味噌汁
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味噌汁
一般家庭の味噌汁(豆腐ワカメ
別名御味御付、御御御付、おみつけ
種類
発祥地 日本
食物エネルギー
(100 gあたり)

具なし 約30具あり 約70 kcal
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味噌汁(みそしる)は、日本料理における汁物の一つで、だし味噌で調味した汁に、野菜豆腐魚介類などの食品を実としたスープ様の料理である[1]。御味御付(御御御付、おみおつけ)ともいう[1]
概要

日本の食文化において、とともに提供される汁物料理の代表である。

味噌汁は、主食を食べるに際しての食欲増進の役割をおかずとともに果たすと同時に、味噌に含まれる大豆蛋白質は、かつての低蛋白の日本食における主要な蛋白源であり、またとともに消耗する塩分の補給に重要な役割を果たしていた。

西洋料理スープに相当する側面がある。パンご飯もそれぞれ固形物であり、味に乏しく単独で食べるのは口寂しい。そこで食べ方のひとつとして、スープ・味噌汁という、塩味がある汁物と一緒に食べるという点で、両者は共通するものがある。ヨーロッパのスープの、硬くなったパンをふやかして柔らかくして食べるという側面は、ご飯と味噌汁による雑炊に類似する。

日本料理で類似するものに吸物があるが、味噌汁が飯と飲食されるのに対して、吸物はと飲食されるとして区別される[2]
展開
本膳料理
基本となる本膳の汁物は味噌汁とされ、の1品、平皿(ひらざら)と呼ぶ煮物の1品、そして焼き魚等の焼物の1品の三菜と共に、一汁三菜の汁を構成する[2]
懐石料理
飯と汁物と向付が最初に提供されるが、これも味噌汁が多い[2][3][4][5]
会席料理
飯と共に「止め椀」または「留め椀」(とめわん)と呼ばれる汁物が最後に提供されるが、これも味噌汁が多い[2][3][4][5]
家庭料理
おふくろの味と称される事もある。高度経済成長以降、外食産業の発展などによる食文化の変化から、かつてに比べ家庭で味噌汁を作ることは少なくなっている。
地方料理
各地で古くから作られているので、名物料理であったり町おこしの料理とされたりする。
粗食
一汁一菜の粗食生活でも、欠かせないものとされている。
名称

東京近郊では御味御付(おみおつけ)と呼んでいる。「おみ」は「味噌」、「おつけ」は「汁」を意味する女房言葉江戸時代江戸の地で使用され始めた。「御御御付」と書くこともあるが、これは「おつけ」にさらに接頭辞が付いたという民間語源説に基づくもので本来は正確ではない。

特にこの地域では味噌汁の中身の固形物のことを「具」とは呼ばず「実」と呼ぶ(「おつけの実」、など)。具と呼ぶようになったのは近年の事で、特にテレビのグルメ番組で一様に具と呼ぶようになったのが影響している(他にはおでんの種も具と呼ぶなど)。

また京言葉ではおみいのおしい。「おみい」が「味噌」、「おしい」は「お吸い」の意で「汁」に相当する。

近畿(また近畿からの開拓入植者が多い北海道)では汁を総じておつゆ(もしくは「おつい」「おつ」)と称する。おつゆをすまし汁と味噌汁を区別して使用する場合もある。

実によっては「鱈汁」、「豚汁」などのような名称を用いる。しかし、鍋物を味噌で仕立てた場合には味噌汁とは言わないのが普通である。人によっては、単に「汁」と略して呼ぶ場合もある。

日本国外、主に英語圏では「Miso soup(ミソスープ)」と呼ばれている。
歴史

味噌汁という料理は味噌の進歩や普及と共に広まってきた。

確認できている限りで、「味噌」の文字が初めて文献上に現れるのは平安時代である。平安時代において味噌は調味料ではなく、豆を塩漬けした保存食であり、そのままつまんで食べるものであった。また、貴族の給料や献上品として扱われており、一般庶民には縁のない食品であった。

その後鎌倉時代に入って中国大陸からすり鉢がもたらされると、粒味噌をすり潰して水に溶かして用いる味噌汁という調理法が実践されるようになった。味噌が保存食から調味料へと性格を変えるのは、味噌汁の普及による所が大きい。鎌倉時代には全国的に武士の質素倹約が奨励されるようになり、一汁一菜(主食、汁もの、おかず、香の物)という食事が考案され、武士の間で広まりを見せた。

その後の室町時代においては味噌が農民による自家製の保存食として作られ、庶民の間で調理法が試行錯誤されたことで、現代に伝わる味噌料理の殆どが確立された。同時に、味噌汁も一層の広まりを見せた。味噌汁のみに留まらない味噌の有用性はその後も広く認められて行き、江戸時代以降は味噌が日本人の食卓に欠かせないものになり、味噌屋の売上も大幅に増加した。

昭和以降はパッケージ化や工業的な味噌生産が行われるようになり、冷蔵庫で保存できるカップ入りみそや、インスタント味噌汁などの利便性を重視した製品が登場するに至っている[6]

調理が簡単で大量に作れるうえ、熱中症予防に効果の高い味噌汁は戦国時代陣中食として考案されたとする説もある。


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