国鉄105系電車
[Wikipedia|▼Menu]

105系電車
(共通事項)
可部線の105系。手前2両が新造車、奥2両が改造車。
基本情報
運用者日本国有鉄道
東日本旅客鉄道
西日本旅客鉄道
導入年1981年 - 1990年
総数新造車 60両、改造車 66両
主要諸元
軌間1,067mm(狭軌
電気方式直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度100 km/h
設計最高速度100 km/h
起動加速度2.0km/h/s
減速度(常用)3.5 km/h/s
減速度(非常)5.0 km/h/s
車両定員本文参照
自重本文参照
全長20,000 mm
全幅2,800 mm
(最大幅2,870 mm)
全高3,674 mm
(集電装置折りたたみ時:新造車4,200 mm、改造車4,140 mm)
車体普通鋼
主電動機直流直巻電動機
MT55A形(新造車)・MT55形(改造車)
主電動機出力110 kW
駆動方式中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比91:15 (6.07)
制御方式抵抗制御(永久直列)・弱め界磁
制御装置CS51形電動カム軸式主制御器
制動装置発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ
テンプレートを表示

105系電車(105けいでんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が1981年昭和56年)から製造した直流通勤形電車である。国鉄分割民営化後は東日本旅客鉄道(JR東日本)と西日本旅客鉄道(JR西日本)に承継された。
概要

地方の電化ローカル線に残存していた、戦前から1950年代に製造された吊り掛け駆動方式40系72系などのいわゆる「旧形国電」を淘汰するべく投入された形式である。

旧形国電の置き換えについては、大都市圏の線区に最新式の車両を投入することで捻出される経年の新性能電車を転用および新製増備で対処する構想もあったが、利用者の少ない時間帯に2両編成の列車を運行している路線では、原則として長編成を組む大都市圏での運用を前提に電動車2両で1つの機構として完成するユニット電動車方式(MM'方式)を採用している101系以来の新性能電車では、2両編成を組んだ場合は2両とも電動車とならざるを得ない[注 1]ことから、ローカル線では過剰性能の上に不経済であり、変電所容量などに問題が出る可能性もあった。

そこで、電動車1両に駆動機器を完結させた旧形国電と同様にMT比1対1の2両編成を組むことができるように、103系をベースに電動車1両に走行機器を集約した構造を持つ車両として開発されたのが105系である[1]。これが「1M方式」であり、後年同様の思想を持って誕生した車両(119系)を含めて「1M国電」や「新性能1M国電」という通称で呼ぶこともある。
構造

国鉄における1M方式の新性能電車としてはすでにクモユ141形143系といった事業用車両での実績があったが、これらは駅間距離の長い線区を113系115系と併結して高速走行するのに適した性能を有していた[2]。しかし本系列投入線区は駅間距離が短く最高速度も低いため、性能面ではむしろ大都市の通勤電車の主力である103系に相当するものが求められた[3]

このため新設計にあたっては、簡素化のうえ経済性を重視したシステムとすること、新設計品である主制御器主抵抗器以外は極力標準品を採用すること、将来の投入が予想される線区にも配慮した構造を採用することに重点が置かれた[4]

後者の具体的な内容は、抑速ブレーキ耐寒耐雪設備を容易に追加・変更できる点である[5][注 2]
主要機器

電動車1両で走行可能なシステムを採用し、電動車1両あたり付随車1両を連結する構成で経済性を確保している。運転に必要な機器類はすべて電動車に搭載しているため、1両で入換等にも使用可能である。基本は1M1Tであるが、25パーミルの勾配までは1M2Tでも起動可能であり[3]、旧形電車の1M1Tに相当する性能が発揮できる[4][注 3]

台車主電動機には、当時の国鉄の標準的通勤形電車であった103系と共通のDT33形台車とMT55形主電動機を装備した[6]。1:6.07 (15:91)の歯数比発電ブレーキ付、応荷重装置空転検知装置付である点も103系と同様である[4]

回路については、簡素化と小型化のためMT55形4台で永久直列回路を組み[注 4]直並列組合わせ制御は行わない[注 5]主制御器は新たに開発された1M方式用のCS51形[注 6]で、103系程には高加速性能を要さないと判断し、制御段数もより少なく設計されている[注 7]。また、編成中の主要機器や補機類の数が少ないことから、走行時の冗長性の確保は重視されており、主電動機は台車単位で開放可能とし、非常時には2個モーターのみでの走行も可能である[4]ほか、電動発電機(MG)停止時にも最寄り駅まで走行可能なように、制御に必要な電源は常に蓄電池から供給されている[4]。変電所容量の小さい線区を走行する際は、運転台の切り替えスイッチで限流値を低く設定できるようになっている[4]

主抵抗器はMR147形で、電動送風機を廃した自然冷却方式が採用された[7]
新造車

105系 新造車
クモハ105形0番台
(2006年3月26日 宇部新川駅)
基本情報
運用者日本国有鉄道
西日本旅客鉄道
製造所東急車輛製造
近畿車輛
日立製作所
製造年1981年
製造数60両
運用開始1981年3月19日(宇部・小野田線)[8]
1981年2月11日(福塩線)[9]
主要諸元
編成2両編成(過去3両・4両編成)
車両定員クモハ105形・サハ104形→クハ104形改造車:138人(座席56人)
モハ105形:148人(座席60人)
クハ104形:142人(座席58人)
サハ105形:152人(座席62人)
自重クモハ105形:42.5 t、モハ105形:40.5 t
クハ104形:39.8 t、サハ105形:27.8 t[10]
台車軸箱守(ペデスタル)方式(ウイングバネ)台車
DT33・TR212
保安装置ATS-SW
備考交友社「鉄道ファン」1981年4月号新車ガイド2「1Mになって新登場105系」pp.43 - 53参照。
テンプレートを表示
クモハ105-7 福山駅クハ104-6 福山駅

1981年(昭和56年)初頭に福塩線および宇部線小野田線の旧形電車の置き換え用に製造されたグループである。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:169 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef