国鉄117系電車
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国鉄117系電車
登場時塗色の117系(2009年8月 蓬莱駅
基本情報
運用者日本国有鉄道
東海旅客鉄道
西日本旅客鉄道
製造所川崎重工業
近畿車輛
日本車輌製造
東急車輛製造(100番台のみ)
製造年1979年 - 1986年
製造数216両
運用開始京阪神地区:1980年1月22日[1]
中京地区:1982年3月10日[1]
運用終了2013年3月15日(JR東海)
2023年7月21日(JR西日本・定期運用)
廃車0番代:2023年9月
100番代:2023年9月
200番代:2013年
300番代:2023年12月
投入先東海道本線山陽本線東海道本線名古屋地区(新製当初)[1]
主要諸元
編成4両編成(2M2T
6両編成(4M2T)
8両編成(6M2T)
軌間1,067 mm
電気方式直流 1,500 V(架空電車線方式
最高運転速度110 km/h
(西日本車は115 km/h)
設計最高速度120 km/h
起動加速度1.8 km/h/s
減速度(常用)3.5 km/h/s
減速度(非常)5.0 km/h/s
車両定員136(座席64)名(中間車)
自重最小 31.3 t(トイレなし先頭車)
最大 43.7 t(中間電動車)
全長20,000 mm
全幅2,946 mm
全高4,066 mm
車体普通鋼
台車ウイングばね式インダイレクトマウント空気ばね台車
DT32E・TR69H(0番台)
円錐積層ゴム式ボルスタレス台車
DT50C・TR235B(100・200番台)
主電動機直巻整流子電動機 MT54D
主電動機出力120 kW / 基
駆動方式中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比1:4.82
制御方式抵抗制御・直並列組合せ・弱め界磁制御
制御装置CS43A・電動カム軸接触器式
制動装置電気ブレーキ併用電磁直通ブレーキ
抑速ブレーキ
手ブレーキ
保安装置ATS-SW(JR西日本車)
ATS-P
ATS-STATS-PT(JR東海車)
第21回(1981年ローレル賞受賞車両
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117系電車(117けいでんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が製造した直流近郊形電車

1979年(昭和54年)から1986年(昭和61年)にかけて216両が製造され、国鉄分割民営化に伴い東海旅客鉄道(JR東海)に72両、西日本旅客鉄道(JR西日本)に144両がそれぞれ承継された。
概要

京阪神地区の東海道本線山陽本線で運行している新快速には、1972年(昭和47年)からそれまでの113系に代えて、山陽新幹線岡山駅延伸開業に伴い余剰となった急行形車両153系が使用されていた[2]。元来は長距離の急行用車両であったため冷房装置を搭載し、乗り心地の良い空気ばね台車で、洗面所やトイレ付きで座席は比較的ゆったりしていたとはいえ、デッキ付きの乗降口を両端に有する構造は快適ではあってもラッシュ時の輸送に難点があった。また、製造初年が1958年(昭和33年)と古く、ボックスシート(固定クロスシート)であり、京阪間を運行する阪急電鉄京阪電気鉄道転換クロスシートを備えた特急車両(阪急6300系京阪初代3000系)に比べると見劣りしていた。

117系はこれらの課題点を踏まえ、京阪神地区の輸送事情に適合する車両として設計された。客室設備は1975年(昭和50年)に北九州地区に投入されたキハ66・67系を基本とし、急行形を上回る設備水準の車両として構想され、それまで一貫して車両の標準化を推進してきた国鉄が地域の事情に応じて設計、製造した嚆矢となった。

本系列による新快速には153系時代の「ブルーライナー」に対して、「シティライナー」という新たな愛称が与えられた[3]。さらに、1982年(昭和57年)には東海道本線名古屋地区の快速に使用されていた153系の置換え用として、「東海ライナー」という愛称で[4]投入された。
構造

ここでは0番台製造当時の構造について述べる。
車体

全長20 mで、各種の腐食対策が施された鋼製車体に片側2か所の半自動対応[注 1]の両開扉を設置する。湖西線での運用を考慮して、耐寒・耐雪仕様(関西地区投入分)とされた[2]

屋根部分は張り屋根となっており、車両妻面上部には押え用金具を確認することができる[5]。車体番号は、車両側面にステンレス製の切り抜き文字を張り付けている[5]

外観から見た側面の構造は先行するキハ66・67系に類似しており、戸袋部を除いて2段上昇式の窓を2セットずつ1組としたユニット窓が並ぶ。このため、窓配置は制御車がd1(1)D(1)2222(1)D(1)2(d:乗務員扉、D:客用扉、(1):戸袋窓)、中間電動車が2(1)D(1)2222(1)D(1)2という独特の形態[注 2]である(下図参照)。

客用扉窓および戸袋窓に設置するガラスの支持方式を、従来のHゴム式から押え金式に変更した[2]

前面形状も独自のもので、157系に類似する「鼻筋」の通った流線形の構体に高運転台、左右各2灯を腰部に備えた前照灯、中央窓下に設けられた列車種別表示器とタイフォン(警笛)と従来にないデザイン[注 3]となっている。



クハ117形モハ117形モハ116形モハ117形モハ116形クハ116形

登場時の6両編成側面図。パンタグラフが一般的な電動車ユニット2両の中央寄りではなく、一方の外側寄りに搭載されていることが特徴。


JR東海所属0番台車の車内

塗装はクリーム1号を基本とし、ぶどう色2号の細帯が窓下に入る構成である。この2色塗装は新快速のルーツである急行電車[注 4]に使用されていた52系や、戦後の1950年(昭和25年)に製造された80系の塗装に類似した、大阪鉄道管理局伝統のカラースキームに則った塗色が選ばれている。従来、国鉄の近郊形電車は電気方式が同じであれば同一の塗装を施すルールとなっていたが、本系列ではそのルールを打破して系列専用色が採用され、以後、105系などで地域固有色が採用される先駆けとなった[注 5]冷房装置の両脇に設置された新鮮外気導入装置

冷房装置は国鉄標準のAU75B集中式冷房装置冷凍能力42,000 kcal/h[6]を屋根中央に搭載するが、その前後にキハ183系781系などと同様に新鮮外気導入装置を設置している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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