国鉄キハ10系気動車
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国鉄キハ10系気動車
キハ10 18(加悦SL広場の保存車)
基本情報
運用者日本国有鉄道
製造所日本車輌製造川崎車輛日立製作所汽車製造新潟鐵工所近畿車輛帝國車輛工業東急車輛製造富士重工業輸送機工業飯野重工業
製造年1953年 - 1957年
製造数728両
廃車1984年
主要諸元
軌間1,067 mm
最高速度95 km/h
全長20,000 mm
全幅2,738 mm
全高3,710 mm
床面高さ1,250 mm
台車DT19、TR49
動力伝達方式液体式
機関DMH17C
機関出力180 PS
制動装置DA1A自動空気ブレーキ
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国鉄キハ10系気動車(こくてつキハ10けいきどうしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が1953年昭和28年)に開発した一般用気動車のグループである[1][注 1]1957年昭和32年)までに728両が製造された。

「キハ10系」という呼称は国鉄制式の系列呼称ではなく、同一設計思想に基づいて製造され、後に国鉄によって形式称号の改正が実施された際に10番台の形式名を付与された一連の形式群を趣味的・便宜的に総称したものである。キハ17形が量産グループ最多両数形式であったことから、キハ17系とも呼ばれることがある[2][注 2]

10系気動車に含まれる車両は、広義には、1952年昭和27年)から1953年(昭和28年)にかけ試作された電気式気動車キハ4400044100・44200形の改造車、1953年(昭和28年)に試作された液体式気動車キハ44500形/キハ15形を含む狭幅車体の気動車グループ全体が包括されるが、ここでは、説明の都合上、次表に掲げた新造形式およびその改造車を含む狭義のキハ10系について取り扱うこととする。キハ44000系およびキハ44500/キハ15形、そしてその改造車群については当該各記事を参照されたい。
概要

第二次世界大戦後の国鉄ではキハ41500形キハ42500形などのディーゼル動車の運転が開始されていたが、これらは単車運転が前提で総括制御が不可能な機械式気動車であり、輸送量の多い線区で使用するには総括制御対応の気動車が必要とされた[3]。1952年(昭和27年)から1953年(昭和28年)にかけて電気式のキハ4400044100・44200形が、1953年(昭和28年)には液体式のキハ44500形がそれぞれ試作された結果、重量や価格、動力伝達効率などの面から液体式が有利であるとの結論が出された[4]

これら試作車の試験結果を反映した液体式ディーゼル動車の量産車として、1953年(昭和28年)10月に登場したのがキハ45000形である[3]。キハ45000形は前面貫通形、片側2扉、片運転台のエンジン1基搭載車であり、運転台の数や便所の有無、エンジン搭載数などによる派生形式と合わせ、1957年(昭和32年)までに9形式728両が製造され、全国各地に投入された[3]。趣味誌では前述のキハ44000形キハ44100・44200形やキハ15形など、試作車改造グループから転用された郵便荷物などの合造車をも併せ、車体幅の狭い初期の一般形気動車を広義(後述)に「10台形式気動車」と呼び始めたことなどから、1980年代末を境に10系の呼称が広まり、定着していった。

国鉄の気動車技術者であった石井幸孝JR九州初代社長)は、「当時の気動車には系列の概念もなく、本来は『キハ17形』以外の何物でもないのである。」と断った上で、「キハ17形のグループについて最も両数の多い形式を代表して『キハ17系』と呼称してよいだろう。」としつつも、「『キハ10系』と呼ぶこともある。」と記している[2]。また、本グループが製造されていた時点での気動車は、2・3等合造車や2エンジン車など、一部に準急列車での使用を考慮した形式はあるものの、基本的には普通列車用として製造されており、「一般形」などの分類が登場するのは後年のことである[2]

国鉄の量産形気動車としては初めて液体式変速機を実用化し、複数車両の総括制御を容易としたことで、日本におけるその後の気動車普及の途を拓いた。一般形気動車の現代に至る運用形態の基本は、本系列を以って確立されたといえる。また、車両の電気系統・編成回路・動力機器の構成も、多くが以降の一般形内燃動車両開発の基本として受け継がれたことから、日本の鉄道技術史上における重要な系列であるといえる。

生産当初は当時の日本国内の主要鉄道車両メーカーのほとんどが参画したが、以後4年間の増備期間を通じて生産を受注したのは戦前以来の中堅メーカーである新潟鐵工所帝国車輌と、戦後後発メーカーである東急車輌製造の計3社で、これらのメーカーは中途増備から参画した富士重工業(現・SUBARU)と共に1960年代まで国鉄気動車の増備に多く携わった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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