善きサマリア人の法
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フランソワ=レオン・シカールによる傷ついた旅人に救いの手を差し伸べる『善きサマリア人』の彫像

善きサマリア人の法(よきサマリアびとのほう、(英語: Good Samaritan laws)とは、「災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗しても結果責任を問われない」という趣旨のである。良きサマリア人法、よきサマリア人法ともいう。

誤った対応をして訴えられたり処罰を受ける恐れをなくして、その場に居合わせた人(バイスタンダー)による傷病者の救護者の合理的な救護行為を法的に保護し、またそのような救護を促進しよう、との意図がある[1]

アメリカカナダオーストラリアなどで施行されており、2023年現在日本でも立法化すべきか否かという議論がなされている。
由来詳細は「善きサマリア人のたとえ」を参照ジョージ・フレデリック・ワッツによる「善きサマリア人」

善きサマリア人[注釈 1]の法とは、病者、負傷者その他の困っている人を助けようとした行為が結果的に望ましくないものだったとしても救助者の責任を問わないとするものである[2]新約聖書に書かれた以下のたとえ話が名称の由来となっている。

ある人がエルサレムからエリコへ下る道でおいはぎに襲われた。 おいはぎ達は服をはぎ取り金品を奪い、その上その人に大怪我をさせて置き去りにしてしまった。たまたま通りかかった祭司は、反対側を通り過ぎていった。同じように通りかかったレビ人も見て見ぬふりをした。しかしあるサマリア人は彼を見て憐れに思い、傷の手当をして自分の家畜に乗せて宿屋に連れて行き介抱してやった。翌日、そのサマリア人は銀貨2枚を宿屋の主人に渡して言った。『介抱してあげてください。もし足りなければ帰りに私が払います。』 ? ルカによる福音書第10章第29?37節

キリストは、祭司、レビ人、サマリア人の三人のうちで誰がこの倒れた人の隣人であるかと問うた[3]
各国の法制度

「善きサマリア人の法」はコモン・ロー英米法)上のGood Samaritan doctrineに基づいており、基本的には民事上の不法行為法における責任軽減事由として位置づけられる概念である[4]コモン・ローでは、法律上の義務または権限なく他人の事務を行うことは、いわばお節介であるとみなされることもあり、大陸法の事務管理に相当する制度が発達していない。

これに対し、日本の法体系の源流である大陸法では、法律上の義務または権限なく他人の事務を行った場合の処理に関する緊急事務管理という制度がローマ法以来存在しており、その中で事務を管理する者の義務内容として位置づけられているという主張もある[要出典]。
フランス

フランスでは、危険にさらされている人を救助するか、少なくとも助けを求めることが法律で義務付けられている[5][6]。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}

Lorsqu'il resulte un prejudice du fait de son intervention, le citoyen sauveteur est exonere de toute responsabilite civile, sauf en cas de faute lourde ou intentionnelle de sa part.

市民救助者の介入によって損害が生じた場合、市民救助者は、重大な過失または故意の過失がある場合を除き、すべての民事責任を免除される。—Code de la securite interieure L721-1
カナダ

カナダでは、善きサマリア人の法は州レベルで定められている。各州の法は、オンタリオ州[7]ブリティッシュコロンビア州[8]では"good Samaritan acts(善きサマリア人の法)"として、アルバータ州ではEmergency Medical Aid Act(緊急医療救護法)[9]ノバスコシア州ではVolunteer Services Act(ボランティア行為法)[10]として定められる。


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