団地
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この項目では、建築物について説明しています。映画については「団地 (映画)」をご覧ください。
団地の様子(東京・豊島5丁目団地)1960年代までは低層の団地が建てられていた

団地(だんち)は、生活または産業などに必要とされる各種インフラおよび物流の効率化を図るために、住宅もしくは目的・用途が近似する産業などを集中させた一団の区画もしくは地域、またはそこに立地している建物および建造物を指す。

「団地」とは本来は工業団地や流通団地のように「単一機能が集積する土地」をいう[1]。一般的には中高層の賃貸アパートを指すことが多いが、地理学上は住宅団地には戸建ての建売住宅や住宅用の土地分譲によって一定の戸数が集合しているものも含めるべきと考えられている[1]
住宅団地

住宅団地は単に家屋が密集している場所を指すのではなく、生活関連の諸施設が完備され管理されているものをいう[2]

団地の土地性には、地域構造、地形・気象、自然および歴史的要素などがある[3]

地域構造 - 団地建設は周辺地域に大きな影響を及ぼし、団地建設の際には都市圏において占める立地条件を考慮する必要がある[3]

地形・気象 - 団地用地の平面形状、高低差、地質、気象条件などの直接的要因に合わせる必要があり、防災安全性、快適性、景観、経済性、団地外への影響などを考慮すると様々な計画があり得る[3]

自然および歴史的要素 - 団地用地が山林や農地の場合には保存緑地などの自然要素として残されることがある[3]。歴史的な民俗跡や工場跡地の一部が保全されている場合もある[3]

また団地の構成要素にはインフラ造成、グルーピング・オープンスペース、住棟配置デザイン、景観・シンボルなどがある[3]

丘陵地を宅地化する場合には、大造成平坦宅地化、なだらか造成、自然地形利用の3タイプがある[3]

団地道路の配置には、外周サービス道路型、団地内ループ道路型、放射道路型がある[3]

外周サービス道路型 - 外周道路により団地内の歩車分離は容易になるが団地外との関係が遮断される[3]

団地内ループ道路型

放射道路型 - 団地内に放射状に道路を設置するため周辺地区と一体化しやすいが団地内は通過交通で分断されるおそれがある[3]

住宅団地の造成については「住宅造成地」を参照
欧州の住宅団地
イギリス

第一次世界大戦の勃発後、イギリスでは戦争長期化に伴って住宅問題が発生し、500万の塹壕の兵士と300万の軍需労働者の貢献に報いる観点から良質の住宅供給が戦後再建の柱と考えられるようになった[4]。住宅検討委員会の審議の結果、1918年の『チューダー・ウォルターズ報告』では1エーカー当たり12戸の低密度の間口の広い庭付き住宅の建設などが提言された[4]

第一次世界大戦を契機とする公的介入政策の結果、『チューダー・ウォルターズ報告』に沿った公共賃貸住宅の大量供給が実現し、田園郊外型の住宅団地が採用されたことで過密の中心市街地から都市周縁への住民の大規模な分散が生じた[4]。ロンドン州議会が大戦間期に供給した82,000戸のうち、61,000戸は主として15の比較的小規模な郊外型住宅団地のcottageestatesに建設された[4]。その例外がロンドン州の郊外に開発されたベコントリー団地であり、戸数25,039戸、収容人口112,570人で当時としては世界最大の住宅団地であった[4]。一方で住宅供給には限界もあり、高水準の住宅だったため相対的に高家賃となり、入居者の階層が限定され、さらに1930年代にスラムクリアランスが本格化したことで低所得層の中には生活費の高騰により貧困に陥ったり旧市街に戻る者もいた[4]

第二次世界大戦後、1956年の法改正でイギリスの公営住宅政策は、一般的ニーズへの対応から大都市のスラムクリアランス事業に重点を移し、住宅の形態もハウス系の公営住宅は大幅に減少し、中高層住棟が大幅に増加した[5]。しかし、1950年代後半以降に建設された公営住宅、特にスラムクリアランス事業と大規模公営住宅団地の建設に対して、無神経なプランニング、プアなデザイン、非人間的な立ち退きなど住民等への配慮を欠くとの指摘がなされた[5]

1980年代初頭になると第二次世界大戦後の復興期に建設された住宅の老朽化が進み、さらに団地の社会的環境の荒廃が重要な政策課題として浮上した[5]。イギリス政府は1980年代の初めから公営住宅団地の再生事業を開始し、コミュニティ参加と自立自助、公営住宅の民営化を基本としたが、これらの物的環境の改善対策と同時に、雇用対策、職業訓練、青少年教育、犯罪防止など多面的な対策を実施した[5]

1985年には地理学者アリス・コールマンが研究レポート『ユートピアへの審判?計画住宅地のビジョンと現実』を発表すると、首相のマーガレット・サッチャーの支持を受け、コールマンの指導の下でデザイン改善実験プロジェクトDICE(Design Improvement Controlled Experiment)が行われた[5]
フィンランド

フィンランドでは巨大な規模の団地はみられず、そのため団地の更新も全面的な建て替えではなく部分的改修によることが多い[6]。ヘルシンキ市では1990年代末に1960年代に建設された団地の更新が必要となり、都市計画局を中心に郊外住宅団地の調査や目録作成、報告書の作成が行われている[6]
スウェーデン

スウェーデンでは多くのヨーロッパ諸国とは異なり、第二次世界大戦での直接的な被害を受けなかったが、1960年代から70年代初頭にかけての社会民主労働党政権下で10年間で100万戸を建設する「ミリオン・ホームズ・プロジェクト」が実施された[6]


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