電車
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国鉄581系・583系電車
羽越本線を走行する583系電車
羽前水沢駅 - 羽前大山駅間)
基本情報
運用者日本国有鉄道
東日本旅客鉄道
西日本旅客鉄道
北海道旅客鉄道(運行なし)
製造所川崎車輛→川崎重工業
日立製作所笠戸事業所
日本車輌製造
東急車輛製造
汽車製造
近畿車輛
製造年1967年 - 1972年
製造数434両
運用開始1967年10月1日
運用終了2017年4月8日
主要諸元
軌間1,067 mm
電気方式直流1,500V
交流20,000V・60Hz(581系)
交流20,000V・50/60Hz(583系)
最高運転速度120 km/h
起動加速度1.3 km/h/s(MT比1:1)
減速度(常用)3.5 km/h/s
減速度(非常)5.0 km/h/s
全長21,000 mm
全幅2,950 mm
全高4,240 mm
車体普通鋼
台車DT32系/TR69系
インダイレクトマウント空気ばね台車
主電動機MT54形直流直巻電動機
主電動機出力120 kW
駆動方式中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比22:77 (1:3.50)
定格速度72.0 km/h(全界磁)
116.0 km/h(40%界磁)
制御方式抵抗制御・直並列組合せ・弱め界磁
制御装置CS15系制御器
制動装置発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ
勾配抑速ブレーキ
保安装置ATS-S(登場時)
ATS-SNATS-PATS-Ps(JR東日本所属車)
ATS-SW・ATS-P・ATS-Ps(JR西日本所属車)
第11回(1968年ブルーリボン賞受賞車両※受賞車両は581系
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国鉄583系電車(こくてつ583けいでんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が設計・製造した動力分散方式交直両用特急形寝台電車

本項では、交流60Hz対応の581系電車についても解説を行う。
概要

高度経済成長期のひっ迫する輸送力への対応および車両効率の向上を目的として開発された寝台電車である。

寝台設備を持つ動力車は、20世紀初頭にアメリカインターアーバン(都市間電車)や1950年代中ごろに西ドイツの寝台気動車VT10.5形など数例が見られ営業運転も行われていたが[注 1]、静粛性の問題や昼夜兼行とする経済的メリットが存在しなかったことから、いずれも少数・短期間にとどまった。本格的な寝台電車は本系列が世界で最初のものである。

最初に投入された列車愛称にちなみ、月光形電車の呼称がある。
開発の背景

本系列の開発の経緯は、以下に示す1960年代の日本の鉄道の事情が関係していた。

高度経済成長の進展による好景気による輸送需要増大に伴い全国的に優等列車の増発が進められた。この過程で運転本数が多くなった急行特急列車に対し、運行する車両を留置する車両基地の容量問題が浮上してきた[注 2]

また、都市の過密化により、ターミナル駅の停車線の延長が難しく、旅客列車は東海道本線東北本線における、いわゆる「国鉄20m級車両」で16両が限界であった。この為、機関車の存在はその分旅客車の数が減ってしまう他、折り返し時に機関車を付け替える「機回し」もダイヤ組成上のネックとなった(特に単端式ホームがほとんどの上野駅で顕著)。

さらに車両の新規製造コスト捻出が問題化していた[注 3][注 4]

これらの解決策として、昼夜兼行で使用可能な寝台兼用電車を設計することになったものである。

当初は寝台車の接客設備水準から昼行列車では急行列車の運用が想定されていたが[注 5]、昼行運用を平均時速が遅い急行列車で運用する場合は充分な転換時間が得られないことや居住性を考慮した上で「Bロネ[注 6]の3段化」が望ましい反面で大幅な定員減[注 7]がネックによる収入減になるなどの理由から、特急形電車として設計された[注 8]。その結果として以下のメリットが発生した。

寝台列車としては当時の日本国内在来線では最速となる120km/h[注 9]での走行が可能。

朝夕ラッシュ時は都市近傍の通勤用電車基地が在籍車フル稼働時間帯を迎えて空隙が生じるためその間の通勤車基地で寝台設備の解体・組立を行うことにより新規の地上設備投資を抑制。

昼夜兼行形車両とすることで1日により多くの車両運用が可能で稼働率が高まり、投資に対する費用対効果を向上。

主に首都圏・近畿圏での早朝到着列車を電車化することでダイヤカット(列車運転間隔の短縮)に寄与。

1967年昭和42年)に直流・交流60Hzに対応する581系が、翌1968年(昭和43年)以降の増備は電動車を直流・交流50/60Hzの3電源対応とした583系が落成した[3]
構造
車体

それ以前の国鉄特急形電車がボンネット形の先頭形状と低い屋根による速度感の強い外観だったのに対し、本系列は寝台スペースの確保のためにほぼ車両限界いっぱいまで広げられており車高が高く、車体側面を垂直[注 10]とし国鉄特急形電車としては初めて前面貫通路が設置された。

従来の特急形電車では静粛性から電動発電機 (MG) と空気圧縮機 (CP) を客室から遠ざけるため車両先端のボンネットに搭載していたが、本系列は先頭車の貫通構造と寝台列車では昼行列車以上の静粛性を要求されることから機器類と客室の分離は必須であるためクハネ581形では容量150kVAのMGおよび容量2,000L/minのC2000形CP[注 11]を搭載する側通路構造の機器室を運転台後位に設置した。.mw-parser-output .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .trow>.thumbcaption{text-align:center}}クハネ581形側面運転台前窓周辺の処理

運転台窓配置は従来の特急型から設計変更され、前窓は151系481系などの曲面ガラスを使わず、新幹線0系電車と同じく平面ガラスで構成された。側窓は0系同様に傾斜させることで屋根部との面変化を少なくした。ただし、0系は流線型であるため側窓の1枚は正面と側面を繋ぐ形で斜めに配置しているが、本系列では側窓を同表面で構成し在来線の車両限界の制約から0系よりも傾斜が強い[4]。このため側窓後部から屋根へのデザイン処理は独特となり、後に新幹線951形電車新幹線100系電車でも採用された。

正面愛称表示器は、183系以降の貫通型・非貫通型先頭車のそれと比べ横長かつ天地の寸法が小さい。

文字のみで列車愛称を表示していた時代は、他系列とは異なり書体は切紙風で黄色または黄緑色に黒色の細い縁取り付きとした[注 12]


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