告白_(2010年の映画)
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告白
Confessions
監督
中島哲也
脚本中島哲也
原作湊かなえ
製作島谷能成
百武弘二 ほか
製作総指揮市川南
出演者松たか子
岡田将生
木村佳乃
音楽金橋豊彦
主題歌レディオヘッド
ラスト・フラワーズ
撮影阿藤正一
尾澤篤史
編集小池義幸
製作会社東宝映像制作部
リクリ
配給東宝
公開 2010年6月5日
2010年9月17日(TIFF
2011年2月18日
上映時間106分
製作国 日本
言語日本語
興行収入38.5億円[1]
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『告白』(こくはく)は、2010年日本映画湊かなえによる同名のベストセラー小説映画化作品である。監督は中島哲也、主演は松たか子による。2010年6月5日に配給東宝で公開された。
概要

娘を殺された中学校教師が生徒を相手に真相に迫っていくミステリー映画[2]少年犯罪家庭内暴力イジメなど、過激な内容や描写で映倫からR15+指定を受けた[3][4]。そのため、設定の関係上キャストには15歳未満の者も多くおり、該当者は公開後自分が出演した本作を見ることができなかった。第34回日本アカデミー賞では4冠を達成し、2010年度に日本で公開された日本映画の興行収入成績で第7位になるなど興行的にも成功した。また、映画の脚本を元にしたコミック版も発売された。
あらすじ「告白 (湊かなえ)#あらすじ」を参照

とある中学校の1年B組、終業式後の雑然としたホームルームで、教壇に立つ担任の森口悠子が静かに語り出す。「わたしは、シングルマザーです。わたしの娘は、死にました。警察は、事故死と判断しました。でも事故死ではありません。このクラスの生徒に殺されたんです」

森口は、妊娠後に娘の父親のHIV感染が判明したことで結婚しなかったと語り、娘を殺した犯人は2人いるが名前は明かさず少年A・少年Bと述べ、少年Aが電気ショックによって娘を気絶させたこと、居合わせた少年Bが気絶した娘をプールへ投げ入れ殺害したこと、その事実を警察へ伝えて蒸し返す気はないことなどを語る。名前は伏せられていたが、生徒達には少年Aは渡辺修哉、少年Bは下村直樹であることは明らかだった。森口は、先ほど犯人である2人の給食の牛乳の中に娘の父親の血液を入れた、HIVに感染するかどうかは運次第、2人には「命」をしっかりと噛み締めてほしいと告げると教室は騒然となった。

修哉は以前、工作で作った財布防犯用の電気ショック装置を担任の森口が認めてくれなかったことに不満を持ち逆恨みしており、そのために森口の娘を標的としたのだった。森口に真相を問われた際にはあっさり犯行を認め、窓から飛び降りる振りをしてから「なーんてね」と笑い、悪びれない素振りを見せていた。森口が去った新年度からは、クラスのいじめの標的となった。

直樹は、不良に絡まれて交番に逃げ込んだ際、学校から迎えに来たのが担任の森口ではなく、他の男性教師だったことで、それまで好感を持っていた森口を恨むようになっていた。しかし、森口が迎えにいかなかったのは、学校でかつて起こったトラブルが原因で、そのような場合には生徒と同性の教師が足を運ぶというルールがあったからで、直樹はそのことを知らず、森口には非はなかった。

修哉は自分の制作した発明品を展示するサイトを作り、それがいずれ母の目にとまることを期待していた。自分を捨てて学問の道に戻った母親の気を惹くことだけが修哉の生きる希望だった。殺人を企てるようになったのは、自分の作品が賞をもらったことよりも、家族を毒殺した「ルナシー」と名乗る少女の事件の方が世間に注目されたことで、大きな事件を起こせば、世間、ひいては母の関心を惹けると考えたことが始まりだった。

北原美月は修哉に好意を抱いており、クラスで唯一いじめに加担せず、修哉と行動を共にしていたが、修哉は「ルナシー」を信奉している美月を内心では軽蔑し見下していた。

直樹は牛乳の件によって精神に変調を来し引きこもってしまう。新年度から森口に代わって担任となった熱血教師・寺田がクラスメイトの美月を引き連れて頻繁に自宅を訪問することで、一層直樹とその母を追い詰める。母は直樹を溺愛しており、かつて森口が訪問して、娘をプールへ投げ入れたのは直樹だと伝えた際にも、ひたすら直樹だけを憐れむ態度を見せていた。直樹が、森口の娘は電気ショックでは死んでおらず、目を覚ました後に自分がプールへ投げ入れ故意に殺害したことを話すと、母は直樹との心中を決意する。母は包丁を直樹に突き立てるが傷は浅く、逆に直樹が包丁を奪い母を刺殺する。

直樹の事件で、寺田とともに警察の事情聴取を受けた美月は、寺田が直樹を追い詰めた、悪いのは寺田だと糾弾する。

寺田と森口がファミレスで同席しているのを偶然見かけた美月は、寺田が退店した後、森口の席を訪れると、修哉は母に捨てられた哀れな境遇で母の気を惹きたくて必死であり、悪く思わないで欲しいと訴える。森口は、寺田が休職すること、相談を受けるふりをして意図的に寺田をけしかけ直樹とその母を追い詰めていたこと、修哉を許すつもりはないことを告げる。美月と別れた森口は、あまりのくだらない衝撃とファミレスで見た仲睦まじい家族に自分を重ね、思わず号泣し道端に伏せるも、「ばかばかしい」という言葉と同時にピタリと泣くのを辞めて帰路につく。

