回転レストラン(かいてんレストラン)とは、フロアがゆっくり回転し、窓から全周360度の景色の移り変わりを楽しみながら食事できるレストランである[1]。遠方までのパノラマビューを見晴らせる、ホテルやタワーの高層部および山頂展望台[2]。
入店するには建物中央部の階段、エレベーターなどでレストランのある階まで行き、建物中央部の床と接してゆっくり回転している床へ足を移す。日本ではピークの1980年代には30 - 50か所に達したが、建設やメンテナンスにはそのための技術・部品が必要で費用もかかることから、回転を停止したり休業・閉業する施設も多く、数を減らしている[1]。 古代では、64年にローマ帝国の皇帝ネロが建設した宮殿ドムス・アウレアには、水力によって回転する食堂があり、その天井からは香水と薔薇の花弁が降り注ぐ仕掛けがあったとされる。
歴史
1964年、隣国オーストリアの首都ウィーンに建てられた展望塔「ドナウツルム」(Donauturm)には2階建ての回転式レストランが設けられたが、これは眺望に障害を与えないよう、外壁(ファサード)のガラス部分も回転するものであった。アメリカ合衆国での最初の回転レストランは、1961年にハワイ州ホノルルのアラモアナショッピングセンターのオフィス棟頂上部に設けられた「ラ・ロンド」とされる。これを設計したシアトルの建築家であったジョン・グラハムは、シアトルの展望塔「スペースニードル」にも回転レストランを設けた。
60年代から70年代にかけて現代的なレストランとして人気を博した回転レストランも、次第に過去のものとなっていった。修理には相当の金額がかかるため、回転営業をやめてしまったところも多い[3]。アメリカでは、1996年に開業したラスベガスのカジノホテル「ストラトスフィア」以後、新たな回転レストランはオープンしていない[3]。 回転レストランは、中央にある円形のコアの周りを、ドーナツ型のプラットフォームが回転するという仕組みになっている[3]。中央のコアにはエレベーター、階段、キッチンなどが設けられている[3]。 レストランの床は薄い鉄製のプラットフォームになっており、プラットフォームの下はコンクリートの構造体になっている。コンクリートの床の上に上向きの車輪が多数設置され、プラットフォームは車輪の上に乗っている。車輪がゆっくりと回って下からプラットフォームを回転させる[3]。プラットフォームの下にゴム製タイヤがついている場合もある[3]。回転速度はだいたい30分から1時間ほどの間になる[3]。 日本における回転展望台の元祖は1957年に六甲山上で開業した「回る十国展望台」(兵庫県神戸市)で、その後、レストランを主体とする回転展望台が観光地やホテル、百貨店などで増えた[1][4]。1980年代の約50店舗をピークに、眺望の変化やメンテナンス部品確保の困難さから、現役施設は減少傾向にある[4]。2022年時点で「スカイレストラン ロンド」(北海道札幌市)と、回転レストランを持つリーガロイヤルホテル京都(京都市)が連携して、「回転レストランの日」を9月6日(「くるくる」の語呂合わせ)を日本記念日協会に登録するなど回転レストランの魅力をアピールする活動を行なっていた[1]。その後「ロンド」はビルの建て替えにより2024年5月限りでの閉店が決まった[4]。 ※建物が現存しているものに限る
構造
日本の回転レストラン
現在も回転稼動している回転レストラン
スカイレストラン ロンド(北海道札幌市中央区)[5]センチュリーロイヤルホテル23階。札幌唯一の回転レストラン。同ホテルが2024年5月に閉館するため、それに伴う形で営業終了予定[4][6]。
開田高原マイアスキー場 Tee Horn[ティーホルン](長野県木曽郡木曽町)[5]スキー場内のレストハウスで[7]、冬季のみの営業[5]。
東風(こち)と海(三重県鳥羽市)[5]ホテル「戸田家」南館9階[8]。1973年からラウンジとして使用されたのち、回転営業をやめて朝食場として使用されていた[8]。2017年7月21日にリニューアルオープンし[9]、回転営業が復活した[8]。
フレンチダイニング トップオブキョウト(京都市下京区)[5]リーガロイヤルホテル京都14階。京都唯一の回転レストラン。
神戸ポートタワー(兵庫県神戸市中央区)[5]3F展望台フロアがレストランを兼ねていた。2024年にタワーのリニューアルに合わせ、カフェ兼バーの「Ready go round」に改装された[4]。
喫茶コスモス(兵庫県神戸市須磨区)[5]須磨浦展望閣3階。喫茶と軽食がある。
現在は営業していない、または回転稼動していない回転レストラン
そごう店内の回転レストラン
そごう大宮店(埼玉県さいたま市)そごう柏店(千葉県柏市)T-FACE(愛知県豊田市)ミ・ナーラ(奈良県奈良市)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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