国鉄客車の車両形式
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国鉄客車の車両形式(こくてつきゃくしゃのしゃりょうけいしき)では、日本国有鉄道(国鉄)及び国鉄分割民営化により国鉄から車両を引き継いだJR各社が保有する客車形式称号の付与方法について記述する。
JR各社に現存する客車で使用されている体系

JR各社に現存する客車の形式称号の付け方は、国鉄で1953年昭和28年)に制定された規程を踏襲しているが、完全に遵守している訳ではない。

重量記号用途 所属
会社形式 _固有番号
(車番)
例) オハフ 50 16
例) スロネE27-1

この内、○は車両の重量を表す記号、●は用途を表す記号、Aは形式を表す番号、Xは同一形式内の製造番号を表す。なお、_は空白(E26系はハイフン)を表す。
重量記号

換算両数も参照

記号重量中央値換算両数
(なし)2軸車--
コ22.5t未満-=<2.0
ホ22.5t以上 27.5t未満25t2.5
ナ27.5t以上 32.5t未満30t3.0
オ32.5t以上 37.5t未満35t3.5
ス37.5t以上 42.5t未満40t[注 1]4.0
マ42.5t以上 47.5t未満45t4.5
カ47.5t以上-5.0=<

重量記号が付されるのは、ボギー客車のみである。二軸車(およびかつての三軸車)には重量記号は付されないため、記号は用途記号のみで標記される。[注 2][注 3]

 ハハフロ
30オハ30オハフ30オロ30
31オハ31オハフ31オロ31
32スハ32スハフ32スロ32
33スハ33オハフ33スロ33
34オハ34オハフ34スロ34
35オハ35スハフ35オロ35
36スハ36オハフ36オロ36

客車は機関車に牽引されることから、運用する際には常に重量を配慮する必要がある。従ってその形式記号の最初に重量記号が含まれている。用途記号が同じ同一車種(ロネ・ハネ・ハ・ニ等、またハとハフも区別する)については落成した順に形式番号を付けたため、重量記号のみが異なる形式番号(例えば、オハ35形に対するスハ35形)は存在しないのが原則であった[注 4]。例としてハとハフについて、2軸ボギー車の最初の30 - 36の形式[注 5]を表に示す。12系登場以後、形式番号の区分の仕方が変わったため国鉄末期時点ではこの原則が大幅に崩れ、形式番号が同じで重量記号のみが異なる車両が大量に出現した[注 6][注 7][注 8]

ここでの「自重」とは、客車自体の重量に、定員分の乗客又は規定積載量の荷物・郵便物の重量を加えたものをいう。従って、荷物車等には積載量を減らして重量クラスを落とす措置をしたものも存在する。(60系客車のスハニ→オハニ6110系客車のオユ12/スユ13等が該当)

以下に国鉄およびJRグループでの客車重量記号を示す(多くは私鉄でも準用された)。重量記号には各クラス毎に語源がある。
記号なし

2軸の四輪客車と3軸の六輪客車。単に「ハ499」「ロ4820」(いずれも実在車号)と等級記号だけで表記する。大半は明治から大正初期製造の木造車だが、例外的に改造車などでは昭和4年製造の気動車キハニ5000形が戦中にエンジンを降ろしたハニ5000形のように鋼製車体の車両も存在していたほか、JR時代にも2001年に至ってワム80000形貨車改造のハテ8000形 (8001) がJR北海道に登場した(2013年廃車)。

これ以降のクラスはボギー車となる。
コ級

コ=22.5t未満。現存しない。「小形(こがた)」の略とされる。 明治時代のボギー客車は、殆どがホ級であったが、北海道炭礦鉄道の客車は、台枠台車の一部も木製であり、所属したすべての客車がコ級の小型ボギー車であった。JR化後も1両だけ車籍を有していたのが新幹線車両輸送限界測定用の試験車、コヤ90 1(1961年オロ31 104の車体を撤去して測定用の鉄骨を設置。1990年3月1日廃車)である。
ホ級

ホ=22.5t以上27.5t未満。現存しない。「ボギー車→ボ→ホ」が語源という説と、「本形→ホンガタ→ホ」が語源という説がある。実際には「コ」級もボギー車である。明治末期 - 大正初期の三等用木造2軸ボギー客車である「中形基本客車」(ホハ12000形等)が代表的な例。

ホハ12000形(ホハ7100)

ナ級

ナ=27.5t以上32.5t未満。「中形→ナカガタ→ナ」、もしくは「並形→ナミガタ→ナ」が語源とされる。2軸ボギー車と3軸ボギー車とがあった時代に中形とされた2軸ボギー車が当初該当したと言われるが、のちには軽量車両の記号となった。

大正中期の木造2軸ボギー客車である「大形基本客車」(ナハ22000形等)や戦後の軽量客車ナハ10系、特急用の20系が代表例。

但し20系は1970年代以降の改装で実際の車重が「オ」級に増大してしまったが、表向きの形式である「ナ」は変えず、識別符号(三角印 ”△” )を付けるだけでそのまま済ませた。

ナ級はJR化後もナハフ11形(2021・2022)が車籍を有して残存していたが、1995年(平成7年)に廃車となり一度消滅した。しかし4年後の1999年(平成11年)、JR北海道ナハ29000形(2018年廃車)が改造により登場したことにより復活し、現在はJR西日本ナハ35 4001(2017年製造)のみが該当する。

ナハ10系(ナハフ11)


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