国鉄381系電車
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国鉄381系電車
381系電車による特急「こうのとり
基本情報
運用者日本国有鉄道
東海旅客鉄道
西日本旅客鉄道
製造所川崎重工業
日立製作所
近畿車輛
製造年1973年 - 1982年
製造数277両
運用開始1973年7月10日
運用終了2024年7月15日(予定)
主要諸元
編成3・4・6・7・9両
軌間1,067 mm
電気方式直流 1,500 V架空電車線方式
最高運転速度120 km/h[1]
(曲線通過時は本則[注 1]+20km/h[注 2][2]
179.5 km/h(記録)
全長21,300 mm[1]
全幅2,900 mm[1]
全高3,880 mm(クハ381形)[1]
3,385 mm(モハ381形)[1]
3,960 mm(モハ380形)[1]
車体アルミニウム合金
台車板ばね式自然振子ダイレクトマウント空気ばね台車
DT42・TR224
主電動機直流直巻電動機
MT58・MT58A
主電動機出力120 kW[1]
駆動方式中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比4.21[1]
定格出力960 kW(1ユニット)[1]
定格引張力4,470 kg(1ユニット)[1]
制御方式抵抗制御・直並列組合せ
制御装置CS43・電動カム軸接触器式
制動装置発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ
保安装置ATS-S・ATS-B(導入当初)
ATS-ST(JR東海所属車)
ATS-SWATS-P(JR西日本所属車)
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381系電車(381けいでんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が開発・設計した直流特急形電車国鉄分割民営化後は東海旅客鉄道(JR東海)・西日本旅客鉄道(JR西日本)に承継された。
概要

日本初の車体傾斜式(自然振子式)特急形車両として1973年昭和48年)5月に登場し、同年7月10日から中央本線(中央西線、以下特記ない限り中央西線と表記)・篠ノ井線特急「しなの」に投入された[3]。その後、1978年(昭和53年)に阪和線紀勢本線特急「くろしお」、1982年(昭和57年)に伯備線特急「やくも」にも投入され、計277両が製造された[4]
開発の背景「国鉄591系電車」も参照

1973年(昭和48年)7月に中央西線・篠ノ井線名古屋 - 長野間の直流電化・一部線増・新線切替完成が決まり、同区間では特急列車主体の列車体系を組むこととなった[5]

しかし、名古屋 - 長野間 (252.3 km) は曲線区間が45.2% (115 km) 、うち半径600 m 以下の曲線が全体の23.8% (60 km) を占めるため、電化しても当初予定の181系電車の転用では所要時間3時間45分と、従来のキハ181系しなの」比で10分程度の所要時間短縮にしかならず、曲線の通過速度が向上しない限り、大幅な速度向上が見込めないと考えられた[5][6]。一方で、同時期には中央自動車道が部分開通を繰り返し延伸を続けており、その対抗上、電化による速度向上効果を最大限に発揮させる必要があった[7][8][9]

一方、国鉄では東北本線など主要幹線に、最高速度130 km/h 、曲線通過速度+20 km/h などの達成による表定速度100 km/h 超の高速列車を設定する計画を進めており、1970年(昭和45年)には試験車、591系電車を制作して試験を行っていたが、ほぼ同時期に全国新幹線網計画が具体化し、東北新幹線建設が始動したことで、量産系列の投入計画をいったん白紙となっていた[7]

591系で試験された内容のひとつには、曲線区間で遠心力により車体を傾斜させることにより、曲線を高速で通過した際の遠心力を緩和して乗り心地を損なわないようにする、「自然振子式車体傾斜」があった。591系での試験ではこの仕組み自体は実用化の目途が立っており、亜幹線のさらなる高速化に活用しようと試験線区を亜幹線(信越本線や鹿児島本線など)に変更して試験を続行していた。

これにより国鉄では自然振子式車体傾斜式車両の実用化に目途が立ち、中央西線・篠ノ井線の電化完成に際しては車体傾斜式特急形車両の量産車を新造投入して、同区間を3時間20分台で結ぶことが決定し、そのままでは亜幹線にはオーバースペックな591系の性能を、直流電化の亜幹線に最適化して開発されたものが本系列である[7][8][9]
構造

本項では、落成時の構造について述べる。
車体アルミニウム合金車体ながら、車体塗装は特急色とされた。

振子車両に必要とされる軽量化と低重心化を図った車体構造となっている。

車体は軽量化によるカーブ通過で発生する横圧(遠心力)の低減と乗り心地向上、線路などの地上設備の投資抑制の観点からアルミニウム合金製構体を採用した[1]。床下機器搭載による低重心を図るため[1]、国鉄の電車では初めて全長を14系客車などと同じ新基準の 21,300 mm としている[3]。振子作用による車両限界への抵触を防ぐため、183系に比べて車体下部の裾絞りが大きく、台枠上面幅は 2,600 mm となっている。側窓の傾斜角度も591系試作車と同じく3.5度(485系は2度)とされた[10]。モハ381形・モハ380形・サロ381形には側面中央部付近の窓下に非常口を設置したが、1981年(昭和56年)の「やくも」導入分では廃止された。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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