3420形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道省に在籍したタンク式蒸気機関車である。 元は、北九州鉄道が汽車製造で、1925年(大正14年)に3両(製造番号834 - 836)、1926年(大正15年)に1両(製造番号872)を製造した、車軸配置2-6-2(1C1)の単式2気筒の飽和式サイドタンク機関車で、1937年(昭和12年)の国有化にともない、鉄道省籍となったものである。これらは北九州鉄道では5形(5 - 8)と称したが、国有化後は3420形(3420 - 3423)に改番された。 本形式は、汽車製造が1904年(明治37年)に台湾総督府鉄道向けに製造した50形の系譜に連なる機関車で、同系車の総数は38両、そのうちの16両が内地私鉄向けに供給されている。 1925年製の5 - 7と1926年製の8では形態がわずかに異なり、5 - 7の蒸気ドームを安全弁とともに第2缶胴上に、その前後の第1缶胴と外火室上に砂箱を設けているのに対して、8は蒸気ドームが第1缶胴上に、砂箱が第2缶胴上に移り、外火室上には安全弁が蒸気ドームから分離されて設置されている。 国有化後は、筑肥線ならびにその周辺で使用され、1949年(昭和24年)に廃車となった。 汽車製造の標準設計機関車であり、他の私鉄に供給された同形車が存在する。その状況は、次のとおりである。
概要
同形機
1925年製
製造番号827 - 筑波鉄道 8 → 常総筑波鉄道 8(1952年廃車)
製造番号850 - 宇部鉄道 300 → 鉄道省 3455(1943年国有化) → 船木鉄道 105(1947年譲渡・1956年廃車)
1926年製
製造番号870 - 筑波鉄道 9 → 夕張鉄道 9(1929年譲渡) → 天塩鉄道 9(1942年譲渡・1967年廃車)
製造番号904 - 能登鉄道 10 → 北陸鉄道 C201(1956年廃車)
主要諸元
全長 : 9,929mm
全高 : 3,658mm
全幅 : 2,609mm
軌間 : 1,067mm
車軸配置 : 2-6-2(1C1)
動輪直径 : 1,219mm
弁装置 : ワルシャート式
シリンダー(直径×行程) : 381mm×559mm
ボイラー圧力 : 12.7kg/cm2
火格子面積 : 1.4m2
全伝熱面積 : 74.9m2
煙管蒸発伝熱面積 : 67.2m2
火室蒸発伝熱面積 : 7.7m2
小煙管(直径×長サ×数) : 44.5mm×2,896mm×166本
機関車運転整備重量 : 43.5t
機関車空車重量 : 33.2t
機関車動輪上重量(運転整備時) : 32.0t
機関車動輪軸重(第2・3動軸上) : 11.17t
水タンク容量 : 5.46m3
燃料積載量 : 2.38t
機関車性能
シリンダ引張力 : 7,190kg
ブレーキ装置 : 手ブレーキ、蒸気ブレーキ
参考文献
臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年、鉄道図書刊行会刊
臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成 1」1968年、誠文堂新光社刊
金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車 II」1985年、エリエイ出版部(プレス・アイゼンバーン)刊
汽車会社蒸気機関車製造史編集委員会「汽車会社蒸気機関車製造史」1972年、交友社刊
臼井茂信・小石川多助・中川浩一「私鉄車両めぐり[62] 常総筑波鉄道」鉄道ピクトリアル1964年2 - 7月号
表
話
編
歴
1 / 1形 ・ 2, 3 / 2形 (280) ・ 4 / 4形 <2850> ・ 5 - 8 / 5形 (3420) ・ 9 / 9形 (600) ・ 10 / 10形(3400)
1, 2, 3 <450> - 5, 6, 7 (3425) - 8, 9
テンダー機関車
1形 / 1, 2 - 100形 / 100, 101 (205) - 212 - 300形 / 300 (3455)
電気機関車(旧・宇部電気鉄道)
デキ1形 - デキ11形(国鉄ED25形 初代)
電車・気動車
表
話
編
歴
夕張鉄道の車両
鉄道事業は1974年に北海道炭礦汽船に譲渡、同社にて1975年に廃止。
蒸気機関車
1形 - 6形 - 7形 - 9形 - 11形 - 21形
ディーゼル機関車
キハ1形 - キハ200形 - キハ250形・キハ252形 - キハ300形
客車
コロ1→コトク1・コロハ1, 2→コハ1, 2・コハ10, 11, 12 - ハ20形・ハ60形 - ナハ50形・ホハフ10形・ナハニフ100形・ナハニフ150形・ヤ1形