国語辞典
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この項目では、主に日本語辞典について説明しています。中華民国教育部の中国語の辞典については「教育部国語辞典」をご覧ください。
明解国語辞典」の表紙

国語辞典(こくごじてん)は、その国の言語国語)を対象とした一言語辞典。漢字文化圏日本中華民国(中華人民共和国成立前の中国およびそれ以降の台湾)、大韓民国にはこの名の辞典が見られる。日本では通常日本語のものを指し、単語連語などを規則的に(主に五十音順に従って)排列し、説明した書物をいう[1][2]。見出しに立てた言葉仮名遣いアクセント漢字表記、品詞、使用分野、意味、用法、さらには類義語対義語、用例、文献上の初出例などの情報が示される。国語辞書・日本語辞典・日本語辞書ともいう[1]

現在は、約50万語を収める最大規模の『日本国語大辞典』(小学館)をはじめ、中型辞典(10万語 - 20万語規模)や、小型辞典(6万語 - 10万語規模)が編纂され、特色を競っている。電子辞書ウェブ辞書、モバイルアプリケーションによる辞書も利用されている。これらデジタル版の内容は大多数が書籍版に基づいており、書籍版のように全体を一目で見渡せる一覧性には乏しいものの、コンピュータによる多様な検索を可能とし、携帯性に優れるなどの利点がある[3]
構成

国語辞典に限ったことではないが、辞書は「誰が、どのような時に、どのような目的で使用するか」によって性格が異なる[4]。例えば使用者の職業年齢、日本語が母語か否かなどによって要請は様々であり、図書館で調べるときや、学校家庭で学習するときなど、使用する場面も多様である。

以下においては一般的な国語辞典の条件について述べることにする。
見出し

一般的に国語辞典の見出しは「こくご【国語】」「ディクショナリー【dictionary】」のように「仮名見出し【表記欄】」の形で書かれる。それぞれの詳細は以下の通り。
仮名見出し


活字はアンチック体やゴシック体といった太めのものが用いられる[5]

仮名遣いは「現代仮名遣い」が用いられる[6]。敗戦前は歴史的仮名遣いが用いられたが、「表音式」と呼ばれる表記法を採用したものが現れ、1946年の現代かなづかい実施後も多く見られた[7]。表音式による仮名見出しは、発音が同じ語でも書き分ける場合が多い歴史的仮名遣いの難しさに対処する方式であり、仮名遣いを調べるための手段でもあったが、統一されたものではない[7]。現代かなづかい以前の1943年に刊行された『明解国語辞典』初版では、長音を表すのに「あ」「い」「う」「え」「お」を用い(例・てえ-こお【抵抗】テイカウ)、「ぢ」「づ」は「じ」「づ」に統一した。『広辞苑』第4版が仮名見出しを全面的に現代仮名遣いとしたことで、以降新たに刊行された主要な辞典から表音式見出しは姿を消した。『新明解国語辞典』は2020年の第8版でも「てい こ.mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}う(オ)【抵抗】」「こんにちは(ワ)」などの見出しに「表音式表記」としてカタカナ小字を添える[8]

和語漢語には平仮名を用いる(例・ごい【語彙】)。和語を平仮名、漢語を片仮名にするものもある(『新潮国語辞典』『新潮現代国語辞典』)。外来語には片仮名を用い、外来語の長音には長音符「ー」を用いる(例・ボキャブラリー【vocabulary】)。活用のある語は原則として終止形を見出し語とする。

ハイフンや中黒といった約物(記号)で語構成や語幹・活用語尾の区切りを示すものが多い。

表記欄
すみ付き括弧(【 】)または角括弧([ ])でくくるものが多い[9]。現代の辞書に使用される漢字は常用漢字または人名用漢字による字体整理に従い、新字体を基本とする。送り仮名は「送り仮名の付け方」を基準として[10]、「許容」により増減が認められる仮名を丸括弧でくくって示すことがある(例・浮(か)ぶ〈本則は「浮かぶ」〉、行(な)う〈本則は「行う」〉)。多くの国語辞典では、漢字が常用漢字表にある字種(表内字)かそうでない字種(表外字)か、表内字の読みが常用漢字表に採用されたもの(表内音訓)かそうでない(表外音訓)か、熟字訓である場合に常用漢字表の付表に示されているかどうかを約物で示す。教育漢字または常用漢字に含まれる漢字の場合、書体を変えて教科書体で示すものもある。
外来語の原語・原綴
表記欄に外来語の原語・原綴を掲げる国語辞典もある。その場合、英語以外の語については言語名が注記されることも多い。現代中国語などの場合には、そのまま原語の漢字表記を置くこともある。ラテン文字・漢字以外で表記される語は、通例ラテン文字に翻字されたものが原語として示される。なお原語から著しく乖離している場合や和製語の場合には別の括弧で注記することが多い。
歴史的仮名遣い
歴史的仮名遣いは利用者の目的の範囲内で記載される[注 1]。歴史的仮名遣いが仮名見出しと異なる場合、「仮名見出しと表記欄の間に示すもの」と「表記欄の後に示すもの」とがあり、多くは割注で示す[11]。漢語の字音仮名遣いを示すものと示さないものとがある。表音式見出しを採用した辞典では、歴史的仮名遣いと同様に現代かなづかいもこうした方法で示した。

語義がほぼ同じである場合は、見出しの表記が少々異なる語も一つの項にまとめられる。語義が異なる場合には別項とする(例・じてん【字典】、じてん【辞典】、じてん【事典】)。この処理は辞典や語によって異なることがある。『岩波国語辞典』は「じてん@【辞典】……A【字典】……B【事典】……」と「じてん」の項目の語義区分で分ける処理をする。『日本国語大辞典』の「だい-じてん【大辞典・大字典】」の項目は両表記をまとめ、一般名詞、栄田猛猪による漢和辞典『大字典』、平凡社の国語辞典『大辞典』を併せて扱う。
排列

近現代の多くの国語辞典は、項目を五十音順に排列する[12]。明治より前の字引の類いはいろは順であり、近代にもいろは順のものがあるほか、ローマ字排列のものもある[13]。個々の辞典によって細部は異なるが基本的なルールはだいたい同じである。他の事典類では長音記号を無視したような順で並べるものが多いが、国語辞典では長音記号の発音に該当する母音があるものとするものが多い、といった違いがある。

清音濁音半濁音については、そのまま清音、濁音、半濁音の順となる(例・はり【玻璃】、ばり【罵詈】、パリ【Paris】)。

直音促音拗音については国語辞典により異なる。

直音、促音・拗音の順とするもの(例・めつき【目付き】、めっき【鍍金】の順)[注 2]

促音・拗音、直音の順とするもの(例・めっき【鍍金】、めつき【目付き】の順)[注 3]


長音についても国語辞典により異なる。

直上のカタカナの母音に相当する音が続いているものとみて扱うもの(例・アート【art】を「アアト」の位置に配置)[注 3]

長音符を見出し語の配列には関係ないものとして扱うもの(例・アート【art】を「アト」の位置に配置)[注 2]


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