修哉のサイトに母の名前で連絡先と研究室の所在が書き込まれ、修哉は嬉々として「発明品」の数々を抱えて大学を訪ねるが、母は新たな夫との新婚旅行中で不在で、さらには妊娠中であることを知る。自暴自棄となった修哉は、心にもないことを綴ってまんまと賞をもらった「命」についての作文を体育館で発表することになっている終業式の日に、爆弾で自分もろとも講堂を爆破し生徒・教師を道連れにすることを計画する。唯一の理解者だった美月をも殺害し、一連の犯行の告白と、終業式での犯行を予告する動画をサイトにアップする。

終業式、修哉は舞台上で作文を読み終え、喝采を浴びながら満足気な表情で起爆するための携帯電話のボタンを押すが、何も起こらない。慌てて演台の下を確認すると、前夜に設置したはずの爆弾がなくなっていた。そこへ森口から電話がかかり、爆弾は修哉の母の研究室に置いてきたという。修哉のサイトに母の名前で書き込みをし、修哉が母の研究室を訪れるよう仕向けたのは森口だった。修哉が「自分はもうとっくに忘れられてた。ヤケだ。死のう。なるべく多くの人を巻き込んで」と思っていた事を察した森口は、「あなたは自分の命なんて惜しくないから、大切な人を失うことにした」と告げる。そして、研究室であっさり母に会い、修哉のことを奪ったものから全て伝え、置き土産に机の下に爆弾を置いていく。森口は以前修哉に言われた「大事なものが消える音」が「パチン」ではなく「ドッカーン!」と聞こえた事を告げる。自分が母を殺してしまったことに半狂乱となった修哉のもとに森口が現れ、涙を流しながら「ここからあなたの更正の第一歩が始まるんです」と声をかけ、最後に「なーんてね」とトドメを刺す。
登場人物・キャスト
森口 悠子(もりぐち ゆうこ)
演 -
松たか子シングルマザーの教師。生徒と必要以上に親しく接しないように心がけており、一部を除いた生徒からの評価は芳しくない。妊娠中に婚約者である桜宮のHIV感染が判明し、生まれてくる子供に苦労をかけたくないという桜宮の意向に沿い、結婚はしなかった。その後生まれた娘の愛美が学校のプールで溺死し、警察は事故として処理したものの、後にこれが故意の殺人であると気づき、犯人に対して復讐を企てる。終業式で教職を辞することを生徒に公表し、クラスの中にいた犯人の2人に対する復讐の種をまき、学校を去った。
寺田 良輝(てらだ よしき)
演 - 岡田将生森口の代わりに来た担任。ニックネームはウェルテル(良"well"輝〈てる〉が由来)。生徒をニックネームで呼び、自分のこともウェルテルと呼ぶよう生徒に求める。桜宮の熱狂的な信者で、彼に憧れて教師になった。森口の事件については「漏らしたものは少年Cとみなす」と書かれたメールが送られていたことで生徒たちが秘密にしていたため一切知らず、新学期以降欠席している直樹を心の病気だと認識している。学園ドラマの熱血教師のように生徒と友達になれるよう率直に接しているが、裏では生徒から馬鹿にされている。
下村 優子(しもむら ゆうこ)
演 - 木村佳乃少年Bこと下村直樹(藤原薫)の母親。典型的な教育ママで、過保護過ぎる上に神経質。終業式以来引きこもりになった息子を守ろうと奮闘する。息子は既に死んでいた愛美をプールに投げ入れただけだと信じていたが、殺意を持って生きている愛美を投げ入れたと告白され無理心中を図り、逆に殺害される。
森口 愛美(もりぐち まなみ)
演 - 芦田愛菜森口の一人娘。生徒たち(特に女子生徒)に可愛がられていた。職員会議のある水曜日だけは森口の退勤が遅くなるため、一旦保育所から引き取られて中学の保健室に預けられていた。かつて預けられていた、中学校の隣にある竹中家の飼い犬にプールサイドからパンの切れ端を与えていた。ある日プールでうつ伏せのまま亡くなっているのが発見される。警察は誤って落ちた事故と判断したが、実際は殺害されていた。
桜宮 正義(さくらのみや まさよし)
演 - 山口馬木也学生や同業者から支持される男性教師。若い頃は不良で、教師となるまでは世界中を放浪するなどし、荒れた生活を送っていた。その頃にHIVに感染していたと思われる。「世直しやんちゃ先生」の名で広く知られており、メディア露出や書籍の発表など活躍は多岐にわたる。森口と婚約後にHIV感染が判明。結婚を取りやめる。
戸倉(とくら)
演 - 高橋努森口の同僚教師。学校のルールに基づき、森口の代わりに交番へ下村直樹を迎えに行ったが、これが直樹の森口への逆恨みの原因となった。
渡辺修哉の父
演 - 新井浩文電気屋を経営。修哉を生んだ妻と別れ、再婚する。新しい妻との間に子供が生まれたことで修哉を遠ざけるようになる。修哉からは、優秀だった母と比べて劣った人間だと内心バカにされている。
渡辺修哉の母
演 - 黒田育世少年Aこと渡辺修哉(西井幸人)の母親は、将来を嘱望された、優秀な電気工学者だった。妊娠・出産によって学問を断念した思いを託して、修哉が幼いうちから時計を分解させたり英才教育を施そうとするが、父親に似たのか、自分が期待するほどの能力を持っていないことに次第に苛立ちを覚え、虐待に近い行為に走るようになる。完全に修哉を見限ってからは離婚して大学の研究室で准教授として働く。修哉は自分が頑張れば母親は振り向いてくれると期待していたが、実際は大学で知り合った教授と再婚し、妊娠していた。
渡辺修哉の継母
演 - 山田キヌヲ「赤ちゃんがうるさいから勉強の邪魔でしょう?」という口実で、離れた場所に修哉の勉強部屋を作ることを提案し遠ざける。


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