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やノートページでの議論にご協力ください。公益財団法人和敬塾(わけいじゅく)は、東京都文京区目白台にある男子の大学生・大学院生のための学生寮である。株式会社前川製作所の創業者でもある前川喜作によって、「共同生活を通じて社会人としての『知性』と『徳性』を備えた人材の育成」を趣旨とし、1955年(昭和30年)に設立された。 和敬塾の名称は、聖徳太子の十七条の憲法の第一条「以和為貴」(和を以て貴しと為す/わをもってとうとしとなす)からとられ、「和」は「人と人との和」や「四季の自然に心から和む」こと、「敬」は「人を敬う」だけでなく「真理を敬う」ことを意味している。 国内外の様々な地域から集まった約400名の男子大学生・大学院生が共同生活を送っている。特定の大学を対象とした学生寮ではなく、塾生の在籍大学は様々で首都圏の約50大学にのぼる。目白台の閑静な文教地区に位置して南に神田川を臨み、深い緑に包まれた旧細川侯爵邸の約7,000坪の広大な敷地に、東寮・西寮・新南寮・北寮の4つの寮を有する。和敬塾は、オックスフォード大学やケンブリッジ大学の学生寮を参考にして構想されたと伝えられている。構内には、グラウンドやテニスコート、大講堂や24時間利用可能な自修室などがある学生ホール、武道場に日本家屋(和楽荘)、音楽練習場や各寮の地下ホールなどの多くの充実した施設を備えている。また、総勢約50名もの専任スタッフ(寮長を始めとする常駐の寮事務所スタッフ・管理栄養士を置く食堂スタッフ・設備メンテナンス専門の施設管理スタッフ・総合的事務を担う塾事務所スタッフ)が塾生の日常をサポートしており、和敬塾はその規模と内容から我が国最大級の男子大学生寮であると言える。 尚、敷地内には非常時にすぐ避難できるグラウンドがあり、地域の広域避難場所にも指定されている。また、災害時にも塾生が三日間生活できるだけの食料を備蓄しており、救出救命機材も塾内に整えているほか防災避難訓練も実施される。 発足時の寮は本館のみであったが、1957年(昭和32年)に南寮・西寮、1958年(昭和33年)に北寮、1997年(平成9年)には東寮が開寮している。2005年(平成17年)より大学院生と留学生のための寮である巽寮が加わり、さらに2009年(平成21年)に留学生の比率が最も高い乾寮も加わった。留学生はアメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・オランダ・アイスランド・ブラジル、そしてアジアでは中華人民共和国や韓国や台湾など多岐に渡っている。なお、西寮と北寮は2009年に建て直されており、その後、南寮・乾寮・巽寮が統合されて新南寮となり2019年(平成31年)4月に開寮している。 塾生の教養を培い、また品位を高める教養講座が設けられている。日本の伝統文化や武道、西洋または東洋の古典輪読会や英会話教室、最新の情報技術の勉強会など様々である。剣道・居合道・柔道・空手道・直心影流法定(剣術)・中国古典輪読会・グレートブックス研究会(読書会)・茶道・棋道(囲碁)・書道・坐禅・絵画研究会・英会話教室・タッチフットボール同好会・修斗同好会(総合格闘技)・情報技術部、以上16の講座を一流の講師陣が指導に当たっている。 各界の第一人者を招聘しての講演会・シンポジウムも創立以来550回以上にのぼり、おおむね年に3・4回は開催され、塾生は大学だけでは学べない興味深い講話に耳を傾けることが出来る。大講堂前の廊下には講演者(三笠宮崇仁親王、武者小路実篤、湯川秀樹、朝永振一郎、白川英樹、広中平祐、金田一京助、今道友信、エドウィン・O・ライシャワー、マイケル・マンスフィールド、片山哲、田中角栄、中曽根康弘、細川護煕、小渕恵三、堺屋太一、呉清源、川上哲治、三船久蔵、アントン・ヘーシンク、山下泰裕、森繁久彌、永六輔、植村直己他多数)から寄せられた揮毫(親筆)が飾られている。 また1年を通して様々なイベントが開催され、参加や運営を通して塾生が学びながら互いに交流を深めている。主な行事として入塾式・創立記念塾祭・日華交流(台湾学生団来塾)・山の手一周ハイク・体育祭・予餞会がある。なかでも演劇を一からつくり上げる塾祭と、三週間に渡る寮対抗の体育祭は大きなイベントで、体育祭では野球・サッカー・テニス・バスケットボール・バレーボール・ドッジボール競技・卓球・水泳・3000メートル走・剣道・柔道・相撲・綱引き … など、約20もの種目で各寮の塾生がプライドを懸けて競い合い、最後を飾る騎馬戦に至るまで大きな盛り上がりを見せる。 ※追記 和敬塾には、在塾生を対象にした奨学金制度(無利子での貸与)が設けられている。 前川喜作の個人による拠出基金であるため「前川奨学金」と呼ばれている。貸与金額は月額30,000円または60,000円。返済に関しては貸与終了の1年1ヶ月後から、毎月に月額貸与金額の2分の1ずつ。審査については、書類選考ならびに常勤理事による面接が行われる。 (和敬塾HP、和敬塾塾友会HP、和敬塾HP 和敬塾講演会ライブラリー、『和敬塾 五十年の歩みとこれから』私家版、上坂冬子著『教育の忘れもの?東京の学生寮・和敬塾』集英社刊より)
概要
出身者
加藤隆俊 - 元IMF(国際通貨基金)副専務理事。南寮出身。
石田寛人 - 元科学技術事務次官。公益財団法人原子力安全技術センター会長。北寮出身。
下荒地修二 - 元駐パナマ特命全権大使。元駐ベネズエラ特命全権大使。南寮出身。
児玉文雄 - 元東京大学先端科学技術研究センター教授。東京大学名誉教授。北寮出身。
北岡伸一 - 元国連次席大使。国際協力機構(JICA)理事長。東京大学名誉教授。南寮出身。
田村重信 - 元自由民主党政務調査会調査役。拓殖大学桂太郎塾名誉フェロー。西寮出身。
吉田治 - 元国土交通副大臣。国民民主党大阪府連副代表・常任幹事。北寮出身。
隅修三 - 東京海上日動火災保険株式会社相談役。日本経済団体連合会副会長。北寮出身。
江頭重志 - 東京海上日動ファシリティーズ株式会社代表取締役社長。西寮出身。
高野英一 - タカノフーズ株式会社取締役会長。北寮出身。
上條努 - サッポロホールディングス株式会社取締役会長。北寮出身。
高松富博 - ダイドーグループホールディングス株式会社取締役会長。