「和食」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「和食 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
和食
無形文化遺産
『和食:日本の伝統的な食文化、特に新年祝賀』によれば、和食は魚・野菜・食用野草など地域の食材を使った自然を尊ぶ心との結びつきは、天然資源の持続可能な利用にも通じる。特に新年祝賀では餅をつき、意味のこもった美しい料理を用意し共同体で分けられている。
登録基準R1, R2, R3, R4, R5 [1]
参照869
日本料理(にほんりょうり/にっぽんりょうり)は、日本の風土と社会で発達した料理をいう[2][3][4]。洋食に対して「和食(わしょく)」とも呼ぶ[5]。食品本来の味を利用し、旬などの季節感を大切にする特徴がある[2]。
日本産の農林水産物・食品の輸出も2013年から右肩上がりに伸びている。2016年は7,502億円と2012年の4,497億円から1.7倍に増え、2017年は8,000億円台に乗せた。日本国政府(農林水産省)は1兆円を目標としており[6]、海外における日本食レストランの増加と日本食材輸出を推進している[7]。また、国内においては和食文化の保護・継承を図っている[8]。 広義には、日本に由来して日常作り食べている食事を含む。 狭義には、精進料理や懐石料理などの形式を踏まえたものや、御節料理や彼岸のぼたもち、花見や月見における団子、冬至のカボチャなど伝統的な行事によるものである[9][10]。 日本語の「料理」を意味するところは、家庭の台所や飲食店の厨房などで行われる「食品加工の最終段階」を指すことが多い。 現在では食品工場などで広く行われる脱穀・精米・豆腐・かまぼこの製造なども、地域・時代・集団によっては料理の範疇である。米の量をはかりどれだけ食べてどれだけ種籾とするかなど、家庭や国家の献立や食料計画をも意味する。また焼けた獣骨の遺物の発見から北京原人などと呼ばれるホモ・エレクトスの火の利用や、宮崎県幸島のニホンザルの群れがサツマイモを海水で洗い味つけして食べるということも、料理と考える場合もある[3][4]。 尚、料理の概念は言語や国によって大きな異なりがある。中国語では「烹?
定義
名称
料理の概念「料理」も参照 日本の定食。茶碗蒸し・汁物・惣菜・漬物などがバランス良く並べている。
料理の語源 日本料理の一例、懐石料理。食材本来の美しさを生かして、日本の旬や季節感を表現する。
「料」は「米と斗の会意」で、米などの体積を斗などの計量器ではかる意味を持つ。加えて食料など食品の意味も持つようになり、また料理という言葉ができてからはその略ともなる。
「理」は「玉が意符で里を声符とする形声」で、宝玉のすじやきめを美しく磨くことから物事の筋道やおさめるという意味を持つ。平安時代に登場する「料理」という言葉は物事をはかりおさめる、うまく処理するという意味である。現在に通じる調理やそれによってできる食品を意味するようになる[2][15]。
『世界大百科事典』によれば、原始時代の日本料理は米と魚を中心とし、獣肉と油脂の使用がきわめて少ないという特徴がある。平安時代にまでさかのぼると、大饗料理では椅子と円卓に散蓮華と言った大陸文化の影響があったが、平安時代の中盤以降は急速に和風化が進み、消えていった。鎌倉・室町時代に入ると、天ぷらのような西洋伝来した技術も取り入れ、ダシの旨味も重視し、ご飯を中心に日本料理としての形が作られた。特に御持て成し料理としての二汁五菜が定着していて、日本の家庭料理はご飯を中心にした一汁三菜の日常の食にある[16]。これ以降には日本料理の基礎が固まり、江戸時代後期にほぼ完成に至ったものである。
和食の起源 和食の一例、京料理。京都の旅館で提供された薄味の朝食セット。
和食の起源は諸説があり、米と魚を中心とした食文化が発達していることから、その原型は神へのおもてなしにある説が有名である[17]。
『古事記』や『日本書紀』における火闌降命たちの神話や、その3代後の神武天皇紀などにあるとしている。ユネスコへの登録に関して出版された和食文化国民会議のブックレットによれば、和食には自然の中の神が年中行事の中で食と結ばれたという特徴を持つ[18]。
東京家政学院の『ユネスコに登録された和食』によれば、和食の基本形は飯・汁・菜・香の物であり、米・大根・ナスのような伝来した食材が使われ、魚介・海藻の豊富さ、蒸し・茹で・煮るといった調理法、昆布・鰹節・煮干しといった出汁の文化、味噌・醤油・酒・味醂・酢・塩・砂糖といった調味料、平安時代から現在まで継承された七夕のような節供の年間行事との関わりを挙げている[19][20]。
京料理の料理人側から和食に見れば、「取り肴・造り・御椀・焼き物・揚げ物・焚合わせ・香の物」といった献立を成立させ、日によってこうした中から組み合わせその日の献立を作る[21]。取り肴ではちょうど口に入る大きさの1寸という型があり、和食はその大きさに切られ、四季の季節感を入れ込んでいく[21]。「造り」とは生魚を切るという技術によって、調理された素材を生かして調理する。「御椀」は日本料理を成立させるために不可欠な献立であり、鰹節と昆布だしを使い、カニや魚のすり身など主となる食材が入っており、その器も口をつけて食べることができるようになっている。「焼き物」は腕を問われるものであり、魚を焼くという技術を高度化し、焼く火には炭火を使い客席に届くまでに余熱で中まで火が通るように仕上げる。「焚合わせ」は野菜が中心であり、奈良時代に伝来した茄子・蕪・葱、室町時代の大根、江戸時代のインゲン豆・蓮根・キャベツ・牛蒡・サツマイモ・竹の子・トマト、明治時代には玉葱・オクラ、昭和時代には白菜・ピーマンといったものが使われるようになり、煮物・蒸し物・煎り物など多様に調理される[21]。