君たちはどう生きるか_(映画)
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君たちはどう生きるか
The Boy and the Heron

監督宮ア駿
脚本宮ア駿
原作宮ア駿
製作鈴木敏夫
出演者山時聡真[1]
菅田将暉
柴咲コウ
あいみょん
木村佳乃
木村拓哉
大竹しのぶ
竹下景子
風吹ジュン
阿川佐和子
滝沢カレン
國村隼
小林薫
火野正平
音楽久石譲[2]
主題歌米津玄師地球儀[3]
撮影奥井敦
編集瀬山武司
制作会社スタジオジブリ
製作会社スタジオジブリ
配給 東宝
GKIDS
公開 2023年7月14日
上映時間124分
製作国 日本
言語日本語
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『君たちはどう生きるか』(きみたちはどういきるか、英語: The Boy and the Heron)は、2023年(令和5年)公開スタジオジブリ制作[注釈 1]による日本アニメーション映画宮ア駿原作脚本監督による冒険活劇ファンタジー[4]、宮アの長編監督作としては2013年公開の『風立ちぬ』以来10年ぶりの作品となった。タイトルは、吉野源三郎の同名小説君たちはどう生きるか』に由来しており、原作ではないが同小説が主人公にとって大きな意味を持つ[5]

太平洋戦争中、母親の死をきっかけに田舎に疎開した眞人という少年が、新居の近くで廃墟となった塔を発見し、人間の言葉を話す謎の青サギと出会い、彼と共に幻想的な「下の世界」へと足を踏み入れるストーリー。

公開前も公開後もほぼ情報を明かさず、予告も制作しない手法を取った。また、『魔女の宅急便』以降制作に携わっていた日本テレビディズニーなどが関与せず、かつ2023年10月6日に日本テレビホールディングスの子会社となる前のスタジオジブリ作品では唯一となる単独出資映画となった。

日本時間2024年3月11日[注釈 2]に授賞式が行われた第96回アカデミー賞で、日本映画としては『千と千尋の神隠し』以来21年ぶりとなる[6]アカデミー長編アニメ賞を受賞した。
ストーリー
現実世界における塔との出会い

太平洋戦争が始まってから3年目に、眞人は実母・ヒサコを火災で失う[7]。軍需工場の経営者である父親の勝一はヒサコの妹、夏子と再婚し、眞人は母方の実家へ工場とともに疎開する。疎開先の屋敷の近くには覗き屋の青サギが住む塔が建っていた。この塔を不思議に思った眞人は土砂で半ば埋もれている入り口から入ろうとするが、屋敷に仕える[8]ばあやたちに制止される。その晩、眞人は夏子から塔は、大伯父によって建てられ、その後大伯父は塔の中で忽然と姿を消したこと、大水が出たときに塔と母屋をつなぐ通路が落ちて迷路のようなトンネルが見つかり、危なかったので夏子の父親(眞人の祖父)によって入り口が埋め立てられたことを告げられる。

転校初日、勝一の車に送られて登校した眞人は学校でうまく馴染めず[注釈 3]、帰り道で地元の少年らから殴る蹴るの暴行を受ける。その後、眞人は道端の石で自分の頭を殴って出血を伴う大ケガを負い、屋敷で手当を受けるが自室で寝込んでしまう。翌朝、部屋につきまとう青サギを退治に木刀を持って庭の池の淵に出た眞人に、青サギが突然襲いかかる。人の言葉をしゃべる青サギから「母君のご遺体を見ていらっしゃらないでしょう。あなたの助けを待っていますぞ」[9]と話しかけられ、操られた魚やカエルたちに全身を包み込まれたが、眞人を探しに来た夏子とばあやたちに助けられる。

眞人のケガを地元の少年らによるものと思い込んだ勝一は、怒りをあらわにし学校側に苦情を訴える。一方で夏子は妊娠によるつわりに苦しみ、何度も眞人の顔がみたいと周囲に話すが、眞人は母親にそっくりな夏子を受け入れることができず[10]、見舞いに訪ねるもそっけない態度をとってしまう。ある日眞人は、砕けた木刀の代わりに弓矢を自作していると、ふと屋敷の窓から夏子が森の中へと消えていく姿を見かける。自室に戻り、落ちていた青サギの抜け羽を材料に矢を作り直しているとき、ヒサコが昭和12年に、眞人のために残した吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』を見つけ、それを読み進めるうちに涙を流す。

その日の夕暮れ、夏子の失踪に屋敷中が大騒ぎになる中、眞人は使用人のばあやキリコとともに、夏子を探しに森へ入ると塔の裏口にたどり着き、青サギの声に促されるまま足を踏み入れるが閉じ込められてしまう。塔内で待ち構えていた青サギに、偽物のヒサコを見せられて怒った眞人は、青サギの弱点である青サギの羽根「風切りの七番」を矢羽根にした矢を放ち、青サギの嘴を穿つ。すると青サギは半鳥人の姿(サギ男)から戻れなくなってしまう。塔の最上階にたたずむ謎の人物に命令され、眞人とキリコばあやは「下の世界」へいざなわれていく[8]
下の世界との遭遇

「下の世界」に落ちた眞人はペリカンの大群に襲われ、「我ヲ學ブ者ハ死ス」と刻まれている墓の門を開けてしまうが、通りすがりの若い船乗り・キリコに助けられ、成り行きでキリコの仕事を手伝う。「下の世界」のキリコは魚を捕ることを生業としており、殺生ができない「下の世界」の住人に与えるため、また人が生まれる前の魂たち・ワラワラを飛ばすのに魚の内臓が滋養になるという。仕事を終えた月夜、眞人はキリコの部屋の庭の隅にある便所を出ると、目の前で多くのワラワラたちが風船のように一斉に飛び始めた。すると、それを狙ってペリカンたちがワラワラに襲い掛かり、捕食を始めた。そんな中、舟に乗って現れた火を操る少女・ヒミが自らの力を使って花火を打ち上げ、ペリカンたちを撃退する[11]。ワラワラたちも巻き添えになる中、止めろと叫ぶ眞人だったが、ヒミがいないとワラワラたちは上の世界へ行けずすべて食われてしまうとキリコはつぶやき、ヒミに感謝の言葉を投げかける。眞人は床についたあとも寝付けず、物音を聞いて再び庭に出てみると、便所の横で花火の巻き添えで瀕死状態となった老ペリカンと出会う。老ペリカンは、「我が一族はワラワラを食うために連れてこられた」「この世界の海には魚がほとんどおらずワラワラを食べるほかなすすべがない」「ここは呪われた海だ」などを眞人に語った後、力尽きてしまう。どこからともなくやってきた青サギを横目に、眞人は丁重に老ペリカンを埋葬する。翌朝、青サギに手伝わせて水くみをしていた眞人だったが、青サギと和解するようキリコに諭されながら[12]、二人が協力して夏子を探しに行くよう提案され、お守りの人形を渡されてキリコのもとを離れる。
現実世界の勝一たち

一方、現実世界では、眞人と夏子、それに加え女中のキリコも一斉に失踪してしまい、工場従業員も動員した大捜索が行われるも発見には至らずにいた。


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