国家法人説(こっかほうじんせつ)とは、国家を社団法人とし、統治権は国家に帰属するものと考える学説のことである。19世紀のドイツにおいて、カジノ派に所属したen:Wilhelm Eduard Albrecht
、北ドイツ連邦文化大臣を務めたen:Carl Friedrich von Gerber、またゲオルグ・イェリネックなどによって説かれ、日本でも天皇機関説の基礎となった。この説においては、統治権という意味での主権は、君主ではなく国家に属し、君主は法人である国家の代表機関としてこれを行使することとなる。したがって、国政の在り方を最終的に決定する権限という意味での主権が君主に属することを否定するものではない。
国家法人説自体は、ブルジョワジーの担い手として登場した立憲君主制の観念である。日本においては、戦前、美濃部達吉の天皇機関説として知られた。それは、大日本帝国憲法の君権主義的側面を弱体化させ、立憲的側面を強化する事で民衆の意思による政治を可能な限り実現させるための論拠となった。
出典
阿部照哉『新憲法教室』法律文化社(2005年)ISBN 4-589-02009-2
長野晃「機関説批判と国家学の解体― ゲオルク・イェリネックとカール・シュミット―」法学政治学論究 : 法律・政治・社会 (107), 67-99, 2015 慶應義塾大学
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主権
国家
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