経済学部(けいざいがくぶ)は、大学において経済学を中心とする教育・研究を行う学部である。授与する学位は、学士(経済学)が主な例である(学士が称号であった時代には経済学士といった)。ただし、近年の経済学部はとりわけ学科の種類が多様であり、その分学位の名称も多様化している。 日本の文系学部において、経済学部はその数からいっても最もメジャーな学部といえる。それだけに、経済学科だけでなく経営学科や金融学科、あるいは情報学やその他の法学・社会学等の社会科学を包括する学際系の学科を置いている大学も多い[注 1]。特に国立大学では経済学部の中に[経済学科と経営学科(に類似する学科)を置いていることが多い。 ここでは、経済学部経済学科のカリキュラムを代表例として取り上げる。経済学部経済学科で履修できる科目は、理論を構築するミクロ経済学・マクロ経済学等の理論系、理論を検証する統計学、計量経済学、実験経済学、経済史等の実証系、理論を適所で応用する公共経済学・国際経済学、労働経済学等の応用系の三つのグループに大別することができる。 解析学等の数学科目も含まれ、数学や物理学、工学等のバックグラウンドを持つ教員が一定数在籍している。また、最先端の研究においては、数学を多用する分野である理論物理学や電気工学、情報工学にも劣らない程の極めて高度な数学能力およびコンピュータ活用能力を必要とする(ノーベル経済学賞受賞者には、ジョン・ナッシュのように数学者や理論物理学者もいる)。入学試験で数学を課す大学が多いのは経済学部の一方のそういう側面を重視してのことである。高等学校の「数学」の教員免許が取得できる大学も存在する[1]。 主な経済学の科目(大学により科目名の違いはある)
概要
カリキュラム
数学
経済学科目
ミクロ経済学
マクロ経済学
数理経済学
統計学
計量経済学
日本経済史
西洋経済史
東洋経済史
公共経済学(財政学)
国際経済学
労働経済学
産業組織論
金融経済学(金融論)
開発経済学
教育経済学
環境経済学
農業経済学
都市経済学
交通経済学
行動経済学
経済政策
経済思想史
○○(地域名)経済論
経済学のための数学
経済英語
簿記論
会計学
商法
日本における歴史
1878年(明治11年) - 旧東京大学(東京帝国大学を経て現東京大学)が文学部第一科、史学哲学及び政治学科において経済学の講義を開始。
1879年(明治12年)
商法講習所(現一橋大学)が経済学の講義を開始。
旧東京大学が文学部第一科を「哲学政治学及び理財学科」に改称(「経済学」の講義は「理財学」に改称される)。
1880年(明治13年) - 専修学校(現専修大学)が日本で初めて独立した「経済科」を設置。
1884年(明治17年) - 商法講習所が農商務省の直轄となり東京商業学校に改称。
1885年(明治18年)
東京商業学校が文部省の直轄となり、東京外国語学校と合併して神田一ツ橋に移転。
旧東京大学が文学部の「政治学及び理財学科」を法学部に移管し、「政治学科」と改称。
1887年(明治20年) - 東京商業学校が高等商業学校に改称。
1890年(明治23年) - 慶應義塾大学部が発足し文学科・法律科と並んで理財科を設置。
1897年(明治30年) - 高等商業学校が専攻部を設置
これにより、予科から専攻部の修業年限6年が高等学校から帝国大学卒業までの年限と同等と認められたため、1901年(明治34年)より「商業学士」が授与される。
1902年(明治35年) - 神戸における神戸高等商業学校(現神戸大学経済・経営・法学部)の設立に伴い、高等商業学校が東京高等商業学校(現一橋大学経済・商・法学部)に改称。
1905年(明治38年) - 地方への商業学校拡充策として山口を皮切りに、長崎、小樽、名古屋、福島、大分、彦根、和歌山、横浜、高松、高岡の各都市に官立高等商業学校が順次設立。
1908年(明治41年) - 東京帝国大学法科大学(法学部)が政治学科を政治学科と経済学科の2学科に分離。
1909年(明治42年)
文部省が東京高等商業学校の専攻部を東京帝国大学へ統合する省令を発令するも、東京高商側の学生総退学決議の抗議等に遭いこれを断念(申酉事件)。
東京帝国大学法科大学が商業学科を設置。
1919年(大正8年)
東京帝国大学が経済学科と商業学科を独立させ、日本の大学で最初の経済学部を設置。
京都帝国大学(現京都大学)が経済学部を設置。
1920年(大正9年)
2月5日 - 慶應義塾大学部が大学令による慶應義塾大学に昇格し、私立大学で最初の経済学部を設置[注 2]。
4月15日 - 中央大学と法政大学が大学令による大学に昇格し、経済学部を設置[注 3][注 4]。
1922年(大正11年) - 専修大学が大学令による大学に昇格し、翌年1923年(大正12年)に経済学部を設置。
1924年(大正13年) - 関西大学が商学部を経済学部に改称。
1931年(昭和6年) - 立教大学が商学部を経済学部に改称。
1944年(昭和19年) - 日本大学が商経学部を経済学部に改称。
1946年(昭和21年) - 関西学院大学が商経学部を経済学部に改称。
1948年(昭和23年) - 上智大学、同志社大学、立命館大学が新制大学に移行し、経済学部を設置。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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